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バイクに装備されているラジエターの役割とは

バイクのニュース / 2021年6月22日 9時0分

バイク乗りにとって日々のメンテナンスは快適な運転に欠かせない作業でありますが、必ずしも毎日のようにケアしてあげなければいけないパーツばかりではありません。たとえばバイクの走行に欠かせないラジエターは1ヶ月に1回程度のケアで事足りますが、身近なパーツゆえにラジエターがどのようなものなのかをきちんとわかっていない新米ライダーも少なくないでしょう。ラジエターとはいったいどのような役割があるパーツなのでしょうか?

■バイクのラジエターの役割とは

 ラジエターとは、簡単にいうと水冷のバイクを動かす原動力をつくる際に生まれる熱を冷ましてくれる機構です。バイクの原動力はご存知のようにガソリンをエンジンに送り込む過程で燃焼・爆発させることで、ピストンを動かして動力を発生させます。

 すなわちエンジン内では何度も何度も燃焼や爆発を繰り返しますから、当然ながらそのまま燃焼や爆発を続ければエンジン内は高温状態が維持され、熱が別の金属パーツへと伝播して人が乗れるような状態にはならなくなります。極端な例ですが、熱した鉄板のうえで肉を焼くのと同じようなシチュエーションになり得る、といっても差し支えないでしょう。

 そこで熱を冷ますためにあるのがラジエターで、エンジンを冷ますために送り込まれ、熱を吸収して熱くなったラジエター液をラジエターの網目から取り込んだ外気で冷ましてあげます。

 エンジンに帯びた熱を奪うのはラジエター液なのですが、熱くなったラジエター液では熱の吸収ができなくなるので、ラジエター液・ラジエターがセットにならないと意味をなさないので、ラジエターは必要な存在でもありましょう。

 なお、エンジンに熱が帯びれば物理的に乗れなくなるだけでなく、エンジン内を潤してくれているエンジンオイルを劣化させ故障の原因をも招く致命的な原因にもなり得ます。

 エンジンオイルの役割のひとつはエンジン内で動く機構(ピストン)がなめらかに動かすことがあげられますが、ピストンなどは他のパーツと密接しているので常にパーツ同士で摩擦が生まれる環境下にあります。エンジンオイルは摩擦によってピストンが傷つかないよう保護してくれているのですが、エンジンオイルは高温にさらされ続けると粘度(滑りやすさ)が失われてしまい、ピストンへの摩擦の発生、そして損傷につながり故障に至るのです。

 何もつけていない手を擦り合わせ続けると熱が生まれて皮膚が擦り剥けるように、ピストンも何もない環境下で動き続ければ擦り減り続けるのと同じ理屈といえましょう。

■空冷、油冷、水冷エンジンの違いやメリットとは

 ラジエターの役割がおわかりいただけたところで、セットで覚えておくとよいのはエンジンの種類です。ご自身が乗られているバイクにどんなエンジンが積まれているかを知っているか知らないかでは万が一の故障時にも対応の可否が変わりますので、ぜひおさえておかれるとよいでしょう。

空冷エンジンを搭載するヤマハのSR400

 まずメジャーなものとして空冷エンジンがあげられます。空冷エンジンは読んで字の如く空気(走行時の風)を用いることでエンジンを冷ますタイプで、後述する水冷エンジンとは違い自然の力を使うため、エコロジーであるともいえます。エンジンに備え付けられたフィンなどによってエンジンを冷やすので、構造の簡単さかが空冷エンジンのよさでもあります。

 ただし後述する油冷や水冷エンジンと違って風に頼った冷却システムでもあるので、夏場のような風すらも生温いような季節では十分にエンジンを冷ませられないという側面もあり、飛び抜けて優秀であるとも言い難いでしょう。

油冷エンジンを搭載するスズキのジクサー

 続いて今では希少種ですが、油冷エンジンというタイプもあります。スズキのジクサーに採用されている油冷システム(SOCS)は、潤滑と冷却を別経路とし、燃焼室周囲にオイルジャケットと呼ぶ細い冷却用オイル経路を張り巡らし、熱伝達面積を拡大。オイルの流速を上げ、燃焼室全体を均一に素早く冷却できます。オイルジャケット壁面に設けた凹凸がオイルの流れを乱すことで温度境界層を衰退させて熱伝達を向上し、エンジン温度を適温に維持することができます。

 ただ空冷エンジンとは違い、物理的にそしてダイレクトにエンジンの熱を奪うので熱吸収の面では空冷エンジンよりも優秀であるといえましょう。

日本では多くの車種が生産されている水冷エンジン搭載モデル

 そして最後に、日本国内で生産されるバイクの主流ともいえるのが水冷エンジンです。水冷エンジンはエンジン周りにラジエター液(クーラント液)が流れる水路が張り巡らされており、水路内を流れるラジエター液がエンジンで発生した熱を吸収して冷ましてくれます。

 空冷エンジンのように外気で冷ますのとは違って、一度あたためられたラジエター液は熱い状態ではエンジンの熱を吸収することができませんから、ラジエターから入ってくる外気でラジエター液を冷まして循環させ、いわばエンドレスに熱を冷ましては熱を吸収する、を繰り返すのです。

 ラジエター液を循環させるためには後述のようにエンジン周りに水路を用意しておかなければならないので、空冷エンジンと比べると車体のサイズが幅広になりやすく、車体が大きくなりがちなのがネックといえましょう。

※ ※ ※

 ラジエターとは熱を帯びたエンジンを冷まして故障を防ぎ、引いては走行の安定をもたらしてくれる大切な存在であるといえましょう。またエンジンを冷やす仕組みひとつにしても空冷や油冷、水冷といった数種類に及びます。

 すなわちエンジンが違えばなにかあったときの対処の仕方も違いますから、ご自身のバイクにはどんなエンジンが積まれているのか、しっかりと理解しておく必要があります。

 特にラジエターは走行中にぶつかった虫でも網目が容易につぶれるので、いつどのようなことが起きても大丈夫なようにご自身のバイクの仕様を理解しておくことが重要であるともいえましょう。

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