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シャフトドライブ駆動方式バイクの仕組みとメリット・デメリットとは

バイクのニュース / 2021年5月8日 9時0分

バイクの駆動方法は、大きく3つに分けられます。チェーンとスプロケット(歯車)で、後輪に動力を伝えるチェーンドライブ、チェーンの代わりにベルトで伝えるベルトドライブ、ドライブシャフトと傘のような円すい形の歯車・ベベルギアで動力を伝えるシャフトドライブです。それぞれの駆動方式には特徴があり、メンテナンス方法も異なります。そのなかでもシャフトドライブを採用したバイクはメンテナンスだけでなく、操縦性・乗り味も独特と言われます。シャフトドライブ方式のバイクの仕組みと特有の乗り味ついて検証します。

■シャフトドライブの仕組みとは

 バイクの駆動方法は、チェーンドライブとベルトドライブ、シャフトドライブの3種類に分けられます。この3種類の駆動方法を比較すると、構造が大きく異なるのはシャフトドライブでしょう。

 シャフトドライブの仕組みは、エンジンの動力をドライブシャフト(棒状のパーツ)に伝えて、回転させ、その動力を後輪に伝える駆動方法です。例えるなら四輪車のFR(フロントエンジン後輪駆動)車のプロペラシャフトの役目を担うのがドライブシャフトです。バイクでは主に「シャフトドライブ」と呼ばれています。同じ機構を持った他の乗り物では呼び方が変わり、「ドライブシャフト」「シャフト駆動」「プロペラシャフト」などとそれぞれ異なった名称で呼ばれています。

 シャフトドライブ方式は、チェーンドライブのように構造が剥き出しになっていないため、動力を伝える歯車などのメカニズムを外側から見ることはできません。そのため、チェーンドライブのようなスプロケット消耗やチェーンのたるみ具合など、どれくらい消耗しているかを目視でチェックすることはできません。

 このシャフトドライブ駆動方法は最初からバイク用に発明されたものではありません。シャフトドライブの起源は、19世紀後半に発明されたと言われています。そして一部の蒸気機関車の動力伝達方法として採用され、前述のように自動車の動力伝達方法としても採用されるようになったと言われています。

 バイクで導入されたのは第1次世界大戦前、ベルギーのFN社が生産したバイクが最初にシャフトドライブを採用したと言われています(1966年にFN社はバイク生産を終了)。

現在も多くのバイクでシャフトドライブ方式を採用するBMW Motorrad

 その後、独BMW社が最初のバイク「R32」を発売。このバイクがシャフトドライブを採用していました。BMWのバイクは最初からシャフトドライブ機構を採用し、現在まで多くのバイクを開発、この分野について優れた技術を持っているメーカーと言って良いでしょう。

■シャフトドライブのメリット・デメリット

 シャフトドライブ駆動のバイクを購入したと仮定します。おそらく、とても助かると感じるのはメンテナンスの頻度が減ることでしょう。多くのバイクの駆動方式、ドライブチェーンは、頻繁にチェーンのたわみ具合をチェックする必要があります。このたわみが大きいと動力のロスが大きいだけでなく、スプロケットの消耗を早め、異音、故障に繋がります。加えて、泥やさびを取り、適度に注油も必要です。

 このようにチェーンの状態の確認や注油など、日常のメンテナンスをしなくても良いのがシャフトドライブのメリットです。動力を伝える部分がカバーされているため、小石や泥、さびで可動部分のトラブルを心配する必要もありません。シャフトドライブは、歯車と歯車を噛み合わせて、動力を後輪に伝えています。チェーンのたわみ調整のようなメンテナンスは必要ありません。そして、駆動効率もチェーンに比べて安定していると言われます。

シャフトドライブ方式を採用しているヤマハ「FJR1300」

 シャフトドライブ方式のバイクで、定期的に交換が必要なのはギアオイル(ドライブシャフトオイル)です。しかし、その交換頻度はエンジンオイルより少な目です。ヤマハ公式サイトの定期交換部品の目安としては、初回1000kmまたは1カ月目、それ以降は1万kmごと、または4年ごととされています。

 そして、メリットともデメリットとも言われるのが、シャフトドライブのバイクにある「トルクリアクション」と呼ばれる、加減速時に発生する独特の乗り心地です。

 表現としては、加速のときは後輪からグッと上に押し上げられるような感じ、減速のときは後輪を後ろに引っぱられるような乗り心地と言われます。乗り手によって意見が分かれますが、この乗り味を好み、ドライブシャフトのバイクを乗り継ぐライダーもいます。ただ、最近は技術のシンポでトルクリアクションをあまり感じなくなったともいわれます。

 シャフトドライブには良いことが多いように思えますが、その一方で、チェーンドライブのように手軽にスプロケットやチェーンを乗り手に合わせて交換し、カスタマイズすることができません。また、乗り手に合わせて、細かな変更がシャフトドライブ構造上とても難しいため、特にスポーツ走行するバイクには向いていないという問題点があります。加えて、チェーンドライブと比べて重量が重くなるのもひとつの特徴、デメリットです。

シャフトドライブ方式は、部品代やメンテナンス代が高くなる弱点・欠点があります

 シャフトドライブ車は細かな調整やメンテナンスは必要ないということをメリットとして挙げました。しかし、いざ整備が必要となると、そこには部品代やメンテナンス代が高くなる弱点・欠点も内包しているのです。

 シャフトドライブはその機構そのものがとても高くつく構造だと言われます。そして、高価な駆動方式を採用するということは、それだけバイクの本体価格も高くなってしまいます。これが多くのバイクがシャフトドライブを採用しない理由と言えるでしょう。

※ ※ ※

 世界のバイクを概観すると駆動方法にシャフトドライブを採用しているバイクは少数派です。国産メーカーであればヤマハやホンダ、海外メーカーであれば独BMWと伊モトグッツィ(Moto Guzzi)が有名なメーカーです。

 シャフトドライブ・バイク、チェーンドライブのように日々の細かい調整や清掃が不要であり、安定した走りと独特な乗り心地を持つバイクとして、とても魅力的ではないでしょうか。特に自分だけの個性派バイクを求める人にとって、シャフトドライブ駆動機構を採用したバイクは、良い選択肢のひとつと言えるでしょう。

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