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the「燃費」BMW Motorradが激戦区に向けた戦略車 中免クラスのスクーター「C400X」の燃費性能は?

バイクのニュース / 2021年9月11日 11時0分

排気量350ccの水冷単気筒エンジンを搭載するBMW Motorradのスクーター「C 400 X」(2020年型)の燃費性能を実際に走って計測しました。

■中免で乗れるBMWバイク、スクーターもアリと思えるバイク感!

 BMWモトラッドと言えば、大型ツーリングモデルやアドベンチャーモデル、はたまた「S1000RR」のようなスポーツモデルでお馴染みですが、じつはスクーターにも積極的なメーカーなのです。

 2010年代に入るや、ヤマハ「TMAX」やスズキ「バーグマン650」などプレミアムなセグメントに向けて「C650」シリーズを発売。その後、C650シリーズと同等サイズの電動モビリティー「C evolution(シー・エヴォリューション)」も投入しました。

 電動スクーターと言えば、ビジネスモデルや原付カテゴリーのミニマルなコミューターに限定的な日本メーカーという印象ですが、その斜め上を行く展開を見せつけるなど、巨大スクーター市場を持つヨーロッパでしっかりとBMWの認知度をファンの心に刻みつけます。

 さらに、プレミアムクラスから日本のブランドや台湾のキムコ、イタリアのベスパ等々、多くのブランドがひしめくボリュームゾーン、排気量300から400ccのエンジンを搭載したアッパーコミュータークラスに参戦。今回ここに紹介する「C400」シリーズがその先鋒になります。

 現在日本に投入されている「C400」シリーズは、クロスオーバールックの「C400X」と、ツアラー色を打ち出した「C400GT」の2機種。そのうち、今回は「C400X」をthe「燃費」のコースへと誘い、その実力を見てみたのです。テスト車は、2021年のモデルチェンジ直前となる2020年型です。

BMW Motorradのミドルサイズスクーター「C400X」(テスト車は2020年型)

「C400X」は、排気量350ccの水冷単気筒エンジンを搭載し、車重は206kg、燃料タンクは12.8リッターの容量を持ち、ハイオクガソリン指定です。燃費瀬能を示すWMTCモード値はカテゴリー3(サブカテゴリーは記載なし)で28.57km/lとなっています。いつものthe「燃費」ルートで市街地、高速道路、快走路(ツーリング路)ではどんな燃費値を出すのでしょうか。

 the「燃費」では毎回、市街地、高速道路、快走路(ツーリング路)の合計およそ180kmの同一ルートを使い、燃費値を計測します。取材時の交通の流れに合わせて走り、好燃費を狙ったエコランはしていません。同じルートとすることで、過去記事に登場する他モデルとの燃費値比較もしやすいよう取材を重ねています。記事中の燃費値は車載の平均燃費計が示したもの。区間距離はトリップメーターの値を記事中に記載しています。

■見た目も乗り味も、しっかりバイク感あり

 the「燃費」の市街地計測ルートは、都内外苑周辺をスタート。青山一丁目交差点から国道246号で皇居方向へ向かい、桜田門前を通過して銀座方向へ。途中、丸の内のオフィス街を周回し、再び銀座、築地、晴海を抜け直進。首都高湾岸線と平行する国道357号沿いの東雲付近までで計測します。

燃費計測は車両に備わるトリップメーター、燃費計を参考とする。キーレスエントリーのためキーシリンダー(鍵穴)は存在しない

「C400X」は市街地を12.3km走行して燃費は25.0km/lでした。日本メーカー代表のスズキ「バーグマン400 ABS」が同ルートで22.4km/lを記録しています。

 しかし「C400X」の直線的なスタイルは特徴的です。シート下のボディの厚み感が薄く、デザイン的にもバイクを意識したような印象があり、それは乗り味にも反映されていました。前後にラジアルタイヤを履き、スポーツバイクのようなタイヤの接地感と乗り心地の良さを持っています。また、エンジンとCVTの駆動系のチューニングもバイク的で、ゼロ発進でも2800rpmほどからゴロリと効率よく走り出すところも燃費的にも走り的にも好印象でした。

■高速道路でも軽快な走り、燃費は「バーグマン400」と同等の結果に

 高速道路での燃費計測は、往復となる2区間で行なっています。往路区間はアクアライン連絡道「袖ケ浦IC」から館山道「富浦IC」直近のコンビニエンスストアまでの52.3kmとし、復路は快走路(ツーリング路)燃費計測を終えた地点の館山道「富津中央IC」から木更津ジャンクション経由アクア連絡道「木更津金田IC」までの24.6km区間、その合計76.9kmを実走しています。

400クラスとはいえ実際の排気量は349ccだが、250クラスのスクーターでは味わえない軽快な走りは大きな魅力

 アクア連絡道は比較的平坦ですが、館山道は通過する区間のほとんどがアップダウンの連続。往路では制限速度が100km/hから80km/h、70km/h(対向2車線区間)と変化が多いのも特徴で、復路の館山道は全線100km/h制限区間を走行します。

 排気量は350ccながら、スペック的には「バーグマン400」を上回るパワーとトルクを持つ「C400X」。市街地で感じた駆動系の一体感、車体のバイク感は高速道路でも好印象をもたらし軽快な印象で走ります。館山道区間が長い往路での燃費は29.4km/l、復路は31.2 km/lを記録しました。以前取材した「バーグマン400」は、往路29.5km/l、復路31.5km/lでした。2区間の平均は「C400X」が30.3km/l、「バーグマン400」が30.5km/lと、ほぼ同等と言える結果となりました。

■ワインディングが楽しい! BMWが作るとスクーターはこうなる

 房総半島のツーリングルートを3区間に分けて計測する快走路は、区間1が往路高速道路計測を終えたコンビニエンスストアの駐車場からスタート。房総半島の内陸を南下する「安房グリーンライン」を経由し、半島南端エリアまでの21.4km。区間2は南端エリアをスタートし、海岸線沿いを走る気持ち良い道、国道410号、県道34号を経由して「大山千枚田」まで37.9km。区間3は「大山千枚田」から県道34号、県道182号を経由し館山道「富津中央IC」までの25.5kmです。どの区間も平坦路とアップダウン、ワインディングルートが含まれる変化に富む楽しいルートです。

ワインディングが楽しい、その走りはスクーターの姿をしたスポーツバイク

 ここでも「C400X」はバツグンのフットワークを見せました。スクーターの形をしたバイク。まさにそんな表現をしたくなる走りの一体感です。しっかりとしたタイヤの接地感、コーナリング性能など「BMWがスクーター作ると違うよね」と思わずうなずく走りでした。

 快走路での燃費は、区間1が32.2km/l、区間2で33.3km/l、区間3が34.4km/l、その平均は33.3km/lとなりました。同じ区間で「バーグマン400」は平均30.9km/lだったので、ここでは「C400X」が水をあけた印象です。

■バイク的に楽しめるスクーター、燃費性能も高評価

 CVTとクラッチ制御が巧妙でスポーツバイクのようなアクセルとの一体感を持つ「C400X」でした。形はスクーターですが、ワインディングを走っても楽しく、350クラスにして高速道路も意外にラク。250クラスのスクーターでは味わえない世界を持っています。その点で、バイクかスクーターか悩んだら、「C400」という手もあります、という結びの言葉を添えて今回のリポートを終えたと思います。

いつものツーリング想定の計測ルートを走り終え、ゴール地点の千葉県木更津エリアに到着

■BMW Motorrad「C400X」(2020年型)燃費結果
総合評価:☆☆☆☆☆(ホシ5つ)
総走行距離:174.0km
総合燃費:29.5km/l
市街地:25.0km/l
高速道路:30.3km/l
快走路:33.3km/l

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