ヤマハ「トリシティ125」は安定感抜群の不思議なバイク! レーシングライダー石塚健の市販車インプレッション
バイクのニュース / 2022年1月25日 13時0分
国内外で様々なレースに参戦するレーシングライダー石塚健選手が、ヤマハ「トリシティ125」を公道試乗!そのインプレッションです。
■フロント2輪、リア1輪の3輪車
皆さんこんにちは!レーシングライダーの石塚健です。今回は、LMW(リーニング・マルチ・ホイール)機構を採用したヤマハのスクーター、「トリシティ125」の2021年モデルに試乗させてもらったので、そのレポートをさせて頂きます。
ヤマハ「トリシティ125」でコーナーリングを楽しむ筆者(石塚健)
転ばないバイクというコンセプトのもと、2014年に登場したヤマハ トリシティ125。独特な姿でありながらもスタイリッシュにまとめられた、いわゆる3輪バイク。3輪バイクといえば、よくピザ屋の出前などで見かけるフロント1輪、リア2輪の車両を思い浮かべると思いますが、トリシティはその逆で、フロントが2輪、リアが1輪という見慣れない形状をしています。
トリシティの存在は僕自身、以前から知っており、その見慣れないスタイルから、どんな操作感が味わえるのか、とても興味がありました。
一般的なスクーターよりも若干重めながら、身長165㎝の筆者(石塚健)で両足の裏がほぼ着く足つきの良さで片足でも車体を支えるのは可能です
まずは取り回しでバイクを押した時ですが、フロントが2輪という構造のため、ハンドルを持っての取り回しは、一般的なスクーターよりも若干重め。とはいえ、見た目の印象ほど重くはありませんでした。ただ、横幅があるため、バイクを置いておく駐輪場など、狭い場所に駐輪する際は、少し気を使う必要があるかもしれません。
そして、フロント2輪ってどんな感じなの?と半信半疑ながらも、乗った時の第一印象は、やはり安定感が一般的な2輪車とはまるで別物でした。直進安定性はもちろんのこと、違和感のないコーナーリングが可能で、路面との追従性が抜群。まさに、僕の知っているバイクです。
■LMWテクノロジーを初体験
車体全体をリーン(傾斜)させながら旋回する3輪以上のモビリティをLMWと呼ぶのですが、このLMWテクノロジーのおかげで、路面状況がよくない時も安定感のある走りを実現してくれます。
ヤマハ「トリシティ125」でコーナーリングする筆者(石塚健)
例えば、濡れたマンホールや砂まじりの道路、障害物を踏んでしまった時も、LMWテクノロジーは力を発揮。前輪の左右どちらかのタイヤがグリップを失ったとしても、もう片方がグリップしてくれるなど、滑りやすい路面状況の影響を受けにくく、スリップによる転倒リスクを大幅に低減してくれます。
また、コーナーリング中に車体がバンクしている状態で、フロントブレーキをかけると、一般的な二輪車なら、かなりの転倒リスクを負うことになりますが、このトリシティはよほどのことがない限り、転倒するとは思えない程安定して走行できました。
ヤマハ「トリシティ125」の走りを楽しむ筆者(石塚健)
走っていて、特に楽しいと思った点は、バイクを大きくバンクさせられるところ。写真を見ていただければ、分かって頂けると思いますが、公道を走っていて気軽にここまでバンクさせられるバイクは、あまりないと思います。
一方で、個人的にひとつだけ好きになれなかったところが、ブレーキング時。ブレーキ自体はしっかりと効いてくれているのですが、かけた瞬間から柔らかめなフロントサスペンションが一気にストロークし、体感的にかなり前傾姿勢になってしまいます。
足を置いておくスペースが狭めで、伸ばしておけないため踏ん張りが効かず、前傾姿勢な上に身体のホールドが難しいので、腕に負荷がかかり、長時間の走行だと少し疲れてしまう
それに加え、足を置いておくスペースが狭めで、伸ばしておけないため踏ん張りが効きません。前傾姿勢な上に身体のホールドが難しいので、腕に負荷がかかり、長時間の走行だと少し疲れてしまうのではないかな?と思いました。とはいえ、今回の試乗ではバイクの特性を知るために、すこし大げさに操作している部分があったので、普段の通勤やツーリングを楽しむ程度なら、この点が気になることはないでしょう。
トリシティ125の価格(消費税込)は、トリシティ125 ABSが46万2000円、トリシティ125が42万3500円です。
ヤマハ「トリシティ125」と筆者(石塚健)
3輪による安定性と2輪本来の持っている軽快さとが合わさった、新感覚のトリシティ125!是非、体感してみてください。
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