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社会の重要なインフラとしてバイクが見直されている【ホンダモーターサイクルジャパン室岡社長インタビュー2回目/全3回】

バイクのニュース / 2021年5月13日 11時0分

三密回避の乗り物として二輪が注目されています。バイクの存在価値が改めて見直されるニューノーマルの時代。株式会社ホンダモーターサイクルジャパン室岡克博社長(57歳)に、バイクジャーナリストの青木タカオさんがアレコレ聞いてみます。2回目/全3回

■ニューノーマル時代に目指すこと

青木:高性能ハイスペックをウリにしたモデルより、レブル1100やGB350といったテイスティなモデルが売れていますが、どう見ていますか。

室岡:スペックには表れないデザインやスタイル、足つき性など、いまの時流やライフスタイルにマッチしているのだと思います。乗っている姿がよく、二輪専門誌や二輪専門Webはもとより、SNSなどインターネット上でバズった事も大きいのでしょうね。

青木:バイクが三密回避の乗り物とも言われています。

室岡:三密回避の乗り物として注目されたかについては、因果関係のあるデータがないので申し上げられませんが、2020年度は前年度と比べて出荷台数が増えました。

 特に外食自粛やテレワークなどによるデリバリー需要の増加で、ジャイロやベンリイなどのビジネスバイクの増加に加え、免許の取得容易化による原付二種や、軽二輪は若年層を中心に増加しました。

 また、小型二輪の販売台数も前年度より伸長しています。部品の受注も増加したことから、個人による二輪車の修理・再生や中古車市場も活発になっていると考えていいでしょう。

 閉塞感のある世の中ですが、それを打ち破るパワーと自由、開放感がバイクにはあり、だからこそ今の時代に求められているのだと思います。

外食自粛やテレワークの普及、免許の取得容易化による原付二種や、軽二輪は若年層を中心に登録台数が増加している

青木:AT小型限定普通二輪免許を含め、免許取得者数も増えています。

室岡:二輪車が社会のインフラとして非常に重要なモビリティとしての役割を果たしていて、その存在価値が確実に見直されているのではないでしょうか。これらを追い風に、将来に向け持続的で発展的な市場づくりへ努力していきます。

青木:販売店は人気機種のバックオーダーを抱えているそうですね。

室岡:受注の増加もありますが、色々な要因が重なりお客様はもとより販売店様にも大変ご迷惑をおかけしております。供給課題を解決し、お客様・販売店様の信頼を獲得していく。

 今後も起こり得る受・供給リスクを想定し、店頭の在庫管理の精度を上げ、生産・販売計画に反映させていくことが、ニューノーマル時代の対応に必要となります。

ホンダドリーム店には、若い人が集まりやすい環境が整いつつあり、販売店のスタッフも同世代で、非常に話しやすく、親身に相談にのってくれることが高評価を得ています

青木:ホンダドリームが162店舗、250cc以下のコミューターモデルを中心に取り扱うホンダコミューターが4500店舗ほどありますが、大きなイベントができない現状では、お店単位でユーザーとのつながりを強めていくしかありませんね。

室岡:二輪の販売店様にいま若い人が集まるようになってきました。販売店様のスタッフも同世代で、非常に話しやすく、親身に相談にのってくれることが高評価につながっています。

 良い循環になっているのが、スタッフの方々も、もともとはそのお店のお客様で、『ここでぜひ働きたい』と言ってくれて採用が決まるケースも出てきています。バイクに乗る若年層としての感動体験を同じ目線で伝えられて共感されているのです。

■カーボンニュートラルに向けて

青木:次世代モビリティへの対応は?

室岡:次世代に向け、化石燃料の代替エネルギーとして、電動化への取組みを加速させていきます。ホンダは、世界的に厳しい排出ガス規制への対応に対し、グローバルかつ地球規模の視点で、従来よりエンジンによる省燃費性能を追求した二輪車を開発、生産、販売してきました。

今後もさらなる省燃費エンジン搭載の二輪車を開発すると同時に、電動化への取組みも加速させていく

青木:スーパーカブなんて驚異的な高燃費です。”Well-to-Wheel”(油田からタイヤを駆動するまで)のCO2排出量は、必ずしもEVがエコとは言い切れません。

室岡:今後もさらなる省燃費エンジン搭載の二輪車の開発と並行し、電動二輪車を法人様の需要を中心に、種々のご意見を頂きながら、お客様に満足いただける将来のパーソナルEVに向け、継続的な開発・販売を続けると同時に、各種の実証結果を踏まえ、バッテリーのリユース、リサイクルまで含めた寿命想定と、それによる事業性の検証を持続的におこなっていきます。

2022年3月25日には、ホンダビジネス向けEV「ジャイロ e:(ジャイロ イー)」を法人向けに発売

ホンダビジネス向けEV
2019年12月 BENLY e:(ベンリィ イー)シリーズ発売
2020年1月 日本郵便株式会社の郵便配達業務で使用。
2021年3月 ジャイロ e:(ジャイロ イー)発売

室岡:環境性能に優れる電動二・三輪車が、スーパーカブのようにより多くのお客様の身近な存在となるよう普及に向けて取り組みます。より静かでクリーンな生活環境の提供に寄与していきます。

青木:航続距離や充電時間が電動普及のカギだと思いますが、バッテリーも各社で共通化して欲しいです。

室岡:共通利用を目的とした交換式バッテリーと、そのバッテリー交換システムの標準化検討を進め、「電動二輪車用交換式バッテリーコンソーシアム(以下、コンソーシアム)」が、ホンダ、カワサキ、スズキ、ヤマハの4社により2019年4月に発足しました。

 相互利用を可能にする交換式バッテリーと、そのバッテリー交換システムの標準化(共通仕様)に合意したことを上記4社で今年3月26日に発表しました。これによって国内で電動二・三輪車を業界一致して次世代モビリティとして加速させていきます。

■ハイブリッド車の可能性

青木:PCXハイブリッドのようなスターターモーターを併用したハイブリッド化は、他のモデルでも進んでいくのでしょうか。

室岡:PCXハイブリッドは、優れた環境性能に備えたエンジンを搭載するPCX をベースに、「お客様にもっと走る喜びを」を開発のテーマに掲げて、常時作動しているガソリンエンジンに、ACG スターターを活用し、スタート時や加速時のモーターアシストを行うハイブリッドシステムとしています。四輪で言うところのマイルドハイブリッドです。

 これにより、PCX(エンジン)の卓越した環境性能はそのままに、PCXハイブリッドはさらなる走りの喜びを新しい価値として提案するモデルとなっており、排気量の大きい四輪のハイブリッド車の「低燃費重視」の技術とは多少異なります。

PCXハイブリッドモデルは、四輪のハイブリッド車の「低燃費重視」の技術とは多少異なります

青木:なるほど、ありがとうございました。次回は今後の国内二輪市場の見通し、2018年4月にスタートした2チャンネルの販売網、ホンダドリームとホンダコミューターについてもお聞かせてください。

つづく。

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