原付一種の制限速度は、何故30キロなのか?
バイクのニュース / 2021年8月1日 9時0分
一般公道を走るときは速度を30キロまでと制限されている原付一種。性能としては40キロどころか50キロまで加速ができますが、なぜか時速30キロ以上で走行するのを交通ルールで禁止しています。なぜでしょうか?
■そもそも原付バイクはなぜ制限速度30キロなのか
原付に関する内容で話題になりやすい30キロ制限。原付一種で30キロ以上のスピードを出すと、極端に加速が遅くなったり、ハンドルがブレて運転が困難になったりするなど、原付バイク自体に問題が生じてしまうなら納得もできます。
しかし、速度メーターを見ると60キロまであり、加速性能は自動車に負けないくらいに加速できるモデルが販売されています。そうなると性能の問題ではないように感じられます。他の排気量のバイクにはない制限速度30キロの理由とはなんでしょうか。
1955年に2輪車免許の一部が細分化。それまで「原付許可」となっていた免許が2つに分かれ、「原付1種許可(50cc以下)」と「原付2種許可(125cc以下)」となりました。これが現在の原付免許の始まりです。
内閣府が公開する規制改革のなかで警察庁向けに2015年(平成27年度)に提案された内容で、約66年前に規定された原付の速度規制について触れています。
「規制改革ホットライン」の記述では「原付1種(排気量50cc以下)は昭和30年代の制度創設以来、規制速度が30km/hとなっている」としています。つまり、免許制度の改正のときに制限速度が決められたということです。
ホンダの「カブ号 F型(1952)」
また、1950年代の原付がモペットであったため、法定速度30キロにされたとしています。モペットとは今の電動アシスト付き自転車のような乗り物です。自転車でありながら人力以外の動力として小排気量のエンジンを積んだ乗り物でした。そのモペットが出せる速度が20キロ前後であったとされ、そこから考えられた制限速度のようです。
しかし、現在では時速30キロ以下にしておく別の理由があります。その理由とは死亡事故につながる確率が下がるということです。警察庁交通局の公開している。「危険認知速度別交通事故件数(令和元年)」では死亡事故の約54.8%が時速40km以上で発生しているというデータがあります。
原付だけの死亡事故率は、2012年(平成24年中)のデータが公開されており、原付運転者の「危険認知速度別交通事故件」では時速20~30キロの死亡事故率が0.4%。時速30~40キロの場合は0.76%と2倍近い数値になっています。
制度として決められた30キロ制限ですが、2つの事例をもとにして考えると乗る人の命を守る役割があるといえるでしょう。
■他にも原付特有のルールはある!
30キロ制限以外にも原付一種には特有のルールがあります。高速道路走行不可、第1通行帯通行義務、2段階右折、2人乗り禁止です。
片側2車線道路の交差点での2段階右折は、禁止の標識がある以外は行う必要がります
原付一種は、速度が30キロに制限されるため、高速道路での走行は認められていません。これは原付二種でも同様です。高速道路を走行しようと思うと排気量が126cc以上でないといけません。
次に、第1通行帯通行義務とは原付一種はいつも左車線を走らなくてはならないというルールです。制限速度と小さな車体から、追突や巻き込まれる事故が多いため、左側を走行することが定められています。
原付特有のルールで有名なのが2段階右折です。一般的には片側2車線道路の交差点で右折するときは、右折帯に入りますが、原付バイクは2段階右折をしなくてはいけません。2段階右折は直進をして交差点をわたった先で方向転換、向きを右に変えて停車。進行方向の信号が青になったら、直進するというものです。
つまり、第1通行帯通行義務で左車線を走り続けながら、交差点で右折するためには2段階右折をしなくてはいけないわけです。しかし、道路標識で2段階右折禁止がある交差点では、ほかの自動車と同じように右折帯を走行して右折してもよいとされています。
2人乗りが禁止されている原付一種
最後に2人乗り禁止です。原付一種は1人乗り専用の乗り物です。そのため、ほかのバイクには備えられている2人乗り用のステップが未装着となっています。シートに無理やり2人で乗ると、違反となり取り締まりの対象となります。
以上のように原付はいろいろな制約があるバイクですが、使い勝手がよくコスパの良い乗り物です。車検がなく、税金が安く、自動車を乗っている人は自動車の任意保険でファミリーバイク特約の適用も可能なので、維持費を安くすることができます。
※ ※ ※
古い制度に感じる原付の30キロ速度制限。しかし、交通の安全と自身の命を守るためと考えると、使い勝手を下げているのではないかと感じられるルールへの不満が解消され、より安全な運転ができるのではないでしょうか。
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