スーパーバイク世界選手権WSS300で活躍する岡谷雄太選手に聞いてみた!世界で活躍するライダーになる方法と大変さ
バイクのニュース / 2021年4月17日 17時0分
現在ロードレースでは、多くの日本人ライダーが世界で活躍しています。自分も世界で活躍するレーシングライダーになりたいと、憧れを持っている人も多いのではないでしょうか。そこで、スーパーバイク世界選手権WSS300で活躍する岡谷雄太選手に、世界で活躍できるライダーになった道のりや、レースへの想いを聞いてみました。
■バイクに興味を持ったのは、レースをやっていた父親の影響
MotoGPやワールドスーパーバイクなど、世界で活躍する日本人ライダーを見て、自分もそうなりたいと憧れを持っている人も多いと思います。そんな日本のトップライダーたちは、いったいどのようにその場所へたどり着いたのでしょうか。
スーパーバイク世界選手権WSS300で活躍する岡谷雄太選手に、世界で活躍できるライダーになった道のりや、レースへの想いを聞いてみました。
―――まず、バイクに興味を持ったきっかけをおしえてください。
バイクに興味を持ったというか、初めて乗ったのは7歳の時です。父親が元々レースをやっていて、サーキットに行ったりとかは小さい頃から普通で、ツインリンクもてぎに行ったり、筑波サーキットに行ったりしていました。だから、興味を持ってバイクに乗り始めたとかではなく、自然な流れです。
弟もいて、小学校ぐらいまでは一緒にバイクに乗っていたのですが、僕のレースが忙しくなってしまって、弟はそこまで興味もなかったようで、辞めちゃいました。
―――レースを辞めようと思ったことはありますか?
怪我が続いた時期があって、その時は辞めようとかではなく、少し状況的に続けるのが厳しいなと考えたりもしましたが、いま思い返すと続けていて良かったと思います。腕を怪我したり、鎖骨を折ったりと、かなり続いた時期は、やはり少し考えました。
―――ロードレーサーとして目指していたのは、元々ワールドスーパーバイクだったのですか?
目標自体はMotoGPです。いまでも、行けるチャンスがあれば、その気持ちは変わっていません。現在の目先の目標としては、ワールドスーパーバイクが近くにあるので、スーパーバイクにステップアップして目立てれば、MotoGPに行くチャンスはまだまだあるはずなので、まずはワールドスーパーバイクへのステップアップを叶えたいと思います。
まずはワールドスーパーバイクへのステップアップを目標にし、最終的にはMotoGPで走りたい
―――現在、バイクのレースを続けていて、一番大変なことはなんですか?
一番大変なのは、やはりレースをするための資金集めですが、そもそもバイクに乗ることが好きなので、そのための資金集めは大変だけど、全然つらくはないです。バイクに乗ること自体が楽しくて、普段何もしていない時間の方がつらいぐらいなので、バイクに乗るために必要な活動をつらいと感じることはありません。大変ですけどね(笑)
―――トレーニング以外の日は、なにをしていますか?
お世話になっているスポンサーと連絡を取ったり、バイクの整備をしたりしています。全日本ロードレース選手権に参戦していた時も、父親がメカニックをしてくれていて、今はトレーニング用のバイクも父親が整備をしてくれているので、それを手伝っていることが多いです。
父親がメカニック、母親がヘルパーと子どもの頃から家族でレースを戦っています
子どもの頃から、父親がメカニック、母親がヘルパーと、家族みんなでレースをやってきたので、プロのメカニックなどを雇っている一般的なレーシングチームに入って整備を任せてレースをやること自体、現在のWSS300が初めてで、しかもいきなり周りが外人のみという環境なんです。
■家族チームから世界のトップチームへ
―――家族チームからいきなり海外の本格的なレーシングチームへ加入したことで、大変だったことはありますか?
現在はオランダのチームに加入しているのですが、チームの人たちが真面目なので、日本人の真面目な人とやっているみたいな感覚で、あまり大変さは感じません。
初めてWSS300にステップアップしたばかりの時に加入したチームはスペインのチームで、そっちの方が大変でした。いい加減で、ミスも多くて・・・。しかも、スペイン人の夜ご飯のスタートが、すごく遅いんですよ。21時とかが普通で。そういった生活リズムが合わないことも、つらかったです。
オランダ人は、生活リズムが日本人とほぼ変わらないから、そういった細かい部分も楽ですね。
世界を見据えて中学、高校の英語の勉強を一所懸命行ったという岡谷選手
―――言葉の壁を感じることはありますか?
言葉はだいたいみんな、英語を話せるので問題はありません。僕も、英語がペラペラという訳ではありませんが、日常会話程度なら困らないです。
もちろん、たまに細かいニュアンスが伝わらないといったことはありますが、それは日本語でもあることなので、変わりません(笑)
―――語学はどのように習得しましたか?
特別、なにかをやったという訳ではありませんが、中学、高校の英語の勉強を一所懸命やりました。英会話教室に通ったこともないですし、単語さえ知っていれば話せます。といっても、その当時から英語は将来必要だと思い、気合を入れてやっていましたが、特別なことはなにもありません。
―――海外という事前に練習に行くことのできない環境下で、初めて走るサーキットの攻略方法は?
攻略といか・・・コース自体は右か左にしか曲がらないし、そこに上っているか下っているかの組み合わせなので、まずはゲームや動画などでレイアウトを覚えます。さすがに、右に曲がっているか左に曲がっているかすら分からない状態では、覚えられないので(笑)
レイアウトだけ事前に覚え、上っているか下っているか、路面が荒れているなど、細かいディテールはレースWEEKに現地入りしてから合わせます。
あとは、出たとこ勝負ですね。初めて行ったコースがどんな条件であっても対応できるように、日本で日々マシンコントロールなどの練習をしています。
―――コースがどんな条件でも対応できるようになるために、日本のコースでできる具体的なトレーニング内容を教えてください。
練習しているサーキットでのラップタイムをひたすら縮めることです。
それにより、マシンコントロールも上達するし、タイムも徐々に上がっていくので、僕はタイムですべてを確認しながらトレーニングをしています。いくらフォームがキレイでも、タイムが遅くては意味がないので。
どんな条件かのサーキットでも対応できるように練習しているサーキットでのラップタイムをひたすら縮めることを念頭に置いています
―――いままで走ったサーキットのなかで、まだ攻略できていなサーキットはありますか?
いまだにどう走っていいか分からないのは、スペインにあるアラゴンサーキットです。アラゴンを初めて走った時は、そんなに難しくないと思ったのですが、タイムを追っていくと意外に出ないんです。
攻めるとタイムが出なくて、スムースに走った方がタイムは出るんですけど、まだ正解にたどり着けなくて、今年はそれをちゃんと見つけたいと思っています。
―――攻略しやすかったサーキットは?
去年レースでも勝った、同じくスペインにあるカタロニアサーキットは、初めて走った1本目で全体の5番手タイムを出すことができ、楽しいと思って走っていたら、どんどんタイムアップしていけました。
日本では菅生サーキットのような、アクセルを開け開けで走れるコースが好きなので、似たような印象です。菅生も、この前調べてみたら、出たレースはすべて表彰台に乗っていて、自分でも驚きました。
2020年WSS300クラスで初優勝を飾ったカタロニアサーキットは、アクセルを開けられるサーキットで攻略しやすかった
―――最後に、今年の意気込みをお願いします。
全戦全勝でチャンピオンを取るというのが、今年の目標です!そのために、ホームコースともいえる桶川サーキットをひたすら走っています!
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