ヒューズが頻繁に切れる…その役割と交換方法とは
バイクのニュース / 2021年6月1日 9時0分
セルモーターが回らない、ヘッドライトがつかないなどの症状がバイクに起きたら、ヒューズが切れているかもしれません。ヒューズを交換しても、その症状が何度も起きるようなら、ヒューズ以外の箇所に問題を抱えている可能性があります。それはどういったものでしょうか。
■ヒューズの役割とは
ヒューズを交換しても、すぐにまた切れる。そういう症状がバイクに出てきたら注意が必要です。バイクの電気配線に過剰な電流が流れているからです。過剰電流となる原因はどんなものでしょうか。
ヒューズとはあらかじめ電流の上限(アンペア)が決められており、バイクの電気配線に規定された電流以上の電流が流れたら、ヒューズ内の配線が切れる(溶解する)使い捨ての電気回路です。家の電気で例えるならブレーカーと同じような役割です。ブレーカーは家電の使い過ぎで上がり過ぎた電流を止めるために作動する仕組みです。
バイクでヒューズが切れるのは、家のブレーカーと同じように電気の使い過ぎのときもあります。しかし、それ以外にも経年劣化による配線の漏電やレギュレーターの故障など一言で言えない場合もあります。
もし、バイクの配線を守るヒューズが切れなかったら、上限を超えた電流が配線に流れ、配線が焼けて、最悪の場合は火災の原因になります。加えて過剰電流で使用不可になった配線は交換が必要となり、そのコストはバイクのオーバーホールと同じくらいの作業費になることもあります。
そのような事故を防いでくれるヒューズは切れることで、電流をカットできる仕組みとなっています。
ヒューズが切れる原因を一言で言うなら過剰電流です。問題は過剰電流となった理由をはっきりさせないといけません。理由はいくつもあり、いつも同じとは限りません。例えば漏電でヒューズが切れたとして、その理由となるのは、配線の端子がほかの端子や金属パーツと接触していた。配線の覆っているカバー(被膜)が破れてショート。洗車や雨で電極や配線のつなぎ目が水に濡れてショートなど、そのときによって理由が変わると言えます。
ほかにも発電機であるオルタネーターの電圧を調整するレギュレーターの故障、単純にヒューズそのものが経年劣化で壊れたという場合もあります。しかし、最近になってヒューズが切れる理由の1つに電装パーツの付け過ぎが考えられます。
ETCなど電装パーツをバイクに装備するときは、ヒューズ切れにならないように配線には気をつけましょう
以前と違い、電気を使うバイクの装備が増えました。ETCやナビ、スマホ充電器、ドライブレコーダーなどの電装パーツを使うときに電源を1つの配線から取ってしまい、家のブレーカーと同じように電気を使い過ぎてヒューズが切れるという場合もあります。
■ヒューズの交換方法とは
切れたヒューズの交換はシンプルです。切れたヒューズを引き抜き、新しいヒューズを差し直すだけです。その作業に特殊な資格も工具もいりません。ヒューズは、ヒューズボックスの中にまとめてある場合が大半です。シート下、バッテリーのそば、サイドカバーの下など、バイクによってヒューズボックスの場所は違うため、いざというときのためにボックスの位置を確認しておきましょう。
ヒューズボックスのフタや内側に記載のあるアンペアのヒューズを適切に使用しましょう
ヒューズボックスのフタや内側にはどの配線に関係しているか分かる案内が書いてあります。主にヒューズが関係しているのはヘッドライト、点火プラグに点火用の電気を通すイグニッション、ウィンカー、テールランプ、ラジエターのファン、セルモーターなどです。
それに加えて予備ヒューズがボックスに入っています。もし、中古バイクを購入したときは予備ヒューズを確認したほうが良いでしょう。前のオーナーが使っている場合があります。ヒューズにはタイプがあり、ガラス管ヒューズ、平型ヒューズ、ミニ平型、低背型など違いがあります。
さきほど、ヒューズの交換は差し替えるだけと説明しましたが、注意する点はあります。まず絶対にしてはいけないのは電流数(アンペア)の違うヒューズを差すことです。
ヒューズには電流の上限が決まっていて、平型ヒューズであればヒューズの上の部分に5A(アンペア)、10A、15Aと数値が表記されています。加えて、ヒューズの色は耐えられる電流の数値がすぐに分かるように色分けされています。もし切れたヒューズが10Aなら、交換するヒューズは必ず10Aのものを使ってください。5Aのものを差すと、10Aの電流に5Aのヒューズは耐えられないためすぐに切れます。
その一方で、高い電流に耐えられるという理由で15Aのヒューズを差すと配線が焼ける可能性があり危険です。
まず、ヒューズが切れるとバイクに起きる現象がいくつかあります。ウィンカーが付かない、点滅速度が速くなる、ブレーキランプがつかない、エンジンが掛からない、ヘッドライトがつかない、グリップヒーターやスマホ充電器用USBなど取り付けた電装パーツが機能しないなどが起きます。
灯火類が点灯しない場合はバルブなどをチェックし、切れていない場合はヒューズを確認しましょう
ヘッドライト、ウィンカー、ブレーキランプが点かない場合はバルブチェックを先にしましょう。バルブ切れの可能性もあります。バルブ切れでない場合はヒューズボックスのなかをチェックして、不調が起きている箇所のヒューズを引き抜き、チェックして下さい。ヒューズが切れていたら、同じ色(同じアンペア)の予備ヒューズと交換します。
小ネタ要素でヒューズが切れる瞬間は音がします。「ギチ」「ブチ」というような音がシート下から聞こえたときはヒューズボックスを一度のぞいてみましょう。もし、ヒューズが切れていた場合は販売店や修理工場で点検を依頼しましょう。漏電なのか、単なるヒューズ自体の劣化なのか、原因を調べたほうがバイクの状態がわかるため安心です。
ただし、整備士であっても簡単に原因を見つけられないときもあり、ヒューズが切れたときの状況を細かく伝えると、原因はすぐに分かる場合があります。
※ ※ ※
過剰な電流が配線に流れるとヒューズは切れます。ヒューズが切れるということは配線が過電流で焼けてしまうのを防いでくれたことになります。過電流となった原因を調べて、過電流とならない処置をバイクにしましょう。
電気配線の問題は、気づきにくい箇所が多いため、頻繁にヒューズが切れるときは販売店に点検を依頼しましょう。
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