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バイクに装備されているキックスタートとは

バイクのニュース / 2021年5月18日 9時0分

現在、バイクのエンジンの始動方法はセルスターターが主流です。しかし、人力でエンジンをかけるキックペダルを備えたバイクも見かけます。キックペダルはセルスターターとは異なり、独特の手順でエンジンをかけなくてはいけません。それはどのような方法なのでしょうか。

■バイクのキックスクーターとは

 キックペダルでエンジンをかけるときの手順をご紹介します。まず、キックスタートとは、人力でペダルを踏みこみ、エンジンを始動する方法です。ペダルは「キックペダル」「キックレバー」と呼ばれ、エンジン横に装着されています。

 ペダルを足で勢いつけて踏み込み、回すと歯車を介して、クランクシャフトが回りエンジンが始動する仕組みです。今ではセルスターターでエンジンをかけるのが当たり前になっていますが、セルスターターが普及する前は、キックスタートがエンジンの始動方法でした。

 エンジン排気量が50cc以下のスクーターでは、キックスターターとセルスターターの併用が現行モデルでもあります。

 しかし、マニュアルトランスミッション車では、キックペダルが装着されているモデルが珍しくなりました。現行モデルでは数えるほどしかなく、中古車市場では、まだセルスターターとキックペダルを併用したバイク、キックスタートだけのバイクもあります。

キックペダルとセルスターターを併用しているヤマハの「TW225」

 セルスターターとキックペダルを併用したバイクの代表例は、カワサキ「W650」、スズキ「グラストラッカー」「ジェベル250XC」、ヤマハ「TW225」、ホンダ「CB400SS」は発売当初はキックペダルだけでしたが、途中からセルスターターとキックペダルを併用したモデルになっています。キックペダルだけでエンジンをかける有名なバイクは、ヤマハ「SR400」または「SR500」でしょう。

 キックペダルのエンジン始動は、セルスターターに比べて手間がかかり、古く不便なように思えますが、バッテリーあがりのときは重宝します。

 バイクのバッテリーがあがったとき、バイクを押しながら、ギアを入れてエンジンをかける「押しがけ」が対処方法の1つ。しかし、キックスターターがあると「押しがけ」に比べて、楽にエンジン始動ができます。

 キックスタートの特徴として、エンジン排気量が大きくなると、それだけシリンダー内の圧縮が高くなり、キックスターターも重くなります。排気量が小さい場合、例えばホンダ「リトルカブ」「エイプ50」「エイプ100」に付いているキックペダルでエンジンをかけるときは、多少の圧があっても足の力でペダルを押し込めます。

しかし、排気量が大きいエンジンでは、シリンダー内の圧が高い状態のキックペダルを押し込むには、圧を抜くレバーを「デコンプレバー」を使用します

 しかし、排気量が大きいエンジンでは、シリンダー内の圧が高い状態のキックペダルを押し込むのに負担が大きく。負担軽減するため、シリンダー内の圧を抜く「デコンプレッション」が必要になります。その圧を抜くレバーを「デコンプレバー」と言います。ヤマハ「SR400」と「SR500」にはデコンプレバーが付いており、圧が高くなりキックスターターが重くなったときは、レバーを引いて圧を抜きます。

 カワサキ「W650」は「オートデコンプ」を搭載されており、レバーを引かなくても自動で圧を抜いてくれる仕組みです。

 キックペダルでエンジンを始動するとき、ただ圧を抜き、踏み込めばよいというものではなく、手順があります。

■キックスタートのやり方とは

 キックペダルを使ってエンジン始動する手順。特に排気量の大きいバイクは事前の手順があります。

 ハーレーの旧車では「コールド・スタートキック」と言われる事前にエンジンにオイルを行き渡らせ、エンジンのシリンダー圧力を高めるための準備をします。これもキックペダルでエンジンをかける前の作業の1つです。

 大抵の場合は、チョークを引きエンジン始動用に混合気を濃くしておきます。続いて、エンジンのシリンダー内、ピストン位置を調整。キックペダルを回していくと、ペダルが重くなっていき、あるところを超えると軽くなります。軽くなったとき、シリンダーから圧が抜けたことを意味しています。

 ピストンが最も高い位置を「圧縮上死点」と言い、ペダルを踏んでいくと、ピストンは圧力を高めながら「圧縮上死点」に向かってあがり。同時にペダルの抵抗が大きくなります。この段階でデコンプを使ってシリンダー内の圧を抜き、さらにペダルでピストンの位置を上に調整。

SRには、ピストンがシリンダー内で一番上にあがった「圧縮上死点」を見る穴があります

 ピストンがシリンダー内で一番上にあがった「圧縮上死点」を超えて、下がり出したところでピストンを止め。次にキックペダルの位置を踏み込みやすい高さにします。そこから勢いをつけて、キックペダルを踏み込み、エンジンをかけます。

 踏み込んだ直後に注意することは「ケッチン」です。ケッチンとは、踏み込んだキックペダルがエンジンの回転を受けて、勢いよく跳ね戻ってくることを言います。この「ケッチン」に当たるのは危険で、脱臼、骨折の事例もあり注意が必要です。キックスターターを踏み込んだら、すぐに足をペダルから抜いて、右横に上げましょう。

 3回、4回やって、エンジンがかからないときは、シリンダー内に溜まった混合気を抜くために、少し待ったほうがよいと言われます。シリンダー内に混合気が多すぎると、プラグが湿ってしまい点火不良や、エンジン始動時に強力なケッチンが起きることがあるからです。

キックスタートを行い場合は、センタースタンドを立てキックする方が、車体が安定します

 車種によってはサイドスタンドが弱いため、キックペダルでエンジンをかけるときは畳むことが推奨されています。センタースタンドがあるなら、センタースタンドを立ててキックするほうが車体は安定します。

 キックスタートはセルスターターのエンジン始動とは、手順や注意することが多いと言えます。いずれ旧車や絶版車に乗りたいと思う人には必要となる知識でしょう。

※ ※ ※

 キックスタートは人力でエンジンをかける始動方法、キックペダルを踏み込む前に準備と手順があり、同時に注意することがあります。

 最近ではセルスターターが主流となり、珍しい方法になってきました。しかし、まだセルスターターとキックペダルを併用したバイク、キックペダルだけでエンジンをかけるバイクはあります。正しい手順でけが予防をしながら、キックでエンジンをかける楽しみを味わいましょう。

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