アップダウンの激しいサーキットとして知られる「アルガルベ」 MotoGPポルトガルGPのパドックをぶら歩き
バイクのニュース / 2023年4月9日 11時0分
2023年MotoGP開幕戦の地、ポルトガルのアウトドローモ・インターナショナル・アルガルベに足を運びました。MotoGPの取材としては初めてやってきたアウトドローモ・インターナショナル・アルガルベのパドックを歩きます。
■山の中にあるサーキット
桜が咲き始め、この時期特有のアレルギー性鼻炎に春の到来を感じながら日本を経ち、長旅を終えてポルトガルのファロ空港に降り立つと、強い日差しが目を刺しました。まぶしさに目を細めながら空を眺めると、透けるような青さ。ヨーロッパの空は、日本で見るよりも強烈な気がします。陽光も、空の青さも。そしてその空の下を歩くと、ああ、ヨーロッパに来たんだな、という理解がじわじわと脳に染み込んでいく筆者(伊藤英里)なのでした。2023年シーズンのMotoGP取材のため、現地へやって来ました。
MotoGPクラスではフロントを浮かせながら駆け下りる11コーナー。アップダウンの激しいサーキットなのだ
MotoGP開幕戦ポルトガルGPの開催地であるアウトドローモ・インターナショナル・アルガルベは、ポルトガルの南部にあります。ファロ空港からは西に約80km、ポルトガルの首都、リスボンからは南に約300kmに位置しています。
サーキットまで、ファロ空港で借りたコンパクトカー、FIAT 500(フィアット・チンクエチェント)を走らせていると、山に囲まれた景色に変わっていきました。と言っても木々の生い茂った山と言うより、小高い山のような丘が連なっていて、そこにぽつぽつと木が生え、草が伸びているばかりで、あとは山肌をさらしています。視界がとても開けているのです。
アップダウンの激しいサーキットとして知られているアウトドローモ・インターナショナル・アルガルベも、こうした地形を生かして作られたのだろうな。そんなことを思いながら、サーキットのレイアウトを思い浮かべました。
そして実際にサーキットを見れば、その高低差に驚きます。フィジカル的に厳しいサーキットとされるのも、分かる気がしました。
筆者は2018年にも一度、ここへ来たことがあるのですが、安全面やレイアウトは別にして、個人的にはその景色が好きなサーキットでもあります。周りを山に囲まれながら遠くまで見渡すことができ、そして山肌に見える赤茶の土に青い空のコントラストがとてもよく映えます。そんな中を、バイクという人工物を駆ってライダーが走り抜ける様が、とても美しいと感じるのです。
■パドックに感じるMotoGPの豪華さ
木曜日にはまだ設営中だったサーキットのパドックも、走行が始まる金曜日にはいつものMotoGPパドックがすっかり完成していました。アウトドローモ・インターナショナル・アルガルベのパドックは、コースの内側にあります。最終コーナー側にメディアセンターや会見場となる部屋が用意された建物があり、それからここには、大きなプールがあるのです。
メディアセンターや会見場が用意された建物の間にはプールがある。2023年はここに飛び込むライダーはいなかった……
「プール」と聞いてぴんと来た人もいるかもしれません。2022年ポルトガルGPでファビオ・クアルタラロ選手(ヤマハ)が優勝したとき、歓喜とともにツナギ姿のままで飛び込んだ、あのプールです。今回は残念ながら(?)、飛び込むライダーはいませんでした。少し肌寒かったですからね……という理由だったのかはわかりませんが。
1コーナーに向かってMotoGPクラスの各チームのトレーラーが並びます。このトレーラーを見るたびにつくづく、素晴らしく整然と並ぶ様子にプロの仕事を感じてしまいます。それくらい、トレーラーの頭がきれいに揃えられているのです。
1コーナー側から見たパドックの光景
歩いて1コーナー側に向かうと、左手のトレーラーは途中からMoto2、Moto3クラスのものになっていきます。
パドック1コーナー側の右手には、Moto3クラスのテントピット。ピットがなくなったあたりで今度はぐるりと右手に回り込み、再び最終コーナー側を目指すように歩くと、今度は向かって右手に、ライダーやチームスタッフが食事をしたり、ミーティングをしたり、チームがゲストを迎えるためのホスピタリティが並んでいました。
ホスピタリティは家のように大きく、これが移動していくのだと想像すると、驚くばかりです。中にはテーブルとイスだけではなく、くつろげるようなソファ、それからカプチーノなどを提供するカフェスペースもあり、もちろんレースを観戦するためのテレビも設置されています。
また、時にはレース後のライダーの囲み取材がホスピタリティで行なわれることもあります。ポルトガルGPでは決勝レース後、マルク・マルケス選手(ホンダ)の囲み取材がホンダのホスピタリティの2階で行なわれ、さながら会見場のようにマルケス選手の前には長机が置かれ、ジャーナリストのためにイスが並べられていました。
ピット前に停められていたムーニーVR46レーシングチームのトレーラー。2台のトレーラーによって2階建ての建物のようになっている
MotoGPのパドックは本当に華やかで、筆者自身、初めてヨーロッパのMotoGPに来たとき、あまりに豪華な設備に度肝を抜かれたものです。何度か取材に足を運んだ今も、やっぱりパドックの中にいるだけで心が高鳴ります。普段目にできないような機能を備えた巨大なトレーラー、移動式のホスピタリティなどを眺めているだけでMotoGPを感じられるのです。
パドックも、MotoGPという世界最高峰の2輪ロードレース選手権が表現された場所なのかもしれないな、と思うのでした。
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