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感覚でしかなかったバイクの上達が可視化で一目瞭然! ヤマハがライテク通知表を開発!?

バイクのニュース / 2021年5月7日 19時0分

もしも、オートバイの走行技量をデータで可視化できれば……!? ヤマハが挑み、ライディングスクールに新しいシステムを導入すると発表しました。一体どのようなものか、バイクジャーナリストの青木タカオさんが体験してみます。

■感覚的にしか教われなかったバイクテク

 自分の足りないところはどこか。学ぶべき点は何か。勉強でもスポーツでも、それが具体的にわかれば、上達への道がひらけるでしょう。

 オートバイのライディングはどうでしょうか。たとえばサーキットやモトクロス場などでタイムを競うなら「速くなった」と数字で成果が示せますが、奥深き走行テクニックを“速さ”だけで優劣つけるわけにはいきません。

 もちろん、上手いライダーは速く走れるものですが、エキスパートの安全な走りが、必ずしも速さとイコールではないことは、バイクに長く乗っている人なら誰もが知っていることでしょう。

 GPライダーの速さはもちろん尊敬しますし、雲の上の存在としか言いようがありませんが、安全に何十年も事故をおこさずに乗るベテランライダーもまた、尊敬に値するエキスパートと言えるのではないでしょうか。

■メリハリの効いた走りをせよと習ってきた

 ライディングの巧さがタイムだけでないのなら、他にどのような要素があるのでしょうか。教習所や技能試験でよく言われるものに、“メリハリの効いた走り”というものがありますが、「直線でしっかりアクセルを開けて加速し、コーナーの手前ではきちんと減速」と、教わったことがある人も多いはずです。

 そういえば、限定解除試験を受けたときは、メリハリのある運転を試験官に猛アピールしたものです。試験官は人間ですし、言ってしまえばメリハリのある運転は数値化されたものではなく、見た人の印象でしかありませんから、できるかぎりビシッと加速し、ギュッと減速していることを印象付けようと、必死だったことを覚えています。

 ビシッと加速、ギュッと減速……。はい、この文章からしても、いかにあやふやで感覚的なものであるか、こんなふうにしか表現できないのです。

ヤマハライディングアカデミー(YRA)の新システム「YRFS(ヤマハ・ライディング・フィードバック・システム)」。「加速・減速」と「旋回」を“見える化”し、ライディングを可視化することを可能にしています

 しかし、走行技量をデータで可視化できれば、猛アピールなど要りません。どこで加速が足りなかったか、減速が甘いか、一目瞭然ならば、テクニックを磨く際の課題も明確ではないでしょうか。

 そこで開発されたのが「YRFS(ヤマハ・ライディング・フィードバック・システム)」。ヤマハは初心者やリターンライダーを対象に、オートバイを安全に愉しむためのスキルを学ぶ大人のバイクレッスン「YRA(ヤマハライディングアカデミー)」に導入しました。

■走行データを可視化、それは大きな一歩

 スポーツの世界では、高速高解像度カメラと最新の画像処理アルゴリズムをベースに選手の動きを、3D関節座標・位置・角度、回転、スピード、重心等から分析し、トレーニングや対戦対策などに役立てています。

「YRFS(ヤマハ・ライディング・フィードバック・システム)」のフィードバックシート。加速/減速(上段)においては青(加速)と赤(減速)の「色」で判別。コーナリングにおいては青の濃淡で表現し、トラクションがかかっているほど濃い青で表示されます

 バイクライディングの動きやフォームもまた同様に可能なはずですので、ついにヤマハのバイクレッスンで体験できるのかとワクワクしましたが、それは早合点。今回導入される「YRFS」は、車体に簡易デバイス(GPSロガー)を搭載し、車両の位置・速度から走行時の「加速・減速」と「旋回」を“見える化”するシステムとのことでした。

 レッスン中に撮影したコーナリング時のライディング画像とともに、走行データがプリントされたフィードバックシートがレッスン受講後にもらえるのです。色の濃淡で、加速や減速がしっかりできているか、旋回時に最適な車体バンク角であるかがわかり、レッスンを受ける前と後で、どのくらい、どこで、どのように上達したかが一目瞭然。これまで「上手くなったなぁ」という感覚でしかなかったものが、明確になったというわけです。

■スクールの通知表として

 YRAインストラクターの南雲修一さん(ヤマハ発動機株式会社カスタマーエクスペリエンス事業部)は、こう言います。

「YRFS(ヤマハ・ライディング・フィードバック・システム)」の結果を基に解説、およびアドバイスを行う南雲修一さん

「帰宅後にフィードバックシートを見て、ライディングスクールに参加した成果を実感していただきたい。ここはこんなに上手くなった、ここはもうひとつだから次もまた頑張ろうと、スクールに参加し続ける励みになってもらえたら嬉しいですね」。

 YRFSの開発に携わった品川晃徳さん(ヤマハ発動機株式会社技術・研究本部 研究開発統括部)は「シンプルで見やすい、直感的にわかるフィードバックシートになったと思います」と、胸を張ります。

 筆者が良いなと思うのは、インストラクターコメント。学生時代の通知表には、各科目の成績のほか、先生からのコメント欄があり、一言添えられていました。

筆者(青木タカオ)の「YRFS」フィードバックシート。あえてメリハリなく走った1回目といつも通りに走った2回目では、加速/原則、コーナリングともに線の濃淡や色に明らかな違いが現れました

 バイクレッスンの場合、インストラクチャーからアドバイスをもらってもメモなどを取ることが難しい。こうして受講後に改めて要点が読めるのは、ありがたいかぎりです。改善ポイントの振り返りができる「YRFS」が、受講者の運転技術向上をサポートする役割は大きいと期待できます。

 コーナリング写真もあって、友人や家族に見せたくなるかもしれませんし、愛車との良い思い出にもなるでしょう。

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