バイクのパーツでよく聞くスライダーって何?小さいけれど意外と大事な役割を担っている!
バイクのニュース / 2021年8月6日 9時0分
装着すると見た目が悪くなるといわれることもあるスライダー。パッと見た感じは外装のカスタムパーツのようにも見えます。バイク全体の大きさから比較すると大した部品には思えません。しかし、スライダーはバイクにとって、またバイク乗りにとっても大事な役割があるパーツといえるでしょう。その役割とはどんなものでしょうか。
■そもそもスライダーって何?
ライダーが着込んで事故のダメージを軽減するプロテクターと同じように、バイクにも事故のダメージを軽くするプロテクターのようなパーツがあります。先端を樹脂やアルミ、カーボンで覆われた部品「スライダー」です。転倒のダメージを軽減し、自走不可の状態を避ける役割があります。
スライダーはバイクのカスタムパーツの1つとされ、バイクの複数の部分に取り付けることができます。材質や形、色など種類が多くあり、エンジンガードのように、装着する車両が限定されるパーツではないため、様々なバイクに装着が可能です。
主に装着する個所はフロントタイヤを固定しているアクスルシャフトの両端につける「フロントアクスルスライダー(フロントフォークスライダー)」、エンジンの下部に取り付ける「エンジンスライダー(エンジンカバースライダー)」。バイクのフレームとエンジンを固定しているボルトを利用して取り付ける「フレームスライダー」、サイレンサーを固定するボルトを利用して装着する「マフラースライダー(エキゾーストスライダー)」などがあります。
エンジンにダメージを与えないことを主な役割としているエンジンガード
エンジンガードは基本的にエンジンにダメージを与えないことをメインにしています。その一方でスライダーは、転倒のときに地面に接しやすい個所にバラバラに取り付けます。
構造はどのスライダーもだいたい同じようなもので、先端またはカバーとして頑丈な樹脂素材を取り付けています。メーカーによっては樹脂ではなくアルミやカーボンで先端パーツを作っているスライダーもあります。加えて部品自体は大きくないため、バイクの雰囲気を大きく変えずに、好みに合わせて選べるという利点があるといえるでしょう。
役割は「スライダー」という名前の通り、転倒してバイクが地面をスライドして行くときにバイク本体ではなく、スライダーを擦らせてバイク本体へのダメージを軽減するというものです。ただしスライダーは衝撃を吸収する緩衝材ではないため、転倒の衝撃で多少なりともバイク本体にダメージはあるでしょう。
装着することにより車体から突起する部分ができますが、車幅(ハンドルの長さ)から2センチ以上飛び出さない大きさであれば車検を通すとき問題ありません。もし、大きいスライダーを取り付けて2センチ以上横から飛び出すようなら、車検証の内容を書きかえるため構造変更の手続きが必要になります。
スライダーの取り付けは専用工具がなくても装着可能なものが多く、ある程度の工具を持っている人は自分で取り付けをするときもあります。しかし、カウル付きのスポーツバイクに関してはカウルに穴をあけないと装着不可のときがあるため、事前に確認をしましょう。
■スライダーはこんな時に役に立つ!
スライダーは、エンジンガードに比べると小さなパーツなのであまりメリットを感じにくいかもしれません。しかし、取り付けておくとバイク本体のダメージが軽減でき、走行不可の状態を回避するだけでなく、ライダー自身に心理的なメリットもあるといえるでしょう。
転倒の際、スライダーがない場合は、車体にダメージが残る可能性があります
まず、スライダーがない状態で転倒するとマフラーが潰れ、ペダルやハンドルが変形して運転不可になる場合があります。ダメージでエンジンに亀裂が入り、オイル漏れを起こして始動不可となるのも珍しくありません。そうなってしまうと交通の流れを邪魔してしまい、周りへの影響も大きいものになります。ライダーもレッカーを呼び、作業完了まで現場で待機しなくてはいけません。
そういった時間のかかる事後処理がスライダーを装着しておくと避けられる可能性が高くなります。さらにバイク本体へのダメージが軽減され、交換する部品が少なくなり、修理代が下がり、最悪の場合である廃車を回避することができるといえます。さらにスライダー自体もダメージ、消耗の大きかった個所のスライダーだけを交換すればよいため、「エンジンガード」よりもコスパが良いといえます。
本来スライダーの役割は転倒のダメージ軽減ですが、ライダーにとっても役立つシーンがあります。
立ちゴケ時にも愛車を守り役に立つフレームスライダー
それは、ライダーなら一度はやってしまう可能性がある立ちゴケです。しかし、スライダーを装着しておくと転倒のときにスライダーが地面に先に接地して、未装着のときより足を抜くスペースが大きくなります。加えて倒れたバイクを起こすときに、少し浮いているため支えて起こすのが楽にできます。
スライダーの役割を事前に知ってバイクに装着しておくと、初心者ライダーが抱えやすい不安でもある「転んだらどうしよう」というプレッシャーを和らげる心理的なパーツです。
※ ※ ※
エンジンガードよりも目立たず、価格も安く、バイクのダメージを軽減してくれるスライダー。装着するときはエンジンスライダー、フレームスライダー、フロントアクスルスライダーなど1つではなく複数つけると、それだけバイク本体へのダメージを軽減できるでしょう。事故も立ちゴケも絶対しないという人は少ないといえます。バイクがダメージを受けてから後悔するより、先にスライダーを取り付けておくとよいのではないでしょうか。
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