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知ってる? フロントサスペンションの正立と倒立の違いとは

バイクのニュース / 2023年3月1日 9時0分

バイクには前後にサスペンションが装着されていて、乗り心地やハンドリングなどを向上させてくれています。そのなかでも、フロントサスペンションには正立と倒立という2種類の形式が存在します。一体どのような違いがあるのでしょうか。

■サスペンションの目的と構造

 バイクの乗り心地やハンドリングを向上させるために、前後のタイヤ付近にサスペンションが装着されています。そのなかで、フロントのサスペンションには正立と倒立の2種類が存在するのですが、一体どのような違いがあるのでしょうか。

倒立フォークが採用されたホンダ「400X」倒立フォークが採用されたホンダ「400X」

 サスペンションに求められる性能は乗り心地や直進性、ハンドリングなど多岐にわたります。もしサスペンションが搭載されていなければ、自転車のように路面からの振動を直に拾ったり、ブレーキング時に姿勢が乱れたりしてしまいます。というように、走行中の振動や荷重の変化を吸収するのが、サスペンションの役割です。

 そんなサスペンションの構造は、スプリングとショックアブソーバーで構成。スプリングは車体にかかった力を吸収するもので、ショックアブソーバーはスプリングの跳ねを抑える役割を持っています。

 バイクの場合、リヤはスプリングの内側にショックアブソーバーが組み込まれているタイプが多く、装着位置はリヤアームの付け根か後ろ側の車軸。

 一方のフロントについてはスペースが限られているため、フロントフォーク内にスプリングと、ショックアブソーバーと同じ効果を出すためのオイルが入れられています。

 ちなみに、この筒の中からシャフトが伸び縮みする構造から、バイクのフロントサスペンションはテレスコピック式と呼ばれています。

■フロントサスペンションの正立と倒立

 そんなフロントサスペンションの形式で、主流となっているのが正立と倒立です。

 字面からも意味はなんとなく想像できると思いますが、違いはサスペンションのインナーチューブ、つまり上下に動くロッドが上に出ているのか、下に出ているかの違いとなります。

 具体的には上に出ているのが正立、下に出ているのが倒立。また外側から見ると、アウターチューブが下にあるのが正立で、上にあるのが倒立です。付いている位置が逆になるだけで構成部品はほぼ同じなので、見た目に大きな違いはありませんが、よく見れば付いている位置が逆になっていることがわかります。

倒立フォークが採用されたホンダ「CBR250RR」倒立フォークが採用されたホンダ「CBR250RR」

 この2つの大きな違いはというと、倒立のメリットから説明すると、アウターチューブを太くでき、ステアリング部分に直接固定されているため、剛性を高めることができます。さらにインナーチューブよりもアウターチューブのほうが長いので、この点も高剛性に寄与するポイント。これらのメリットから、ジャンプをしたりするオフロードやオンロードのスポーツモデルに多く採用されています。

 また、機能面だけではなくデザイン的にも特徴があり、下に行くに従って細くなるため、シンプルでシャープなイメージとなります。

 倒立のデメリットはコストが高いこと。そのほか、オイルシールからオイルが漏れやすいという意見もありますが、実際にメンテの現場で聞いても、あまり大きな違いはないようです。

 そして、正立のメリットは倒立の逆。コストが安く、剛性があまり高くないゆえに、ゆったりとした乗り心地になる傾向にあります。

 デメリットは剛性が低いことから、ブレーキング時などの大きな入力に対して不安定になることですが、もちろん大きな問題になるほどのレベルの話ではありません。

正立フォークが採用されたロイヤルエンフィールド「コンチネンタルGT650」正立フォークが採用されたロイヤルエンフィールド「コンチネンタルGT650」

 歴史的な流れで見ると正立から始まって、レースで培われた技術である倒立が市販車に採用されるようになりました。

 オンロードで国産初搭載されたのが、1989年に登場したカワサキ「ZX-R400」で、1990年代はレーサーレプリカを中心に採用されていましたが、現在ではホンダ「CBR250RR」などにも広がっています。

 また意外なところでは、125㏄を含むホンダ「モンキー」に倒立が採用されていますが、剛性はほとんど関係なく、シンプルなデザインとするために採用されたようです。

 一方の正立については、実用車種を中心に多く採用されています。

 特にネイキッドは定番的なスタイルを重視することもあり、正立を採用している車種がほとんど。面白い例では1990年代レーサーレプリカであるスズキ「ガンマ125」は倒立が採用されていましたが、カウルを外したネイキッド版の「ウルフ125」には正立が採用されていました。

 これはキャラクターの違いと、コストの問題での使い分けだったと言われています。

※ ※ ※

 最近では剛性が高められた正立も増えてきているので一概に倒立のほうが、性能がいいとは言えなくなってきています。一時はアウターチューブが上に付いていることから倒立の方が、バネ下重量が軽くなって、路面への追従性がよくなると言われていた事もありますが、こちらについても車種や装着部品によって異なるのが実際の所。

 とりあえず倒立は、コストはかかるけど高剛性な点が最大のメリット。しかし、最近では正立でも高剛性が確保できるようになっていると、覚えておけば良いでしょう。

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