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なぜバイクのタイヤは黒色をしているのか

バイクのニュース / 2021年7月8日 9時0分

タイヤが黒い理由をご存じでしょうか。ゴムはもともと黒いものではありません。では私たちが目にするタイヤはなぜ黒いのでしょうか。

■なぜタイヤの色は黒なのか

 まず初めに、もともとゴムは黒いものではありません。では私たちが目にするバイクなどのタイヤはなぜ黒いのでしょうか。理由はタイヤの原料に使用される「カーボンブラック」と言われる黒い粒子がタイヤを黒色にしています。

 カーボンブラックとは直径300~500nm(ナノメートル)の細かな黒色の粒子。「カーボンブラック協会」のWebサイトではカーボンブラックは「原料の油を不完全燃焼させて得られる煤状の化学品です。真っ黒で非常に軽く、扱いにくい製品…」と説明され、工業生産物の扱いとなっているそうです。

 では、もともとのタイヤの色はどんな色なのでしょうか。カーボンブラックがタイヤの材料として使用される前までタイヤの色は白色や飴色であったとされます。しかし、その色もタイヤのゴムに混ぜられていた炭酸カルシウムの影響でついた色とされます。

 1912年最初にカーボンブラックをタイヤの補強材として使用したとされるのが、SUVのタイヤを販売するBFグッドリッチです。以降はタイヤにカーボンブラックを混ぜるのが普及していき、タイヤが黒色になっていったとされます。

 タイヤは天然ゴムや合成ゴムなどを主原料として、ポリエステルコードやナイロンコードなどタイヤコードと呼ばれる繊維でタイヤの骨格を形成。そこにゴムの弾力を高めるため、配合剤として硫黄が使用されます。これを「加硫」と呼びます。

 しかし、加硫だけではタイヤに十分な強度を持たせることができないため、補強材としてカーボンブラックやシリカを加えてタイヤの強度を上げ、高荷重に耐えられるようなタイヤが出来上がるということです。

 カーボンブラックはタイヤの補強材だけに使用されているわけではありません。ほかのバイクや自動車のゴム部品やベルト、黒色染料としても用途があります。そう説明されるとバイクの衝撃吸収のダンパーなどゴム製のパーツがほとんど黒色のような気がしませんか。

カーボンブラックには電気を通す材料「導電材料」としての用途もある

 ほかにもカーボンブラックには電気を通す材料「導電材料」としての用途もあります。つまり電気をよく通すということです。

 落雷で安全な場所の1つで「車の中」と聞いたことがあるかもしれません。その原理は雷の電気が車に通電しても、電気は車体を通り、電気を通しやすいカーボンブラックを含むタイヤから電気は地面へ放電するというものです。カーボンブラック多く含むタイヤは電気を逃がすアース線としても役立っていると言えます。

 タイヤの強度を上げる補強材としてカーボンブラックを使うからタイヤが黒色になる。ではカーボンブラックの量を減らす、または別の補強材を使用したら、タイヤの色を黒以外にできると想像できるのではないでしょうか。

■黒色以外のタイヤは存在するの?

 最近、オレンジやライムグリーンなど鮮やかな色のタイヤをつけている自転車を見たことはないでしょうか。自転車のタイヤでは黒色以外のタイヤ、カラータイヤが徐々に増えてきています。カラフルな色のタイヤは、バイク用タイヤでもサイズはかなり少ないですが販売されています。

バイク用カラータイヤは、少ないですが販売されています

 カラータイヤを作る方法は主に2つあるとされます。1つはカーボンブラックの量を減らす、または使わずにシリカでタイヤを補強、ゴムを着色してタイヤを作成。もう1つは黒いタイヤに塗料で着色するという方法です。

 いくつかのベンチャー企業がカラータイヤを販売しており、カラータイヤは技術的には製造可能であると言えるでしょう。しかし、ネットでは簡単に見つかるカラータイヤが広く普及しているようには思えません。特にバイクや自動車ではカラータイヤを見かけることは、ほぼないと言えます。

 技術的にはカラータイヤは作成可能。しかし、普及しないのはなぜでしょうか。大手タイヤメーカーブリヂストンもタイヤのサイドウォールに塗料を使用した「ECOPIA EP001Sカラーサイド」を2013年6月に販売しました。しかし、同年の8月には販売停止、2015年には販売を終了しました。

 今のブリヂストンのラインナップを見てもサイドウォールにペイントを施したタイヤ製品はありません。製品としてある程度の販売が見込めなかったのではないでしょうか。カラータイヤが普及しない理由はタイヤ性能への疑問と販売店や私たち消費者の先入観かもしれません。

 まずカラータイヤの性能に対して批判的な見かたがあり、グリップ力の不足や劣化が早いという意見があります。賛否両論があるとされますが、シリカを補強材として使用したタイヤはカーボンブラックを使用したタイヤに比べて性能が落ちるということです。

 加えて、シリカはカーボンブラックより電気を通しにくく、そのままでは静電気を十分に路面へ放電できないとされており、タイヤメーカーは導電スリットをタイヤにつけて対処したとされます。

 以上のようにカラータイヤに対しての不安や疑問が解消されないとカラータイヤが人気になるのは難しいかもしれません。さらにデザインを求めるのであればホイールを替えたり、塗装したりすると足回りのカスタムはできてしまいます。タイヤは一定の期間が経つと交換が必要という消耗品である以上、色やデザインよりも耐久性やグリップ力といった性能を重視されるのでしょう。

 例えば私たちが靴を買うときに気にするのは、履き心地や靴の全体のデザインではないでしょうか。靴裏の模様やアウトソールの色までこだわりを持つ人は少なくありませんか。もし目的に合わせて靴を変えるように、タイヤを変える時代が来たらカラータイヤはもっと広く普及するかもしれません。

 技術的には製造が可能なカラータイヤは、需要の少なさと性能に対しての不信、不安が普及の妨げになっていると言えるのではないでしょうか。

 補足でカーボンブラックの代わりにシリカの量を増やしたタイヤは今では多く販売され、すでに身近な存在となっています。自動車用には「低燃費タイヤ」と呼ばれるタイヤがシリカの量を増やしたタイヤです。

※ ※ ※

 タイヤが黒いのは材料にカーボンブラックと言われる黒い粒子が補強材として使用されているからです。カーボンブラックをシリカに切り替えると黒くないタイヤが製造可能。しかし、黒色以外で着色したカラータイヤは普及していない。とはいえ、技術的には十分製造可能であるため、カタログで見かけたときは製品仕様をよく読んでみると新しい発見があるかもしれません。

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