バイクがハイビームブーム!? 眩しすぎるヘッドライト採用の理由とは
バイクのニュース / 2022年6月15日 9時0分
昨今、バイク人気が高まっており、リターンライダーが増加したことも併せて、バイク人口が大きく増えています。それに比例するように、夜間に走行するバイクのハイビームが眩しすぎるといった意見が多く聞かれるようになりました。一体なぜ、眩しいと感じる人が増えたのでしょうか。
■バイクはハイビームを点灯させて走る決まり?
バイクのヘッドライトは、日中であっても点灯が義務づけられており、道路運送車両の保安基準の細目を定める告示の一部を抜粋すると、「二輪自動車に備える走行用前照灯及びすれ違い用前照灯は、原動機が作動している場合に常にいずれかが点灯している構造であること」と定められています。
ちなみに「走行用前照灯」はハイビーム、「すれ違い用前照灯」とはロービームを指しており、現行モデルのほとんどのバイクは、エンジン始動中はヘッドライトが勝手に点灯する仕様になっています。
では、ハイビームはいつ点灯させるのが適切なのでしょうか。
昨今眩しいと感じるものが増加傾向にあるバイクのヘッドライト
交通の方法に関する教則の第6章「危険な場所などでの運転」第3節「夜間」の第2項「灯火」の一部には、以下の内容が記載されています。
「前照灯は、交通量の多い市街地などを通行しているときを除き、上向きにして、歩行者などを少しでも早く発見するようにしましょう。ただし、対向車と行き違うときや、ほかの車の直後を通行しているときは、前照灯を減光するか、下向きに切り替えなければなりません」
つまり、ヘッドライトを点灯させる際は、基本はハイビームという決まり。そして、街中や対向車、他の車両が前にいる場合は、自身でロービームに切り替えをするのが適切とされています。また、同教則では高速道路の場合にも言及しており、前述と同様に行き違いや前方車両がいる場合を除き、基本はハイビームを使うこととされています。
バイクのヘッドライトはハイビームが基本
警視庁の「平成29年上半期における交通死亡事故の特徴等について」によると、ハイビームを点灯していれば衝突が回避できた可能性が高い事故が、全体の56%となっています。したがって、薄暗くなったらハイビームを点灯させれば、事故の防止に一定の効果が発揮されるということ。
ちなみに、ハイビームは100m先まで、ロービームは40m先までと、明るく照らせる角度と照度があり、それぞれ視認できる距離が異なります。
■眩しさの原因はヘッドライトに使用されている電球?
純正仕様でもLEDの普及が進んでいる
では、昨今バイクのヘッドライト、特にハイビームが以前よりも眩しくなったのではないかという意見について、実際のところはどうなのでしょうか。
ひとつ目の理由は、ヘッドライトにLEDが普及しているためです。LEDランプは従来のハロゲン電球よりも明るく、寿命も長く、消費電力も少ないという特徴があります。
一方でハロゲン電球よりも値段が高いという欠点があるものの、2倍、3倍の明るさを誇る上にバルブの寿命と消費電力も下がるため、取り付けるライダーが増えているのです。
加えて、純正仕様でもLEDの普及が進んでおり、さらにはメーターやブレーキランプ類にまで普及。夜間での視認性は非常に良くなっており、運転者側にとっては夜間の事故防止にも繋がる一方で、対向車は今までよりも強い光を当てられるため、眩しく感じてしまうのです。
LEDヘッドライトは視認性抜群
では、強い光を照射するLEDに交換すると、車検は問題無いのでしょうか。
現状の検査基準では、ロービームの最高光度点は光度5000cd(カンデラ)以上、ハイビームの最高光度点の光度が1万5000cd以上と規定がされています。この基準について注目すべき点は、下限値の定めはあっても、上限値の定めがないこと。したがって、純正仕様以上の光を照射するLEDバルブを取り付けても、問題はないことになります。
自動車技術総合機構の説明によると、2019年10月1日以降のバイク用ヘッドライトの検査方法は、従来のハイビームを使った検査からロービームを使った方法へ変更されました。また、車検場の設備の更新ができていない場合は、従来通りハイビームを使った検査になっているため、地域差はあるものの、検査がロービームのみとなっているため、ハイビームで光の強さや照射角度が変更されても、チェックをしなければ素通りです。
加えて、車検で規定されているのは、光度・発光色・光軸・個数のみで、電球の種類などに細かな規定がありません。そのため、HIDやLEDなど、それぞれの好みのタイプを選ぶことが可能となっています。
薄暗くても見やすいヘッドライト
これらの状況により、ヘッドライトのハイビームの光が眩しく感じるのはLEDの普及と、車検制度の基準に光度の下限値はあっても上限値がないことが原因といえそうです。
なお、前述で紹介した「交通の方法に関する教則」第6章「危険な場所などでの運転」の第3節「夜間」第2項「灯火」2号には、「対向車のライトがまぶしいときは、視点をやや左前方に移して、目がくらまないようにしましょう」とも記載されています。
もし、対向車のヘッドライトが眩しいと感じた時は、光を直視しないようにすると良いでしょう。
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