レーシングライダー石塚健の市販車インプレッション! ヤマハ「YZF-R」シリーズを乗り比べ
バイクのニュース / 2021年12月24日 11時0分
CEVレプソルインターナショナル選手権に参戦するレーシングライダー石塚健選手が、ヤマハ「YZF-R」シリーズを乗り比べ!そのインプレッションをレポートしてくれました。
■個性豊かな3台の「YZF-R」
こんにちは!レーシングライダーの石塚健です。
2021年12月16日にヤマハが新たに発表した「YZF-R7」。前回は、そのメディア向け試乗会でのインプレッションを書かせていただきましたが、今回は同じタイミングで「YZF-R1M」と「YZF-R3」にも試乗させてもらうことができたので、R7と乗り比べた感想を、お伝えしたいと思います。
Rシリーズのフラッグシップモデル「YZF-R1M」から試乗スタート
僕は、これまで20年ほどレースをしてきましたが、実はヤマハの車両でレースをしたのは、地方選手権のST600クラスに2006年型の「YZF-R6」で参戦した僅か1年のみ。そのため、今回試乗させていただいたR1MやR3も、新旧含めて初めて乗る車両です。
そんななか、まずはYZF-R1Mからスタート。コースインしてまず、はじめに驚いたのはエンジンの滑らかさでした。1000ccという大排気量のバイクで、これほどまでに安心してアクセルを開けていける車両は、なかなかありません。
操作が繊細すぎるため、まだ走りなれていない初心者や、ステップアップしたばかりのライダーは、少し扱いづらさを感じるかも!
あらゆる回転域で驚く程に扱いやすく、また、アクセルを開けた時のレスポンスがとても従順。ブレーキングのフィーリングも、なんだかふんわりしていて握りやすく、シフトダウンがとてもなめらかです。さらに、エンジンブレーキもスムーズなど、驚きの連続でした。
一方で、操作が繊細すぎるため、まだ走りなれていない初心者や、ステップアップしたばかりのライダーは、少し扱いづらさを感じるかもしれません。R7のコーナリングと比較すると、やはり更にスポーティでライディングポジションも前傾気味など、すべてがカッチリとした印象を受けました。
フロントタイヤが路面に張り付いているかのような安心感と旋回性を感じ、コーナリング中に、何度かイン側のゼブラに乗り上げてしまったほどの安定感があります
とはいっても、こういったスポーティなマシンに慣れている僕にとっては、フロントタイヤが路面に張り付いているかのような安心感と旋回性を感じ、コーナリング中に、何度かイン側のゼブラに乗り上げてしまったほどの安定感です。
これは、試乗時間の問題などもあり、袖ヶ浦レースフォレストウェイを僅か数周しただけの感想ですが、もう少しペースを上げて走行してみると、また新たな発見があるに違いないと思います。
YZF-Rシリーズ共通のスポーティでスタイリッシュなデザインは、個人的にはかなり好みのスタイル
R1Mの後は、すぐにR3に乗り換えてコースイン。YZF-Rシリーズ共通のスポーティでスタイリッシュなデザインは、個人的にはかなり好みのスタイル。そして心地よいエキゾーストサウンドも、かなりのお気に入りポイントです。
とても軽量な車体は、身長165㎝弱の小柄な僕が乗っても足つきがよく、スリムで取り回しも楽ちん。クセのない吹け上がりと、低回転からでもアクセルを回せば回すほど素直に加速していく感覚がとても楽しい1台でした。
YZF-R3は、サーキットでのスポーツ走行を楽しむには少し物足りなさを感じるが、ツーリングや通勤など、幅広く活躍してくれるバイクだと思える
一方で、サーキットでのスポーツ走行を楽しむには、いわゆるSS感が薄く、少し物足りなさを感じるかもしれません。しかし、ツーリングや通勤など、幅広く活躍してくれるバイクだと思います。また、定番の250ccではなく、少し中途半端に思える320ccという点も、乗ってみると納得できる違いがありました。
前回のR7を含めて、3台のRシリーズに試乗させてもらいましたが、共通して感じたことは、ライダーのスキルを問わず、感性に呼応するかのようなハンドリング特性と、ドライバビリティを持っていること。
Rシリーズは、ライダーのスキルを問わず、感性に呼応するかのようなハンドリング特性と、ドライバビリティを持っている
やはりMotoGPやワールドスーパーバイクでのマシン開発からのフィードバックなど、レーシングテクノロジーが活かされていることを実感させられます。そして、改めてヤマハのSSバイクのポテンシャル、又パフォーマンス力に驚くと同時に、ライダーとしての経験値が少し上がった気がして嬉しかったです。
これからサーキットを走ってみよう!とか、どんなバイクを買おう?なんて考えている人がいたら、是非参考にしてもらえると嬉しいです。
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