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2輪系ライターの、仕事とお金 ~ベテランと中堅の狭間にいる伊丹孝裕の場合~ Vol.9

バイクのニュース / 2021年4月27日 11時0分

バイク専門誌の編集長を経て、フリーランスのライター(テストライダー)、ジャーナリストとして2輪メディア業界で活動する伊丹孝裕さんの、仕事とお金のリアルなお話です(全11話)。

■Vol.9「その他の収入」2輪系ライター、伊丹孝裕さん(筆者)のおはなし

 紙媒体でライターとライダーと編集者を兼任すると、原稿料、日当、そして編集代が主な収入になるわけですが、今回はそれ以外の収入を紹介しましょう。

 僕(筆者:伊丹孝裕)がやっていて楽しく、仕事の手離れがよく、可能なら週に2回くらいあると嬉しいのが、走行会のインストラクターや試乗会の先導です。実走と座学を通したレッスンが主な内容で、主催する団体の規模によって日当は3万円から5万円/日といったところ。

 この他、メーカーからプロモーションビデオやカタログの撮影、トークショーのゲスト出演などを依頼されることがあり、この場合は5万円から15万円/日とまちまちです。

 こうした業務の中、あまり知られていないのが「広報車両(メーカーが広報活動用に用意している貸出・撮影車両のこと)の慣らし運転」でしょう。最初は低回転で走り、エンジンと同時にミッションやサスペンションを徐々に馴染ませていく、バイクのストレッチ、あるいは準備運動的な走行です。

 これをきちんとやるか、やらないかでバイクのフィーリングは異なります。特にギアボックスのスムーズさは顕著に表れるため、広報車の入れ換え時期にこれを代行しているのです。1台当たり500kmほど走行し、パーツ各部の摺動性や作動性が向上したのを確認して返却。この後、オイル交換や点検・整備を経て、メディア向けに貸し出されるという流れです。

 ただし、まったく行なわないメーカーもあります。広報車両を引き取りに行くと、オドメーターの数字がわずか数kmというケースは往々にしてあり、それが原稿内容に影響していることは珍しくありません。

 インプレッション記事の中で「個体差かもしれないがサスペンションの動きが……」とか、「ミッションの硬さは走行距離の少なさを考慮する必要があり……」というような、ちょっと煮え切らない原稿を目にした経験はありませんか? その要因の多くが、慣らしや初期メンテナンスの差だと思います。

 逆に自身が慣らしを担当した車両が雑誌に掲載され、そこに「シフトチェンジが驚くほどスムーズに決まり……」なんて書かれていると、小さくガッツポーズ。もちろん、もともとの精度に因るところも大きいのですが、ささやかな喜びだったりします。

ライターと編集とライダーを兼ねるのが通常スタイルの筆者(伊丹孝裕)。メーカーの依頼で「広報車両の慣らし運転」も積極的に請け負う

 で、この慣らし業務がいくらくらいかというと、1台につき2万円から2万5000円といったところ。500kmという距離は、東京・京都間を高速道路でひとっ走り、往復なら浜名湖あたりで折り返せばいいだけですが、エンジン回転数もギアもじっくりまんべんなく使おうとすれば、そういうわけにもいきません。

 それゆえ、決して効率はよくない一方、いち早くニューモデルに乗り、じっくり検証できるというメリットもあり、知見を広げるためにも積極的に請け負っています。よりよい状態の広報車作りをお望みでしたら遠慮なくご依頼を、と営業しておきます。

 さて、ここまで長々と書き連ねてきましたが、2輪メディアにおける仕事内容と報酬のイメージをおおよそ掴んでもらえたかと思います。何かの参考になれば幸いですが、ならなくても「まあそうだよね」ということで、もう少し続きます。

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