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バイクのメンテナンススタンドの役割と選び方とは

バイクのニュース / 2021年5月9日 9時0分

最近のバイクにはセンタースタンドがない製品が増えています。そのためサイドスタンドだけで駐車してメンテナンス作業することになります。しかし、バイクが傾いた状態のままで整備するのは、難しい場面も出てきます。そこで気になるのが「メンテナンススタンド」というアイテムです。実際にどのように利用するのか、ほんとうに便利で役に立つのか、たいへんに気になります。また、購入を決意してもラインアップが多彩で、使い方を含めてどのような基準で導入すれば自分に適したスタンドが選べるのか、情報を整理しました。

■バイクのメンテナンススタンドの役割とは

 バイクのメンテナンススタンドの役割は、「メンテナンス時の補助」「保管時の負荷軽減」「運搬時の車両の安定」の大きく3つのために活用されています。もっとも利用される場面は、やはりバイクのメンテナンス時でしょう。サイドスタンドでは浮かせられない前後車輪&タイヤをしっかりと地面から離すことができます。そのため、マシンを動かさずにタイヤやチェーンなどの駆動部分を回転させる作業も可能です。

 また、マシンを傾けずにしっかりと直立したまま固定できるのでオイルレベルが正確に確認できます。加えて、同じように直立させるセンタースタンドよりも安定性が高いことで、ホイール交換などの大掛かりな作業も安心して行うことができます。

 同様にバイクを長期保管するときに、メンテナンススタンドを利用することで、タイヤへの負荷を排除できます。通常装備のサイドスタンドなどよりもタイヤへの負荷が減るため空気圧の低下も少なく、さらにタイヤの変形も起こりにくく、寿命が伸びるという大きなメリットもあります。

 トランスポーター(トランポ)などを利用してバイクを運搬する場合にも便利なパーツです。車内でバイクを固定する支点にメンテナンススタンドを利用することで、タイダウンベルトとともにバイクの転倒を防ぐための安定性が大幅に向上し、移動中の段差通過などの衝撃による転倒で起こる、バイクの破損を防ぐ効果も大いに期待できます。

 ひとりでも簡単に使え、作業が行えることもメリットです。まず、メンテナンススタンドにかける前の準備として、サイドスタンドは出したままの状態で、安全のためにフロントブレーキをベルトなどで完全にロックした状態をキープします。次いで、ハンドルを左に切ってサイドスタンド側に重心を寄せておきます。

リアを持ち上げるときには、スイングアームを受けるフックの幅に合わせてメンテナンススタンドの爪を調整します

 リアを持ち上げるときには、スイングアームを受けるフックの幅に合わせてメンテナンススタンドの爪を調整します。フックがないバイクのときにはスタンドを受ける「受け」を用意してそれにスイングアームを載せる状態にします。そのため、リアから覗き込むような姿勢で、片手でタンデムバー(グラブバー)や、タンデムベルト(シートベルト)を持って車体を引き上げ、反対側の手でスタンド動かして両側のフック位置に合わせます。

 メンテナンススタンドの爪が、車体のフックやスイングアームをしっかりと掴んだ状態になったら、バイクのタンデムバーなどを両手で持って車体を支えて倒れないように気をつけ、スタンドの先端を足で踏み込めば車体がリフトされます。メンテナンススタンドの持ち手のいちばん高い部分、もしくはハンドルガードの部分が、完全に接地した状態でセット完了です。

■メンテナンススタンドの選び方とは

 メンテナンススタンドを選ぶには、まず種類・ラインアップ・仕様の違いを確認しましょう。違いを知ったうえで、「フロント用」「リア用」「ジャッキアップタイプ」のなかから自分の用途に合わせ必要な製品を選びます。

フロント用のメンテナンススタンドは、車種によってスタンドの構造が変わります

 フロント用にもさらに種類がいくつかあり、国産車にはフロントステムにある穴を起点にしたタイプが一般的です。一部輸入車などでステム穴がないマシンは、フロントフォークの下部を起点に持ち上げる「フォークアップスタンド」を使います。しかし、このフォークアップスタンドは、フロントフォークを起点にしているのでフロントフォークの取り外しができないというデメリットがあります。

 メンテナンススタンドには「フロント/リア兼用」タイプもありますが、車体のバランスが取れずに転倒する恐れがあるためフロント単体だけの使用はできません。このタイプでも必ず2つ用意し、先にリアにかけてからフロント側にかけるようにしてください。

日常点検ではチェーンやホイールの清掃、タイヤの脱着から駆動部周りの注油などリア側用途が多くなります

 メンテナンススタンドは、日常点検ではチェーンやホイールの清掃、タイヤの脱着から駆動部周りの注油などリア側用途が多くなるので、まず、リア用スタンドから購入しておくと作業の幅も広くなります。リア用のメンテナンススタンドの大きな違いは「サイズ」で、より車体を軽く持ち上げられるロングタイプと、コンパクトなショート(ミニ)タイプに分けられます。自宅などで大きなスペースが確保できる場所ならロングタイプの方が扱いやすく、トランポなど限られたスペースでの利用には、持ち運びも手軽で狭い場所でも使えるショートタイプがお勧めです。

 一般的なメンテナンススタンドの耐荷重は200kg~300kg程度の商品が多いようです。カタログ上でそれ以上の車重がある大型車や、カタログ値では許容範囲に収まるけれど数値差が少なく心配なときなどは、ジャッキアップタイプならば耐荷重500kgの製品もあります。これならば車重があるバイクでも簡単にリフトさせることができますが、ジャッキそのものの自重がかなり重いという点に気をつけましょう。

 メンテナンススタンドを選ぶときには、利用する車種・環境・用途をよく考えて、自分に合った製品を選ぶようにし、設置作業は手順を守って慎重に行い、フロント用は単体で利用できないので、必ずリア用を用意してから使うことを忘れないでください。

※ ※ ※

 メンテナンススタンド選びは、まず「サイズ」「受けのタイプ」「耐荷重」をよく確認することが大切です。また、マフラーのサイレンサー位置によっては、干渉しないような「ロータイプ」や、持ち運びや保管場所のスペース効率が高い「折りたたみ式」、モタードやオフロードバイクのように車高の高いマシンに向けた「リフトスタンド」など、用途や車種に応じた幅広い商品があります。自分のバイクと用途に合ったメンテナンススタンドを選びましょう。

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