ノンビリ走っても気分は最高! ホンダGB350の開発陣に話を聞いた
バイクのニュース / 2021年4月24日 13時0分
話題のホンダGB350に試乗し、ロングストローク単気筒エンジンの味わい深さにすっかり魅了されたバイクライターの青木タカオさんが、開発責任者をアレコレと質問攻め。心地よいと感じる鼓動とはいったい何か? またそれを乗り手へ伝える奥義を聞き出しました。
■かつてない“クリアパルス”を乗り手へ
飛ばすことなく、ゆっくりノンビリ走っているだけで満足できてしまうホンダGB350。最高出力はわずか20PS。バイクの魅力はスペックではないことをホンダは改めて証明してみせましたが、ライダーが“心地良い”と感じるために、開発陣はあらゆる手を尽くしています。開発責任者である山本堪大(かんた)さんに教えてもらいました。
青木:なによりまず聞きたいのは、エンジンの開発にあたってです。
山本:一発ごとの燃焼プロセスまで、ありありと感じられるようなかつてない“クリアパルス”を生み出すロングストローク空冷シングルエンジンを新設計しました。
青木:不快に感じる微振動は打ち消しつつ、パルス感を鮮明に、ダイレクトに乗り手へ伝えていますね。
山本:日本での正式発表を前に、一部のお客様の受け止めとして、2つのバランサーによってシングルエンジンの魅力である鼓動感が抑えられているのではないかと予想されましたが、それは誤解でして、鼓動を際立てるための仕組みなのです。
GB350の開発責任者 山本堪大氏
青木:“鼓動”と僕らもよく表現しますが、実態はなんなのでしょうか?
山本:開発初期段階で「鼓動=心地よい振動+排気サウンド」と定義しました。まず振動は、燃焼ごとの0.5次振動。ピストンの往復ごとに発生する1次振動、エンジンの回転の2倍で発生する2次振動に分けられます。
燃焼ごとの0.5次振動は低回転であるほど高く、1次/2次振動は回転が上がるにつれて立ち上がっていく性質を抑えた上で、0.5次振動を際立たせ、余計な1次/2次振動を抑えることを狙いました。
それを達成するためにロングストローク、低回転・高トルクエンジン、そして不快な一次振動を消し去るメインシャフト同軸バランサーを採用しました。
■1室構造マフラーでGBならではのサウンドを
青木:排気音も素晴らしいと感じました。
山本:排気サウンドは重厚感とパルスを求めた結果、このクラスでは極めて稀な1室構造マフラーを採用しています。通り過ぎただけでGBと分かるような、重低音とパルスの相まった迫力のサウンドを実現しました。
GB350の迫力あるサウンドに高評価をつけた筆者(青木タカオ)
青木:ヘルメット越しにもよく聴こえます。
山本:走行中にライダーの耳にも排気音がよく聴こえるように、重低音だけでなくあえて高周波も残すような細かいチューニングも実施されています。
排気サウンドを際立たすため、マフラー音以外での静粛性を徹底追求しました。ドライブチェーンはシールチェーンを専用開発しましたし、シリンダーのフィンも風切り音がならないよう設計しています。
マフラー音以外での静粛性を徹底追求し、排気サウンドには重低音だけでなくあえて高周波も残すような細かいチューニングも実施された
青木:排気サウンド以外の音は徹底的に消したのですね。
山本:ロングストロークエンジンとバランサー機構、最新のサウンドマネージメントにワイドレシオなトランスミッション、質量の大きなフライホイールなどの組み合わせによって、GB350は市街地での日常シーンから気持ち良さ全開です!
青木:停車中にさえ鼓動感が心に響きました。
山本:エンジンを掛けた瞬間から心が踊り、信号待ちでも、なにもない直線路でも退屈とは無縁でしょう。
■主役はライダー、ライポジはスーパーカブに近い!?
青木:オーソドックスなスタイルも好評です。
山本:モーターサイクルの印象を決定づけるのは、マシンそのものより、むしろライダーたちであり、私たちはライディングしている姿をもっとも美しく際立たせたいと考えました。ライダーとバイクの一体感を見据えながら、市街地からツーリングまで幅広いシーンでライダーの存在が際立つ車体構成を目指しました。
すっと伸びた上半身と、タンク側面に自然とヒザがくる堂々としたライディングポジションにしています。これは多くの人に受け入れられているスーパーカブやスクーターに近く、積極的にニーグリップしなくても安心して扱えるよう車体重心を設定しています。
ライディングポジションは、スーパーカブやスクーターに近い設計にしている
青木:フレームは鋼管セミダブルクレードル式。
山本:スチールのしなやかさを存分に引き出すため、最新の解析技術によって強度と剛性を高い次元でバランスさせ、節目のない一様な剛性分布とすることで、予見性の高い車体挙動、ゆったりとしたスムーズなハンドリングを実現しました。
青木:一歩先を行くこれまでのホンダ車とは違うアプローチですよね。
山本:既成概念や先入観にとらわれず、経験やスキルに大きく左右されずに楽しさを100%味わっていただけるモデルになったと確信しています。GB350でモーターサイクルの変わらぬ豊かな世界に出会っていただけることを願っています。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
異国の香り漂う「旬のバイク輸入車」おすすめ3選 バイクジャーナリストが試乗して厳選【2024年4月版】
Fav-Log by ITmedia / 2024年4月26日 19時0分
-
2ストロークエンジン車は、なぜあまり見かけなくなったのか?
バイクのニュース / 2024年4月22日 9時10分
-
ミドルクルーザー「スーパーメテオ650」にロイヤルエンフィールドの技術力と資金力とヤル気を感じる!!
バイクのニュース / 2024年4月20日 11時10分
-
ホンダ「ベンリイ」のルーツは1950年代!? 125ccでも免許不要で乗れる「便利」なバイクだった
バイクのニュース / 2024年4月15日 19時40分
-
最近、街でよく見かける300cc~350ccクラス! 特に気になった車種をピックアップします〜小野木里奈の○○○○○日和〜
バイクのニュース / 2024年4月15日 12時10分
ランキング
-
1映画「もののけ姫」の映えスポットで撮影した女性の投稿に大反響! 「言われなくても生きそう」「無敵感がすごい」
よろず~ニュース / 2024年5月2日 15時0分
-
2コンビニは「前向き駐車」すべき? なぜ「バック駐車」は推奨されない? “納得の理由”と守らなかった際の「悪影響」とは
くるまのニュース / 2024年5月2日 17時10分
-
3スターバックス、8日から“人気フラペチーノ”が復活 「絶対に買いに行く」と意気込む声が続出
Sirabee / 2024年5月3日 4時0分
-
4ゴミ屋敷「"開かずの間"を開けてみた」驚愕の顛末 結婚相手にも秘密だった自宅をついに片付けた
東洋経済オンライン / 2024年5月4日 13時0分
-
5国産米100%なのに「グミ食感」って...どういうコト? 老舗おせんべい屋さんが作った謎のお菓子を食べてみた
Jタウンネット / 2024年5月4日 17時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください