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アフガニスタンで何が起こっているのか? 命がけのセルフドキュメンタリー『ミッドナイト・トラベラー』

バイクのニュース / 2021年9月11日 15時0分

2018年のアフガニスタン。タリバンに命を狙われ、妻と二人の娘と共に過酷な逃避行を強いられた映像作家が3台のスマートフォンでその様子を克明に記録したセルフドキュメンタリー『ミッドナイト・トラベラー』が、2021年9月11日(土)より全国順次公開されます。

■“アフガニスタンのいま”と“家族の愛と絆”

 2021年8月15日、反政府武装勢力「タリバン」がアフガニスタンの首都カブールを制圧し、政権を事実上掌握。アメリカ軍が同国からの完全撤退を宣言した直後の、驚くべきスピードでの侵攻・制圧に対し、多くの人々が国外への亡命を求めて空港に押し寄せるなど、カブールはパニック状態に陥りました。そんなアフガニスタンで映像作家として活動していたハッサン・ファジリによるドキュメンタリー映画が、『ミッドナイト・トラベラー』です。

 2018年に製作された本作は、ファジリが3台のスマートフォンを駆使して撮影した映像から成る、文字どおり命がけのセルフドキュメンタリー。ハッサンはタリバンをテーマにしたドキュメンタリーを制作したとして命を狙われ、妻のファティマと二人の娘と共にヨーロッパへ向かうことを決意します。本作は、当時ふたたび勢力を広げつつあったタリバンから逃れるために亡命した、ファジリ一家の過酷な日々の記録です。

 いまアフガニスタンで、何が起こっているのか? ファジリ一家は直接的に命を脅かされましたが、世界中が衝撃を受けた、飛行機によじ登ってでも出国しようとする様子を映したニュース映像の人々の差し迫った事情を、一家が置かれた境遇から察することができるはずです。

 そして現在、国民への脅威はタリバンだけではありません。カブール空港で自爆テロを起こし、13名の米兵と100人以上の国民の命を一瞬で奪った、より危険なイスラム過激派組織「IS-K」の存在など、状況悪化の懸念がますます強まっています。旧政権のネガティブイメージ払拭を世界にアピールしたいタリバン政権は、今後は女性の権利も尊重すると喧伝していますが、それを鵜呑みにしている国民は皆無でしょう。

 本作は難民という分母の大きな内容ではありますが、監督自身を含めた“家族”の視点から“日常となってしまった亡命生活”という辛く苦しい日々を映し出すことで、どこか遠い国で起こっている現実味のない出来事という安全圏からの鑑賞を許しません。襲撃に怯える両親はあなた自身であり、過酷な毎日に泣き出してしまう娘たちはあなたの子どもでもあるのですから……。

『ミッドナイト・トラベラー』(c)2019 OLD CHILLY PICTURES LLC.

 新型コロナウイルスによって世界中が同じ苦難に見舞われる中、より浮き彫りになってしまった格差と分断。何かと息苦しい生活を強いられる今だからこそ知りたい“アフガニスタンのいま”と“家族の愛と絆”が記録された『ミッドナイト・トラベラー』は、2021年9月11日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開中です。

■【動画】『ミッドナイト・トラベラー』予告編

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