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ドゥカティ「スクランブラー1100スポーツプロ」は空冷ビッグツインエンジンとスポーティな走りが魅力

バイクのニュース / 2021年9月14日 11時0分

イタリアのバイクメーカー「ドゥカティ」のモデルラインナップのなかでベストセラーとなっている「スクランブラー」シリーズから、最もスポーティな「スクランブラー1100スポーツプロ」に試乗しました。

■伝統の空冷L型エンジンでスポーツ性を求めるならこのモデル

 イタリアきってのスポーツバイクブランドがドゥカティです。「パニガーレV4」を筆頭とするウルトラハイスペックなスーパースポーツで知られていますが、古きよき時代をモチーフにしたネオクラシックにも力を入れ、人気を集めています。今回はその中から「スクランブラー1100スポーツプロ」のインプレッションをお届けしましょう。

「SCRAMBLER(スクランブラー)」シリーズ(ドゥカティではファミリーと呼ぶ)は、排気量別に400(399cc)、800(803cc)、1100(1079cc)という3種類のエンジンで構成されています。最大排気量の1100には「1100ダークプロ」、「1100プロ」、「1100スポーツプロ」という3つのグレードがあり、その車名の通り、最もスポーティな仕様が「1100スポーツプロ」というわけです。

 では、どのあたりがスポーティなのか?

 マットブラックでまとめられたカラーもそのひとつですが、明確に異なるのがライディングポジションです。ほかのグレードが安楽なアップハンドルを備えるのに対し、「1100スポーツプロ」はほぼ真一文字のバーハンドルを装備。バックミラーもその先端に移設され、カフェレーサーのテイストが与えられているのです。

 それに見合うよう、足まわりは高いアベレージスピードに備えられています。「1100ダークプロ」と「1100プロ」の足まわりはマルゾッキ製倒立フォークとKYB製モノショックを組み合わせているのですが、「1100スポーツプロ」は前後ともにオーリンズ製のサスペンションに換装。これによって路面追従性の向上が図られているというわけです。

シート高810mmの車体に身長174cmの筆者(伊丹孝裕)がまたがった状態

 ハンドルの位置はかなり下がったとはいえ前傾姿勢はきつくなく、シートとの距離感も適切です。そのため、フロントタイヤに対する重量配分はむしろほかのグレードより良好で、高速巡行時やワインディングでは落ち着きのあるハンドリングに貢献。サスペンションのダンピングはやや硬めの設定ながら、そのぶんキビキビと反応してくれます。

 好印象なのは、純正装着されているピレリのタイヤ「MT60RS」のフィーリングです。見た目はご覧の通りのブロックタイヤですが、車体を深くバンクさせても高いグリップ力を発揮。オーリンズがもたらす安定性も手伝って、ハイグリップラジアルを履くスポーツバイクと遜色のないコーナリングを楽しむことができます。

このスタイルでスポーティな車体に仕上げるあたり、さすがドゥカティといったところ

 エンジン形式はドゥカティ伝統の空冷2気筒で、最高出力は86hp/7500rpmを公称します。1000cc超の排気量があることを踏まえるとロースペックに感じる人もいるでしょうが、スロットル微開の領域からトルクがドンッと発生して体感的にはパワフルそのもの。それでいて、低回転で流すよりも高回転まで回りたがる特性ゆえ、ついつい右手が大きく動いてしまいます。スピードが上がり過ぎないように自制心を求められるのは、イタリアンならではのキャラクターと言えるでしょう。

 ほかならぬドゥカティ自身もそれを分かっていて、スクラブラー1100シリーズにはほかの排気量にはないライディングモードを搭載しています。これには、シティ/ジャーニー/アクティブの3パターンが用意され、選択に応じて最高出力とスロットルレスポンス、トラクションコントロールの介入度が変化。アクティブでペースを抑えられない時は、ジャーニー、シティの順で徐々にマイルドな過渡特性に変化させることができるのです。

排気量1079ccの空冷L型2気筒2バルブエンジンを搭載。ドゥカティスクランブラー独特のスタイリングが特徴的

「スクランブラーって、もっとユルいカテゴリーじゃなかったっけ?」という声が聞こえてきそうですが、確かにその通り。穏やかさを求める場合は800や400が醸し出す牧歌的な味わいの方が扱いやすく、日常に寄り添ってくれるでしょう。

 では、1100シリーズの価値がどこにあるのかと言えば、今や希少な存在になりつつある空冷ビッグツインを搭載している点にあります。既述の通り、これはドゥカティ伝統の形式と言えるわけですが、じつのところほかのカテゴリーはすべて水冷化が完了し、洗練化の一途を辿っています。もちろん、それ自体は歓迎すべきこととはいえ、フィーリング的にも造形的にも空冷エンジンを好むライダーは少なくありません。そのシャープな吹け上がりを可能な限り大排気量で楽しみたいと願う生粋のドゥカティファンのため、ラインナップしてくれているのです。

 空冷ビッグツインのモデルは、ハーレー・ダビッドソンにもBMWにもモト・グッツィにもありますが、そこにノスタルジックさではなく、スポーツ性を求めるのならドゥカティに俄然、分があります。昨今の環境規制を踏まえると、将来的な存続は不透明なため、気になる人は早めに体感しておくことをおすすめします。

※ ※ ※

 ドゥカティ「スクランブラー1100スポーツプロ」の価格は、195万4000円(消費税10%込み)です。

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