トライアンフ製バーチカルツインの王道「Bonneville T100(ボンネビルT100)」の魅力とは
バイクのニュース / 2021年6月15日 11時0分
英国の老舗バイクメーカー「TRIUMPH(トライアンフ)」には、人気の「Bonneville(ボンネビル)」シリーズがあります。その中でも最もクラシカルなスタイリングの「ボンネビルT100」に試乗しました。
■微妙にわかりづらくなった各車の特徴
2016年から展開が始まったトライアンフの水冷バーチカルツイン(シリンダーが直立したレイアウトの並列2気筒)エンジンシリーズは、当初は3機種のみでしたが、現在は9機種がラインアップに並んでいます。そして台数が増えた結果として、門外漢には各車のキャラクターが微妙にわかりづらくなっているようです。
もっとも、「ストリートスクランブラー」と「スクランブラー1200」が悪路走破性を意識していること、「スピードマスター」と「ボバー」がクルーザーであること、「スラクストンRS」が往年のカフェレーサースタイルを再現していることは、少しでもバイクの知識がある人ならすぐに理解できるでしょう。ただしほかの4台は、車名で誤解をする人がいるかもしれません。
まず王道の「Bonneville(ボンネビル)」には「T120」と「T100」の2種が存在しますが、「T120」の数字が排気量と一致しているのとは異なり、「T100」の排気量は900ccです。余談ですが、1950年代から1960年代の同社の車名の数字は、マイル表記の最高速が通例でした。
そして「ストリートツイン」と「スピードツイン」は、車名からは類似性を感じますが、「ストリートツイン」がコスト抑制を意識したベーシックな車両であるのに対して、「スピードツイン」は現代的な運動性を追及したスポーツバージョンです。なお当記事で取り上げる「ボンネビルT100」の立ち位置は、「T120」の弟分であると同時に、「ストリートツイン」のクラシック仕様と言えそうです。
■兄弟車の2年遅れで各部の改革を実施
2021年のトライアンフのバーチカルツインシリーズは、9台中7台が仕様変更を受けています。中でも最も大きな刷新を受けているのが「T100」で、まずエンジンは排気量を拡大することなく、最高出力を55psから65psに高めています。
排気量900ccの水冷並列2気筒SOHC4バルブエンジンを搭載。シリンダーが地面に対して直立した配置の「バーチカルツイン」はトライアンフの伝統を象徴するもののひとつ
一方の車体に関しては、ニッシンからブレンボに変更されたフロントブレーキャリパー、カートリッジ式となったフロントフォークのダンパーなどが注目すべき要素で、車重は従来型より4kg軽い229kgになりました。
ただしそれらの変更は、「ストリートツイン」と「ストリートスクランブラー」が2019年型で行った刷新の内容と同様ですから、「T100」は2年遅れで改良を受けたわけです。そう考えると「T100」は、同社にとって重要度が低いモデル……なのかもしれません。
とは言え今回の試乗で「T100」を体感した私(筆者:中村友彦)は、実際に自分がトライアンフのバーチカルツインを購入する立場になったら、相当に迷いそうですが、この車両を選ぶ可能性が十分にあると感じました。
■兄貴分のT120より、元祖ボンネビルに近い?
一昔前ほどではありせんが、バイクの世界には“大きいことはいいことだ”、“排気量が大きいほうがエライ”という考え方をする人が存在します。しかしボンネビルの「T120」と「T100」を同条件で試乗して、そう断言できる人は決して多くはないでしょう。もちろん、絶対的なパワーや低中回転域のトルクは、排気量が300cc大きい「T120」のほうが上です。さらに言うなら価格が高いぶん、パワーユニット外観の仕上げは「T120」のほうが凝っていますし、電子制御も「T120」のほうが充実しています。
トライアンフ「Bonneville T100(ボンネビルT100)」(2021年型)
とはいえ、「T100」には軽さという武器があるのです。まず車重が8kg軽いので、押し引きとハンドリングは明らかに「T100」のほうが軽快で、エンジンフィーリングに関しても、排気量の小さい「T100」のほうが格段に軽やかです。逆に「T100」を体感すると、「T120」の重厚な特性はクルーザーを連想する人がいるかもしれません。
そのあたりを考えると、1959年に登場したシリーズの原点、いろいろな意味で軽快だった元祖ボンネビルに通じる資質は、「T120」より「T100」のほうが味わいやすい、と個人的には思います。
ただしそういう視点で見るなら、排気量が同じ900ccで、車重がさらに軽い「ストリートツイン」(217kg)と「ストリートスクランブラー」(221kg)のほうが、もっと原点に近いのかもしれません。と言うより、じつは今回の試乗までの私は、「T100」よりも、その2機種のほうに魅力を感じていました。
でも2021年型で行われた変更が功を奏したようで、現在の私の中では「T100」の株が急上昇しています。中でも、中回転域のトルクの太さ、足まわりの落ち着きのよさ、前輪の接地感のわかりやすさなどは印象的で、極端に言うなら、このモデルこそが900ccのメインで、他2機種は派生機種のような気がして来ました。
オーソドックスなヘッドライトまわり。灯火類はLEDではなく従来のハロゲンバルブ
まあでも、「ストリートツイン」の価格の安さとシートの低さ、「ストリートスクランブラー」のアップマフラーとフロント19インチホイールにも、捨て難い魅力があるのは事実です。だから3台の中から1台を選ぶのは容易ではないのですが、昔ながらの乗り味に加えて、昔ながらのオーソドックスなスタイルが好みのライダーにとっては、「ボンネビルT100」が最有力候補になるでしょう。
※ ※ ※
トライアンフ「Bonneville T100(ボンネビルT100)」の価格(消費税10%込み)は128万円からとなっています。取材車両のカラーリング(ルーサンブルー/フュージョンホワイト)は131万9600円です。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
ドゥカティ現行車では唯一!? 空冷Lツインを搭載する第2世代スクランブラー「アイコン」の魅力
バイクのニュース / 2024年11月22日 12時10分
-
トライアンフから「人命救助協会を支援するオークションにおいて、2台のBond Editionが過去最高額で落札」のお知らせ
PR TIMES / 2024年11月1日 20時40分
-
歴史ある筆記体ロゴとモダンなスタイル! トライアンフが25年に向けたモダンクラシックな限定車「ICON EDITION」を発表
バイクのニュース / 2024年10月31日 17時10分
-
トライアンフから、25年のモダンクラシック限定車として「ICON EDITIONを発表」のお知らせ
PR TIMES / 2024年10月30日 10時15分
-
トライアンフの筆記体ロゴが約100年ぶりに復活! 限定「アイコン・エディション」7車種を一挙発表
レスポンス / 2024年10月30日 9時0分
ランキング
-
1「一人暮らしの老後」を充実させるコツ3つ
オールアバウト / 2024年11月28日 21時40分
-
2ホコリが積もると火事に…コンセント周辺の掃除をサボると危険! 確認すべき5つのポイント
オトナンサー / 2024年11月28日 20時10分
-
3日本株に“トランプ・ショック”直撃か…「関税引き上げ」に国内経済界は戦々恐々
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月28日 16時3分
-
4『推しの子』終盤展開の問題 実写やアニメで「改変」を望む声が出ているのは何故なのか
マグミクス / 2024年11月28日 20時55分
-
5急な「めまい」発作の"引き金"となる6つの要因 とくに急激な「気圧の変化」には注意が必要
東洋経済オンライン / 2024年11月28日 20時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください