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サンダンス「スーパーXR」試乗 多くの経験に照らしても上位にランクインするオリジナルマシンの面白さ

バイクのニュース / 2021年7月4日 11時0分

ハーレーダビッドソンのチューンングやカスタムを施す老舗ショップとして知られる「サンダンス」はこれまでに数々のバイクを作り上げてきましたが、同店を象徴する存在と言っても過言ではないコンプリートマシンが「スーパーXR」でしょう。はたしてその実力はどれほどのものなのでしょうか。試乗してみました。

■キレイなリズムを刻むエンジンと完成度の高いコーナリング性能

 ここに記した試乗記は、このバイクを丹精込めて作り込んできたショップ『SUNDANCE(サンダンス)』(東京都世田谷区)や、ハーレーダビッドソンが「XR」で数多く築き上げた歴史、伝説、逸話といった部分を抜きにして、多くのバイクに乗ってきた経験に照らし、このバイクを評価したものです。ビハインドストーリーに関しては、渡辺まこと氏がしたためる(きっと)シズル感タップリ含んだリポートをごらんください。

 なんと、1995年から26年もの時間をかけて成長したというサンダンスの「スーパーXR」。なぜ冒頭のような前口上を述べたかといえば、乗った印象をピュアに語ることこそ歴史や技術に対する礼節だと思ったからです。

 まず、性能を出すために空冷OHV45度V型2気筒エンジンは、前後のシリンダーとも後方吸気、前方排気としているため、ライダーの右の膝まわりにはキャブレーターとエアクリーナーがドンと居座っています。小ぶりなシート、スポーツスター系に通じるミッドコントロールとなるステップの位置、肩幅と同程度の広さを持つハンドルバーなど、最初は独特のポジションに慣れることから始まりました。

「久々のキャブレターだ」と思ったものの、あっさりと始動し、その後のアイドリングもどこにもバラツキがなくスムーズ。ちょっと拍子抜けします。

 少しアクセルをあおってみても、ふたつのシリンダーは待ってましたとばかりにキレイなリズムを刻みます。これ、いわゆる前後のシリンダーが吸いこむ混合気が同量で均等な感じです。アクセルワイヤーにも不要な遊びが無く、しっかりと整っている。クラッチワイヤーも、クラッチスプリングの適正な重さを感じるだけでケーブル類の嫌なフリクションを感じません。

サンダンス「スーパーXR」と筆者(松井勉)

 ギアを1速に入れ、クラッチを繋いでも滑らかに駆動力が後輪へと伝わる瞬間、整備の行き届いた様子がハッキリと分かり、これで最初の距離感が縮まります。

 2000rpmを目処にシフトアップ。しっかりとした、しかし雑味のないトルクです。アクセル操作通りにライダーの意思「1」に対し、エンジンも「1」を返すというもの。良い仕事をするだけで「もっと回せ、回せばスゴいぞ!」などとすごんできません。

サンダンス「スーパーXR」に搭載されたオリジナルエンジン

 鼓動感があるのはこのエンジンの特徴ながら、そこに無駄な振動はありません。最初の曲がり角で前後のブレーキを使った瞬間、アクセルやクラッチ同様、意思通りのタッチと制動力を生み出すことに感心。信頼関係はまさに短時間で醸成されました。良い意味で何所にも尖ったところがない。バランスされしっかりと調律が取られている。それがスーパーXRだと言えそうです。

 郊外の道を流しながら最初に感じた扱いやすさ、乗りやすさはそのまま。オリジナルのエンジンでありながら、ここまで全体のバランスの中に溶け込むと、それはもはや脇役。いえ、それは助演賞ものの働きです。

 右に左にカーブを重ね、走る気持ちよさが際立ち始めます。前後のサスペンションもオリジナルで仕立てたものながら、フロントフォーク、リアショックというように個々の存在を主張する部分はありません。スイングアームピボットやステアリングヘッドなど、バイクで大事な働きをする関節が正確に動き、役目を果たしている様子です。なにより、タンクやフェンダー類など鉄製部品を使うハーレーに対して、このバイクは軽量なアルミや強化プラスチックなどを使っています。それも理想の動きをする源泉でしょう。

サンダンス「スーパーXR」。オリジナルのサスペンションも理想的な動きを見せてくれます

 減速時、ブレーキングに応じたライダーと車体の自重にかかる前方向への慣性を活かして適正なピッチングを生み出し、タイヤをじんわりと路面に押しつけます。安心感が高い! 

 そこからコーナリングへとシームレスにつながる車体の様子は、完成度の高いコーナリングマシンです。前後17インチにワイドなラジアルタイヤを履いたバイクとは異なり、フロントに19インチ、リアに18インチの細身のタイヤを組み合わせているにも関わらず、そのグリップ感というより接地する様子や、前輪に舵角が着く様子が分かりやすく、描いたライン通りに走ってくれるのです。

 ワインディングでもその印象は全く同じでした。エンジンは3500rpmあたりからブーストが掛かったように力強さが増します。とはいえ、それは段付きロケット的加速ではなく、あくまで予想の範囲内。OHV、ロングストロークのエンジンとは思えない目が覚めたような加速は、6000rpmを過ぎても続きます。旋回中でも車体とパワーのバランスは素晴らしく、思わず「おいおいおい!」と頬が緩みます。この先、延々にワインディングが続けば良いのに……。そう思いはじめた頃、燃料がリザーブになり、吸い混むガソリンが来なくなったエンジンは静かにその動きを止めたのです。

サンダンス「スーパーXR」。ワインディングでも素晴らしいバランスを見せてくれます

 燃料タンクのタップをリザーブにすると、最初の始動時と変わらぬ規則正しさでスーパーXRのエンジンは動き出します。短時間の試乗でしたが、その面白さは多くの経験に照らしても上位にランクインするもの。バランスが取れた作り込みにこそスーパーXRへの情熱を感じずにはいられません。まさにサンダンスのワークスマシンと呼びたくなる完成度だったのです。

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