「DOHC」とか、どういう意味? スペック表で見る「エンジン種類」に記されたアルファベットとは
バイクのニュース / 2023年5月18日 11時0分
バイクのカタログや、メーカーHPに掲載されている「スペック」や「仕様」、「諸元」の表には、購入時の参考やライバル車との性能比較など、役立つ情報が含まれています。「エンジン種類」に書かれているアルファベットの意味、「動弁機構」について紹介します。
■「動弁機構」の名前を頭文字で表記
現在市販されている公道用のバイクは4ストローク・エンジンが主流で、ガソリンと空気を混ぜた混合ガスを吸気→圧縮→爆発→排気してエンジンを回すために「吸気バルブ」と「排気バルブ」を備えています。
【図解】4ストローク・エンジンの基本的な構造(DOHC方式)。図では省略しているが、カムはクランクシャフトからチェーンやギアを介して回している
これらのバルブは卵型の断面を持つカムによって開閉されますが、バルブやカムシャフトの配置などは、高性能化を狙って進化を続けてきました。それがエンジン種類の中で「DOHC」といったアルファベットで表記される「動弁機構」の方式です。
まずは動弁機構の種類と進化を見ると、ガソリンエンジンのバイクが登場した当初の動弁機構は「SV(サイドバルブ)」方式が主流でした。構造がシンプルなので製造しやすく堅牢なのが特徴ですが、燃焼室が広いため混合ガスを強く圧縮することができず、高出力化に不向きでした。そのため1950年台頃を最後に、バイク用エンジンの動弁方式としては姿を消しました。
【図解】「SV」方式はシリンダーの横にバルブを配置。ガソリンエンジンのバイクの登場時から、第2次世界大戦後しばらくまで存在した
SV方式より高回転化を目指して、バルブをシリンダーの上に配置した「OHV(オーバーヘッドバルブ)」方式が登場。燃焼室をコンパクトにできるため圧縮比が高くなり、SV方式よりハイパワー化を実現しました。現在もハーレーダビッドソンの空冷エンジンや、BMWモトラッドのヘリテージモデル「R 18」等に使われています。
【図解】「OHV」方式はバルブをシリンダーの上に配置し、プッシュロッド(図では黄色の棒)でシーソー状のロッカーアームを介してバルブを開閉
しかし長くて重いプッシュロッドを動かしているため、より高回転化するには難しい部分もあります。
そこで、カムシャフトもシリンダーの上に配置して、長くて重いプッシュロッドを使わずに直接ロッカーアームを動かす構造が考案されました。それが「OHC(オーバーヘッドカムシャフト)」方式です。1960年台頃から採用するバイクが増えました。
【図解】「OHC」方式は、カムシャフトもシリンダーの上方に配置し、プッシュロッドを使わずにロッカーアームを押してバルブを開閉。DOHCと区別するためSOHCと呼ぶこともある
OHCはOHVよりずっと高回転を可能にしましたが、まだロッカーアームを介している分、摩擦や駆動ロスがあります。そこでカムシャフトを吸気側と排気側で別々に分け、バルブを直接押して開閉する「DOHC(ダブルオーバーヘッドカムシャフト)」方式が登場しました。
【図解】「DOHC」方式は、吸気側と排気側でカムシャフトを独立させ、バルブを直接押して開閉。カムが2本あるので“ダブル”オーバーヘッドカムシャフトと呼ぶ
DOHC方式はロスが少ないだけでなく、高回転時もバルブを正確に開閉できるため、スポーツ性の高いモデルに多く採用されています。
■進化を止めない動弁機構
現行モデルの動弁機構はSV方式を除いた3種類で、性能的に一般論としては「OHV<OHC<DOHC」の順と言えるでしょう。
ホンダ「CRF1100Lアフリカツイン」は、独自のユニカム・バルブ・トレインを採用するOHC方式
しかしOHC方式の中でもホンダの「ユニカム・バルブ・トレイン」のように、吸気バルブをカムシャフトが直接押して排気バルブをロッカーアームで開くことで、従来のOHC方式より高回転・高出力を可能にし、かつDOHC方式よりコンパクトで軽量な動弁機構が登場しています。
またレースにも使われるようなスーパースポーツ系のモデルでは、DOHC方式ながらカムが直接バルブを押すのではなく、フィンガーフォロワと呼ぶ小さなロッカーアームを介することで、より高出力化を実現したエンジンも増えています。
ホンダ「CB1300 SUPER FOUR」の「エンジン種類」名。アルファベットは「動弁機構」を表している
そのためスペック表の「エンジン種類」の表記だけで性能を判断するのが難しくなっていますが、それだけに動弁方式はまだまだ進化が止まらない、と捉えることができるでしょう。
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