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空冷単気筒400の魅力って? ヤマハ最後の「SR400」と、ロイヤルエンフィールドの新型「ヒマラヤ」に乗って考えてみた

バイクのニュース / 2021年7月21日 11時0分

排気量400ccクラスの空冷単気筒エンジンを搭載し、2021年で1978年から続く歴史に幕を下ろしたヤマハの人気モデル「SR400」と、同形式エンジンのロイヤルエンフィールド新型「HIMALAYAN」に乗り、ビッグシングルエンジンの魅力を考えてみました。

■「SR400 Final Edition」と、「ヒマラヤ」に乗って考えてみた

 2021年、惜しまれつつ生産を終えたヤマハ「SR400」は、「SR400 Final Edition」と「SR400 Final Edition Limited」の2機種がラインナップし、それぞれ60万5000円と74万8000円という価格設定ですが(消費税10%込み)、最後の特別仕様車「Limited」はプレミアム価格で取引されるなど、今も話題が絶えません。

 ヤマハ「SR400」が発売されたのは1978年のこと、2021年で43年目です。さらにそのベースとなった同系のエンジンを搭載した「TT500」というオフロードプレイバイクがアメリカで発売開始されたのが1975年でした。

 そしてストリートバイクとして「SR400」および「SR500」の直接のベースとなった「XT500」が発表されたのが、同じ年の東京モーターショーだったことを考えたら、このエンジンが開発された時期は50年近く前のことになるでしょう。

 そんなベースを持つ「SR」は、「TT」と「XT」が目指した軽量でパンチのある走りをパッケージした中に、トラッドスポーツらしいエンジン特性も織り込んで独自の世界、とくにカスタムの世界で欠かせない存在に成長しました。

ヤマハ「TT500」(1975年登場)

 その源泉は、レスポンス重視のオフロード系バイク用に作ったエンジンに、トルク感と鼓動感を増量するため、エンジンの回転質量を増やし、「SR」らしいエンジン特性を手に入れています。

ヤマハ「XT500」(1975年登場)

 なかでも、キック始動のみ、バランサーすら持たないシンプルでコンパクトなエンジンという素地があってこそ、時代へのカウンターパンチとして常に愛されたのではないか、と私(筆者:松井勉)は推察します。こんなシンプルなバイク、新登場以降もなかなかありません。

 それはエンジンを2000rpmも回せばシフトアップしたくなる低回転からの力感です。3000rpmで最大トルクを生み出す特性も「これぞビッグシングル!」と思わせる源泉と言って良いでしょう。

ロイヤルエンフィールド「HIMALAYAN(ヒマラヤ)」とヤマハ「SR400 Final Edition」

 そこで、ひとつの検証をしてみました。対象となるのは2021年日本上陸となったインドのバイクメーカー「ロイヤルエンフィールド」がラインナップする「HIMALAYAN(ヒマラヤ)」です。このモデルは同社初のアドベンチャーバイクで、排気量411ccの単気筒エンジンを搭載しています。

 なにより「SR」のDNAに織り込まれた「ダートを力強く走る」ことを考えたら、比較の相手として不足はありません。ドコドコ感、トルク感は「SR」と似ていてもフィーリングは異なります。しかもバランサーも装備し、クランクケースやシリンダーのボリューム感は「SR」とは比較になりません。

 両モデルのスペックを比較すると、エンジン形式は空冷OHC2バルブ単気筒で同じ。ピストン径とシリンダー内を上下に動く距離であるボア×ストロークと排気量は、「SR400」が87mm×67.5mmの399ccで、「ヒマラヤ」が78mm×86mmの411ccと、排気量の差は12ccながら、「SR」のピストン径は「ヒマラヤ」より大きく、ストローク量は「ヒマラヤ」の方が長いことが判ります。

 生み出すパワーは「SR400」が最高出力18kW/6500rpm、最大トルク28N.m/3000rpmとなっており、「ヒマラヤ」が最高出力17.88kW/6500rpm、最大トルク32N.m/4000から4500rpmとなっています。

ロイヤルエンフィールド「HIMALAYAN(ヒマラヤ)」に試乗する筆者(松井勉)

 跨がって走り出すと、「SR400」はゆったりとトルクを生み出しつつも回転上昇リズムは速く、そのままアクセルを開ければ4000から5000rpmまで振動をともないながら伸びる印象です。

 対する「ヒマラヤ」は、ロングストローク型にもかかわらず、むしろ「SR400」よりも軽快に回転が伸びる印象で、振動の質も「SR400」の「ダダダダ」に対し、「ブルルル」という感じで、両車の個性の違いは面白いところ。

 オフロードでは確かにヒマラヤのレスポンスとスムーズに上昇するパワーとトルクは扱いやすく、かつての「XT」やパンチのある「TT」のエンジンを思わせます。車重が199kgの「ヒマラヤ」に対し、175kgと軽い「SR400」はそれでも単気筒感を味わいつつ、回さなくてもしっかり走る印象です。

 排気量の差はわずかでもアドベンチャーバイクとしてのサイズ感を持つ「ヒマラヤ」に対し、オフロードバイク用に作られたコンパクトでミニマルな大排気量単気筒エンジンの「SR400」。その差は「同じ単気筒400クラス」と簡単にくくれないものでした。

ヤマハ「SR400 Final Edition」(2021年型)と筆者(松井勉)

 個人的に興味深かったのは、ロイヤルエンフィールドがイギリスに発祥してインドのブランドとなり、ブリティッシュ古典を引き継いでいることに対し、日本の「SR400」は発売開始された当時、すでに古典になっていたヤマハ独自の感性で作り出した単気筒ロードスポーツで、模範としたであろうブリティッシュ系古典を乗り手に妄想させつつ、今回のように両車を乗り比べると「SR400はSR400でしかない個性を持っている」ということが明確に判ったことでした。

 つまり、日本のヤマハが磨き上げた「SR400」は、まさにワールドクラスの唯我独尊だったのです……。

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