【MotoGP】ドゥカティが8台体制で帝国を築くか? V・ロッシがプレイングマネージャーとしてVR46で走る可能性も!?
バイクのニュース / 2021年6月11日 19時0分
2020年、6台のマシンを擁し、コンストラクター部門のタイトルを手にしたドゥカティ。噂の通り、2022年シーズンは8台体制でチャンピオンシップに臨むのだろうか?
■8台体制を模索するドゥカティ・ファクトリー
MotoGPの2020年シーズン、ドゥカティは他のメーカーに比べて多い6台のマシンを擁し、コンストラクター部門のタイトルを手にした。
今シーズンもファクトリー・チームの2台に加え、プラマック、エスポンソラマのサテライト2チームにデスモセディチGPを2台ずつ供給。優勝回数で上回るヤマハと激しい争いを展開している。そしてここに来て、2022年はさらにマシンを増やし、8台体制でチャンピオンシップに臨むべく交渉を進めているという話が入ってきている。
ドゥカティのスポーティングディレクター、パオロ・チャバティが「私たちは過去にそれを実現し、8台のマシンはテーブルにある」と語る通り、実際に8台のデスモセディチGPが用意された場合、その割り振りは、果たしてどうなるのだろうか?
■アプリリアと袂を分かつグレシーニも有力候補
すでにドゥカティ・レノボ・チームのジャック・ミラーとフランチェスコ・バニャイア、プラマック・レーシングのヨハン・ザルコとホルヘ・マルティンは、2022年も同じ体制で参戦することが明らかにされ、この4人に最新のマシンが供給されることも確定済みだ。
2022年も最新マシンの供給を受けるドゥカティ・レノボ・チームのフランチェスコ・バニャイア
残り4台の供給先についてはいくつかのシナリオが考えられるが、2021年いっぱいでアプリリアとの契約を終了するグレシーニ・レーシングもその有力候補だ。
グレシーニは2015年からアプリリアのファクリー・チーム運営を請け負ってきたが、今後は違うメーカーのサテライト・チームとして活動していくことを表明している。
COVID-19に起因する肺炎で2月末にこの世を去ったファウスト・グレシーニ
今シーズン初めの時点ではスズキが新たなパートナーになるのでは? と予想されていたが、スズキのチームマネージャーとして交渉の前面に立っていたダビデ・ブリビオがアルピーヌF1へと移籍。チーム代表のファウスト・グレシーニがCOVID-19に起因する肺炎で2月末にこの世を去る悲劇もあった。
スズキは今年の春頃をサテライト・チーム準備のタイムリミットと設定していたため、とりあえず2022年はこれまで通り、2台体制で臨むことになりそうだ。
エネア・バスティアニーニ
グレシーニがドゥカティとタッグを組んだ場合、現在エスポンソラマで走るエネア・バスティアニーニが起用されることになるだろう。
そしてもうひとりのライダーは、グレシーニからMoto2に参戦し、第4戦スペインGPで優勝したファビオ・ディ・ジャンアントニオになる可能性が高い。このイタリア人ライダーは、グレシーニとMotoGP昇格を前提にした契約を締結している。
2022年より自らファクトリー・チームを運営することになるアプリリアもサテライト・チームを持つ計画があり、その候補の筆頭として気心の知れたグレシーニにもどうやらオファーを出している模様だ。
マシン2台供給に対し、アプリリアが出した条件は300万ユーロ(約4億円)。一方、ドゥカティが2022年型を1台、2021年型を1台の計2台供給した場合の条件は500万ユーロ(約6億7千万円)と見られている。
■チーム・VR46とライダー起用を巡って駆け引き
そしてもうひとつの有力候補は、ヴァレンティーノ・ロッシ率いるチーム・VR46だ。
ヴァレンティーノ・ロッシ
今季はエスポンソラマが持つ枠をひとつ提供してもらうようなかたちでスカイ・レーシング・チーム・VR46として参戦しているが、2022年以降は独自のチームで最高峰クラスに挑戦することが公になり、メインスポンサーとなるサウジアラビアの国有石油会社、サウジアラムコと年間1,600万ユーロ(約21億円)の契約を結んだことも先日発表されている。
ロッシの異父弟でもあるルカ・マリーニは継続起用になりそうだが、もうひとりのライダーについては、ドゥカティとVR46の間で意見が異なっているようだ。
前述した通り、バスティアニーニがグレシーニから参戦することになれば話はスムーズだが、交渉がまとまらなかった場合には、ドゥカティとしてはVR46からエントリーさせたい意向だ。
2020年のMoto2王者、バスティアニー二はロッシと同胞であり、“イタリア人ライダーでMotoGPに挑む”というチームのコンセプトにも合致している。成績的にもマリーニより健闘しており、何の問題もなさそうだが、VR46としては、現在自分たちのMoto2チームで走り、VR46ライダーズアカデミーで腕を磨くマルコ・ベッツェッキのステップアップを望んでいる。
■選手兼監督ロッシがドゥカティを駆る可能性も
ここにロッシ自身の去就も絡んでくる。
今シーズン、サテライトのペトロナス・ヤマハ・セパン・レーシング・チームから参戦する“THE DOCTOR”には、これまでと同じくファクトリー・スペックのYZR-M1が供給されているが、ヤマハとの契約には、あらかじめ設定されたリザルト、ランキングをクリアすることが条件となる『パフォーマンス条項』といわれる内容が盛り込まれている。
第9戦オランダGP後のサマーブレイク中に「MotoGPでの将来を決めることになる」そうだが、第7戦カタルニアGPを終えた時点で最高位が10位、計15ポイントでランキング19位という成績では、いくら長きにわたって貢献してきたとはいえ、さすがにヤマハとしても来季以降のサポートについて考えざるを得ない。
ヴァレンティーノ・ロッシの後継ライダーとして名前が挙がっているラウール・フェルナンデス(レッドブル・KTM・アジョ)
すでにヤマハ・ファクトリーのマネージングディレクター、リン・ジャービス、ペトロナスのチーム代表、ラズラン・ラザリが、ロッシの後継ライダーに当たりをつけているとパドックで囁かれ、Moto2クラス1年目ながら2勝を挙げているラウール・フェルナンデス(レッドブル・KTM・アジョ)、このシーズンオフにアプリリアからMotoGPに昇格するオファーをもらったジョー・ロバーツ(イタルトランス・レーシング・チーム)、ペトロナスのMoto2チームに所属するシャビ・ヴィエルヘの名前が具体的に挙がっている。
VR46がドゥカティと組んだ場合、最新マシンが1台供給されるという話もあり、もしもヤマハを離脱したロッシが現役続行を強く希望した場合、プレイングマネージャーとして、デスモセディチGPを駆り、2022年シーズンを戦うという可能性も決してゼロとはいえないだろう。
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