1980年代に人気を集めたホンダの50ccスクーターを紹介!
バイクのニュース / 2022年1月24日 9時0分
1980年代は、50ccスクーターが人気を集め一大ブームとなりました。当時ホンダから販売されていた車種では、どのようなモデルが人気を集めたのでしょうか。
■バイクメーカーは開発を競い、若者に50ccスクーターを普及させたブーム
1980年代は、バイクメーカー「ホンダ」「スズキ」「ヤマハ」の各社で、スクーター開発が過熱していました。ブームの中で開発されたスクーターは、現代のスクーターの標準的な形を作り上げたといえるかもしれません。当時は、主に2ストエンジンを搭載し、軽量でハイパワーなモデルが多く存在しました。
そして、スクーターが単なる移動手段から、洗練されたデザインや使い勝手が求められるようになり、若者が中心になって乗り始めた時期でもあります。当時ホンダから販売されていた車種では、どのような原付一種が人気を集めたのでしょうか。
1980年9月に販売された原付一種スクーター「TACT DX(タクト)」
まず、2021年のラインナップにある「タクト」の初代モデルは、1980年9月に販売されたタクトを起源にしています。初代タクトは、スクーターが広い年齢層が乗るファミリーバイクになるだろうと予測し、それに応えられるような設計でした。現在のスクーターの形を作ったといえるバイクのひとつかもしれません。
搭載されているエンジンは、強制空冷2スト3.2馬力を誇り、幅広で余裕のあるステップフロアや分厚いシートなど、現在のスクーターでは当たり前に備わっているものを、初めて装備したモデルです。
現行のタクトは、水冷4スト4.5馬力を搭載し、アイドリングストップや時計付きのメーターなど、使い勝手を優先したモデルとなっています。40年以上の歴史を持つスクーターですが、その姿は初代に通じるものがあります。
1982年2月に発売された「リード50・デラックス/スーパーデラックス」
1982年2月には、従来の原付よりもデザインをより洗練にしたスポーティスクーターとして、「リード50・デラックス/スーパーデラックス」が発売されました。搭載された2ストエンジンは最高出力5馬力を誇り、当時のエンジン始動方法は、キック式が大半でしたが、セルモーターを併用していました。
広告には、プロテニスプレーヤーのビヨン・ボルグをイメージキャラクターに起用し、ラジオや新聞、雑誌で広く認知されるように、広告戦略が取られました。
また、この後には2人乗りも可能な「リード80・デラックス」も販売したほか、同年10月には「リード125」がリリースされます。
2019年に発売された原付二種スクーター「リード125」の受注期間限定モデル
このリードシリーズはモデルチェンジを続け、2013年のリード125は、まで続き、2018年7月に特別カラーのモデルを発売したほか、2019年12月には、特別仕様モデルのリード125を受注期間限定で発売しました。リード125は、その機能性の高さや充実した装備などが大きな特徴で、現在でも販売されています。
1985年の春から販売を開始した「DJ・1(ディジェイ・ワン)」
80年代のブーム以前、原付バイクは主婦層の乗り物でしたが、ブームの到来で一変し、若者が50ccの原付を好んで乗るようになります。その若者をターゲットにして販売したのが、1985年の春から販売を開始したホンダ「DJ・1(ディジェイ・ワン)」です。
搭載されたエンジンは空冷2サイクル5.2馬力を発揮し、低速から中途まで力強い走りを追及したと同時に、扱いやすさも備えた一台でした。
センタースタンドを立てやすいようにグリップが備わっており、始動方法はセルモーターとキックの併用、リアキャリアを標準装備するなど、女性にとっても扱いやすいスクーターといえます。
4ストエンジンを搭載した原付として1982年5月に発売した「スペイシー」
また、2ストエンジンが当たり前だった1980年代に、4ストエンジンを搭載した原付として、1982年5月に「スペイシー」を発売しました。
4ストエンジンの長所である経済性や静粛性、耐久性をライダーにアピールしたほか、強制空冷単気筒エンジンと3速ATを組み合わせて、スムーズな加速を実現した1台です。加えて、スクーターでは初めてとなる、マイクロコンピューターを搭載した液晶デジタルスピードメーターを備えており、洗練された大人向けのモデルでした。
その後の派生型は、排気量を80・125・250ccと徐々に大きくなっていきましたが、2003年の「スペイシー100」を最終モデルにして、生産を終了しています。
1988年に発売された「Dio(ディオ)」
1988年に若者向けのスポーティスクーターというコンセプトで発売されたのが、ホンダ「ディオ」です。シータ下には24Lのトランクスペースを確保していただけでなく、当時、新設計の空冷2ストエンジンを搭載し、最高出力6.4馬力を発揮するモデルでした。
ディオは、その後もモデルチェンジを続け、エンジンを4ストにしたり、生産拠点が中国になったりと、時代によって変化していきます。
原付二種スクーター「ディオ110」
長年ホンダの原付ラインナップにあり続けましたが、50ccクラスは2004年モデルを最後にして生産を終了しました。現在は、2011年から販売が始まった「ディオ110」がラインナップされています。
元号が平成になって初めて発売した「G’(ジーダッシュ)」
そして、1989年の1月、元号が平成になって初めて発売した「G’(ジーダッシュ)」は、デザインだけでなく走りも追及した、若者向けのスクーターでした。
現在では当たり前のディスクブレーキを前輪に装着しているほか、空冷2ストエンジンは最高出力6.8馬力を発揮し、中高回転域での伸びと加速性を追求したモデルです。80年代最後のモデルだけあって、そのフォルムは現在のスクーターを思わせるものがあります。
※ ※ ※
1980年代の50ccの原付ブームは、スクーターを一部の限られたユーザーから、若者へ広く普及させました。今では当たり前の仕様が最新装備とされて、今のスクーターの姿を作っていったといえます。当時人気を博したスクーターの名前を、未だに冠しているモデルも存在するため、愛車の名前を冠した当時のモデルが存在するのか、調べてみるのも面白いかもしれません。
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