輸入車はカッコいい!でもそれだけでは無い…輸入車のメリット・デメリットとは
バイクのニュース / 2021年5月8日 16時0分
独特のVツインや水平対向エンジンにシャフトドライブ、個性的なデザイン、大排気量なのに単気筒やバーチカルツイン、3気筒といったレイアウトで独特な個性を放つ。世界の個性派メーカーが日本に導入するバイクはどれも魅力的に思えます。そんなカッコいいインポートバイクに対する購買欲とは裏腹に、とても気になるのが実際に所有した際のデメリットではないでしょうか?
■輸入車のメリット・デメリットとは
輸入車のメリットは、国土の広い環境で利用することを想定したバイク設計で「疲れにくい」「走行&運動性能が高い」ことが大きな特徴として挙げられます。さらに、日本とは違うカラーリングセンスやバイクそのものの「デザイン」、車種によっては国内を走る台数も少ない「希少性」が、周りの国産バイクと違った個性を感じさせてくれます。
疲れにくい理由について、輸入車が国産車と大きく違う点は、欧州のアウトバーンやアウトストラーダなど速度制限のない、あるいは130km/h超の条件下で、国境を越えて高速で移動する手段として安定した走行が保てるバイクであること。そして、石畳・未舗装路・砂漠などの悪路でも走破できることなど、それぞれの国の環境に合わせた規準で企画されているということでしょう。速度制限もあり、ある程度整備された日本の道路で使用するにも、疲れにくいバイクであるということが輸入車の大きな特徴です。
輸入車の走行性能の高さを感じられ、わかりやすい例を挙げると「日本メーカーの逆輸入車」の存在でしょう。いわゆるエクスポートモデルで、見た目は国内モデルと同じデザインでも、国ごとの排ガス規制の違いから出力&トルクが異なり、異次元の走行性能を示すことがあります。国産車と排気量が同じ、もしくはやや多少小さいマシンでも、アウトプットは国産車よりも明らかに高いことも。また、カラーリングが国内モデルと異なり、個性を感じさせます。なかには日本のメーカーの製品でありながら日本未発売のモデルなどもあります。
また輸入車は、補修部品の在庫が国内に少なく、本国から取り寄せるなどで時間を要することもあります。さらに長距離ツーリングの出先で故障して購入したディーラーに頼れない場合、現場付近で対応できる輸入車専門店を探さなくてはならない事態もあり得ます。
日本自動車工業会の発表した2013年の世界の二輪車ブランド別生産シェアは、ホンダやヤマハなど日本メーカーを全て合わせると世界的に日本のバイクが世界シェアの半数以上を占めています。
■輸入車を扱う上での注意点
輸入車と聞くと、まず思い浮かぶのが「故障が多いのではないか」という問題です。故障の頻度に関していえば、国内外問わずバイクがハイスペック化しており、海外メーカーも日本の風土に合わせた対策部品やセッティングを施しています。いまや国産との差は特に目立つようなものではなく、単純な比較は難しくなっています。
BMW Motorrad「S1000RR」
ただ、最近は海外メーカーも日本法人を立ち上げるなどしていて、サポート対応も万全となっています。新車だけでなく中古車にも保証を附していることも多く、万一のときにも無償で修理を受けられるようになっている点は国産車と変わりません。
ただし、これはあくまでも正規代理店で輸入された「正規輸入」ものに限ることですので、海外モデルを合法的に現地で買い付けて行う「並行輸入」のバイクでは、バイクの販売店自体が別で何かの保証をつけていない限り、メーカー保証の対象にはならないことに気をつけねばなりません。この正規輸入車、並行輸入車による違いは、メーカー保証だけでなくリコール時の対応にも違い出ます。
リコールは構造や製造上の問題についての無償修理で、メーカー負担によって修理や対策部品への交換を行います。しかし、正規輸入車ではない車両は、リコール対応の欠陥などについてもユーザーの実費対応となることがあります。取り扱い説明書なども日本語では無い、故障時にも国内にある正規販売店では、トラブル防止のために修理を受け付けないなどの問題もあります。
ほかにも、日本に向けて正規輸出されたバイク以外は、買い付けた国の法規に沿ってスピードメーターが「マイル」表示、各部の注意書きなども現地の言語で記載されていて理解しにくいということも発生します。また、車両のナンバー登録を行うときに日本国内の保安基準に合致していなければ、車検を通すべく保安部品を揃えなければなりません。
故障の際に修理を自分で行うとしても、使う交換部品などを海外から取り寄せるのには輸送費や通関費などの製品価格以外の負担が必要で、加えて手元に届くまでに時間がかかることも珍しくありません。
結果、内容は正規輸入車と同じ修理でも、費用を比較すると割高になってしまうこともあるのです。国産車に比べて需要が圧倒的に少ないことで、バイク売却時の査定が低くなるモデルもあり、輸入車を扱うときには各メーカーの日本での正規販売店や、並行輸入車でも保証や修理を請け負うシステムがあるショップで、購入することをお勧めします。
KYMCO「DownTown」
逆輸入車のなかでも、東南アジア圏で販売される小排気量バイクは、比較的安く購入できることが多いようです。それでいながらパワーの違いはもちろん、装備面も充実しているなど、魅力あるモデルが揃っています。また、アフターパーツも国内のネット通販で入手でき、ヨーロッパやアメリカの中型や大型入車とはまた違った楽しみ方もできるバイクもあるようです。人と違う個性を求めて輸入車を物色しているならば、選択肢のひとつとして検討するのも悪くないでしょう。
※ ※ ※
輸入車の魅力は何かと聞かれれば、運動性能の高さ、個性的なデザインなどから「運転の楽しさ」や「所有する歓び」という要素が大きいものです。ただし、希少性が高いほどに盗難に対するセキュリティ費用も必要になります。実際の修理やメンテナンスに対する環境を整え、きちんと準備するなど、憧れや勢いだけで購入するのではなく、計画的に購入後の運用を含めて検討しましょう。
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