カワサキ「Ninja ZX」シリーズの最高峰「10R」とエントリーモデル「25R」 2つのモデルに共通する特性とは
バイクのニュース / 2021年4月25日 11時0分
カワサキは愛知県のスパ西浦モーターパークにおいて「カワサキプラザスタッフ向けNinja Team Green Cup講習会」を開催しました。そこでは新型の「Ninja ZX-10R」が展示されるとともに、コース使用の合間を縫って新型10Rを走らせることができました。試乗したジャーナリストの和歌山利宏は「10R」と「25R」にある共通点があることに気づいたようです。
■Ninja ZXシリーズの持つ共通性
カワサキはNinja Team Green Cupを企画、Ninja ZX-25R(以下: 25R)のワンメイクレースを開催し、モータースポーツを通じてバイクの面白さの拡げようとしています。そのカワサキプラザスタッフ向け講習会が先日、SPA西浦で行われたのですが、私の新型Ninja ZX-10R(以下: 10R)への試乗は講習会に展示された車輌によるものだったのです。
当然ながら、カワサキのスーパースポーツにおいては、25Rがベーシックな普及モデルで、ミドルクラスの6R(Ninja ZX-6R)、最上級となる10Rがラインアップされ、ライダーの技量や取り組み方に合わせたチョイスが可能になっています。
とは言え、先日のSPA西浦に並べられた25Rと10Rを眺め、両車が兄弟モデルであるとごく自然に感じられたことには、いささか意外な気がしないでもありませんでした。25Rもスタイリングは「Ninja」そのもので高いクォリティを思わせても、性能面では大きく異なるからです。
カワサキ「Ninja ZX-10R」新型モデルを試乗する筆者(和歌山利宏)
そのとき私が10Rと25Rを兄弟モデルと感じたのは、ハンドリングに通じるものがあるためだとしていいでしょう。もちろん、現地にはなかった6Rも仲間に入れることに異論はありませんが、ただ現行型の基本は07年型で、特性としては理想的で中立的と呼べても、10Rと25Rほどはそれらに通じる特徴を際立たせているわけではありません。
■「10R」譲りのハンドリングが与えられた「25R」
10Rのハンドリングの特徴やワールドスーパーバイク選手権での強さの秘密については、前回の試乗記でお伝えした通りですが、おさらいしておくと、10Rの車体は、エンジンのクランク軸が前方低めにあるのに対し、エンジン重心は高めに置かれています。
カワサキ「Ninja ZX-10R」新型モデルにおける1次旋回(左)と2次旋回(右)の様子
そのため、1次旋回ではクランクのジャイロ効果が抵抗となって安定性に富み、寝かし込みにくさを生かして舵角を入れやすい一方、2次旋回では高めの重心によって自然にリーンしてくれるわけです。1次旋回と2次旋回が明確に造り込まれ、それがジョナサン・レイのライディングスタイルとも合っているのです。
カワサキ「Ninja ZX-25R」における1次旋回(左)と2次旋回(右)の様子
そして、25Rではエンジンの軸配置や重心位置などが10Rに準じた設計であるとのことです。ひねくれた見方をすれば、設計者は実績のあるものを拠り所として取り組んだのであって、狙ったライディングスタイルの実現のためではなかったのかもしれません。でも、たとえそうだったとしても、車体ディメンジョンを10Rから受け継いだ25Rのハンドリングが10Rに通じることは事実です。
ダラダラと寝かしていくような乗り方だと、中間バンクから高重心であることのネガによって不安定に感じるかもしれませんが、初期に舵角を入れてから、ダイナミックにコーナーに飛び込んでいく感じでメリハリ良く乗ってやれば、至って従順です。
言ってみれば、両車はライダーに正しい乗り方を探求させてくれるハンドリングなのです。実際、25Rのコーナリングでは、今日的なレーシングスタイルよろしく上体を大胆にイン側に入れたフォームが似合います。
■サーキットのみならず一般道でも安定感のある走行を実現
となると、10Rも25Rもサーキット向きに先鋭化しているようですが、決してそうではありません。浅いバンク角ではクランクのジャイロ効果による安定感があり、特に25Rでは日常使用やツーリング走行でも快適で、一般公道に順応してくれます。また、電子制御サス装備の10R SEでは、サスの制御設定をソフトなモードにしてやれば、ストリートスポーツであるかのようなフレンドリーさです。
一般道においても安定感のある走りを見せるカワサキ「Ninja ZX-25R」
そして、両車ともワインディングでは、中間バンクまでの旋回性を生かしてリズムに乗って楽しむことができますし、リズムに乗るほどに面白くなります。
さらにサーキットでは、上手に乗ってやれば、自然と速さはあとから付いてくると言っていいでしょう。悪く言えば、万人に走り出すなり自身がうまくなったと思わせるようなハンドリングではないのです。これが逆に、いきなりうまくなったと勘違いさせるハンドリングだと、得てして速く走るためにはひたすら速く走ることに集中しなければならないことになりがちです。
そうした意味で、入門用ともなる25Rは、ライダーを育てていくハンドリング特性を備えていることになります。そして、同じ方向性で最上級の10Rまでステップアップしていけるのですから、カワサキのNinja Team Green Cupが長期的なビジョンの上で成り立っていると思えてくるのです。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
普通のバイクのスタイリングが安心感を生む! カワサキの原付二種電動バイク『Ninja e-1』に試乗します〜小野木里奈の○○○○○日和〜
バイクのニュース / 2024年11月25日 18時10分
-
どんな違いがあるのか!? 通常モデルとは違う仕様が用意されている中型バイク3選
バイクのニュース / 2024年11月21日 9時10分
-
また乗り始めたい! リターンライダーにオススメのバイクは、どんな車種?
バイクのニュース / 2024年11月20日 9時10分
-
なんかシュッとした? カワサキ「KLX230 S」新型モデル発売
バイクのニュース / 2024年11月11日 7時10分
-
ヤマハの自動変速機構「Y-AMT」搭載車に注目が集まるが…… 「MT-09」の最上級モデル「SP」は何が凄い?
バイクのニュース / 2024年11月5日 8時10分
ランキング
-
1「無性にコーヒーが飲みたい…」 実は鉄分不足が原因? 疲労増&集中力低下も
オトナンサー / 2024年11月27日 8時10分
-
2「トイレでスマホ」が招く危険...長時間座りっぱなしの健康リスクとは?
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月27日 17時50分
-
3「ワンタッチ痴漢」と言わないで…性犯罪を軽んじる言葉に警鐘 発信源と報道された警視庁に聞いた
まいどなニュース / 2024年11月28日 7時10分
-
4知っておくと便利「つらい咳」を止めるツボと食材 漢方に詳しい薬剤師が紹介する咳止め漢方3種
東洋経済オンライン / 2024年11月27日 12時30分
-
5カワノアユミの盛り場より愛を込めて なぜ外国人が日本人女性を買う現象が起きたか 国内外で波紋…「東京はアジアの新しいセックス観光の首都?」と題する香港紙記事
zakzak by夕刊フジ / 2024年11月28日 6時30分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください