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MotoEライダー 大久保 光のレースレポート「天候やレギュレーションに翻弄されるも、自信を取り戻した第2戦」

バイクのニュース / 2021年5月24日 19時0分

日本人初のMotoE(FIM Enel MotoE World Cup)ライダーとして、2021年シーズンを戦うことになった大久保 光選手のレースレポート第4弾! 今回は、第2戦の様子をレポートしてくれました。

■転倒リタイアとなるも戦えることを確信

 皆様こんにちは。レーシングライダーの大久保 光です。私はいま、アンドラに滞在しています。

 本来の予定ではル・マンでのレース後はウクライナに行く予定でしたが、搭乗予定だった飛行機が急遽欠航になってしまったことに加え、ウクライナ国内での新型コロナウイルスの新規感染者数が上昇傾向にあるために、今回はウクライナ行きを断念せざるを得ませんでした。

 ウクライナは、新型コロナウイルスが猛威を振るう以前には、ヨーロッパでレースを戦う為の拠点のひとつにしていた国で、ウクライナの首都キエフに拠点があるレーシングチーム協力のもと、トレーニングバイクを用意できるなど、しっかりとした環境が整えられました。そのため、今回渡航できなかったことは、私自身とても残念に思っています。
 
 ウクライナに滞在していた当時は、西からリヴィウ、キエフ、オデッサ、ハリコフ、そしてドネツク州のスラビャンスクなど、様々な土地を訪れました。今年は夜行列車の旅もしたいし、久しぶりに現地の友達にも会いたいと思っていたので、早く新型コロナウイルスが落ち着くことを、心から願っています。
 
 さて、今回の本題に入ります。5月16日におこなわれたMoroEワールドカップ第2戦、フランスラウンドが開催されたサーキットは、24時間耐久レースでも有名な、ル・マンです。
 
 私が昨年まで参戦していたスーパースポーツ世界選手権では、ル・マンでのレースはなかったのですが、2017年にフランスの耐久チーム、ナショナルモトスから24時間耐久レースに参戦した際にル・マンを走った経験があったことに加え、私のライディングスタイルに合っているサーキットでもあったので、MotoEマシンでも走れることが楽しみ仕方ありませんでした。
 
 もちろん電動バイクで走るのは初めてなので、初日は久しぶりとなるル・マンサーキットの確認と、どのセクターをどう走ってタイムを上げていくかというポイントに重点を置き、セッションをこなして行きました。
 
 しかし、私自身の期待とは裏腹に、不安定な天候が続き、雨が降ったり止んだりと非常に難しいウィークとなります。

電動バイクの世界選手権MotoE(FIM Enel MotoE World Cup)に日本人として初めて参戦しいている大久保 光選手。第2戦、フランスラウンドは不安定な天候の難しいレースウィークになったようです

 それでも、試行錯誤を繰り返し、土曜日のフリー走行3本目では、金曜日の反省点を活かしてタイムアップに成功! トップタイムで終えることができました。

 しかし予選直前に雨が降ってきてしまい、通常ならEポールがおこなわれる予定でしたが、12分間の計時予選に変更されます。この計時予選も、MotoE独自のルールで12分の内、周回できるのはインラップ、アウトラップを含めて6周までと決められており、その短い時間のなかで、マシンとライダー自身をアジャストしなければなりません。
 
 電動バイクで雨のなかを走ること自体も初めてで、さらにはミシュラン製のレインタイヤを使うのも初めてだったのですが、前日にホンダ・チーム・アジアの監督として現地に来ていた青山博一さんと話しをした際に、色々とミシュラン製レインタイヤについてのアドバイスをいただき、またLCRホンダの中上選手からは、ル・マンの雨で気をつけるポイントを教えて頂いていたので、その辺りのアドバイスを参考に、最初の2周は様子を見て、残りの2周でアタックしようと計画を立てました。
 
 その結果、予選では3番手タイムを出すことができましたが、タイミングが悪く、私がベストタイムを記録したラップに黄旗が出ている区間があり、今年からMotoGPのルールに則り、黄旗中に周回したラップタイムは無条件で抹消となるため、最終的に10番手となりました。
 
 ペナルティの件については、私自身もチーム監督も納得できず、抗議に行きましたが結果が覆ることはなく、ルールはルールと諦めるしかありませんでした。
 
 仕方がないとは思いますがMotoEは他のクラスとは違い、インラップ、アウトラップを含めて周回数の上限が6周と決められているため、自分のタイミングでアタックができないことに加え、今回の黄旗に関するペナルティは、私がそのセクターを通過した後、後続のライダーが転倒して出た黄旗だったため、不可抗力としかいいようがない状況です。
 
 しかし結果は結果なので、それは受け止めてレースでどのように追い上げるかを考えるよう、気持ちを切り替えて決勝に挑みました。

 決勝日は再びスケジュールが変更となりMotoGPクラスの決勝後のスタートとなりました。MotoGPクラスの決勝は天候が不安定な荒れたレースとなりましたが、MotoEの決勝時間は完全なドライコンディション。スタートを決め、4コーナーを抜ける頃には5番手までポジションアップすることができました。

 また、自分のペースも悪くなかったので2周目にはトップに出ることができたのですが、その矢先、3コーナーでイン側から来て止まり切れなかったライダーに追突されてしまい転倒。そのままリタイアとなってしまいます。

電動バイクの世界選手権MotoE(FIM Enel MotoE World Cup)に日本人として初めて参戦している大久保 光選手

 正直、ウィークをとおしてとても調子が良かったので、悔しい気持ちでいっぱいですが、今回のレースをとおして、自信を取り戻すことができました。昨シーズンは散々なレースばかりで、流石にネガティブになっているところがありましたが、私もまだまだ戦えると改めて思うことができたのです。
 
 結果は最悪なものになってしまいましたが、この悔しさをしっかりと次戦のカタルーニャラウンドに向けていきたいと思います。
 
 ル・マンの後はバルセロナに戻り、チームの好意もあって、ヤマハYZF-R6(旧型)を借りることができ、カタルーニャサーキットでトレーニングをおこないました。

大久保 光選手がトレーニングで仕様したヤマハ「YZF-R6」(旧型)

 カタルーニャサーキットは走ったことがなかったので、チームにお願いして実現したトレーニングです。また、当日はドゥカティ・レノボ・チームからMotoGPに参戦するジャック・ミラー選手も練習に来ており、彼が普段トレーニングで使っているバイク、パニガーレV4Sでも、カタルーニャサーキットを何周かさせてもらうことができました。
 
 どちらも初めて乗るバイクでしたが、それぞれに新しい発見があって、とても面白かったです。最終的に、1日で80周以上も周回ができ、とても有意義なトレーニングとなりました。
 
 アンドラでの生活のなかでも、しっかりとトレーニングに励み、更なる上位を目指すので、皆様、引き続き応援宜しくお願いします。

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