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リバイバル上映中! 名匠・柳町光男による伝説的ドキュメンタリー『ゴッド・スピード・ユー! BLACK EMPEROR』

バイクのニュース / 2021年12月9日 17時0分

日本の誇る名匠・柳町光男監督の代表3作品がリバイバル上映中。70年代の暴走族を追ったドキュメンタリー『ゴッド・スピード・ユー! BLACK EMPEROR』は、ノスタルジーに今を思う一度は観て欲しい傑作です。

■バイクが自己表現だった少年たち

 寡作ながら世界三大映画祭(カンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭、ヴェネツィア国際映画祭)に過去5作品を送り出している名匠・柳町光男監督の代表3作品が、新宿K’s cinemaにてリバイバル上映中です。今回のメイン上映作品は1979年の『十九歳の地図』ですが、改造が施された日本車がゾクゾク登場する柳町監督のデビュー作『ゴッド・スピード・ユー! BLACK EMPEROR』(1976年)はバイカー必見の暴走族ドキュメンタリー映画です。

『ゴッド・スピード・ユー! BLACK EMPEROR』はタイトル通り、70年代の暴走族を追ったドキュメンタリー。海外でもカルト的なファンを生み、タイトルを丸々頂戴したポストロック・バンドが存在するほどです。

 基本構成は、10代の少年たちの暴走行為や警察との攻防、生々しい集会の様子などをモノクロ映像で捉えたもの。世間がイメージする“不良少年”は80年代の“ツッパリ”ブームに引っ張られたところが大きいかもしれませんが、まだ幼さの残る少年たちの和気藹々とした様子だけでなく、規律を重視するチームの厳しい側面も映し出されます。

『ゴッド・スピード・ユー! BLACK EMPEROR』(c)プロダクション群狼

 団地暮らしのメンバーと両親とのやり取りは、いま観るとノスタルジックで思わず笑みがこぼれてしまうかも。しかし、ときおり鋭い眼光を放つ年長者が映り込むあたりは、その後の勢力拡大に伴う道路交通法違反や暴力行為による一斉検挙を予見させるところでしょう。一見すると牧歌的な印象すら与えますが、“ちょっとやんちゃな”少年たちの無軌道な青春の一片というだけではない、近代的な組織犯罪の雛形のようなものが垣間見えるのも事実です。

『ゴッド・スピード・ユー! BLACK EMPEROR』(c)プロダクション群狼

 本作の後に『十九歳の地図』の主演に抜擢されることになる若かりし本間優二が、カワサキ「Z2・750」をウキウキで買いに行く微笑ましい姿を見ることもできる『ゴッド・スピード・ユー! BLACK EMPEROR』は、『十九歳の地図』『さらば愛しき大地』(1982年)と併せて新宿K’s cinemaで2021年12月4日(土)から12月30日(金)まで上映中です。

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