説明できる? マフラーとチャンバーの違いとは
バイクのニュース / 2023年8月12日 12時10分
海外では復活の動きはあるものの、国内では絶滅してしまった2ストロークエンジン。小排気量でも大パワーが出るなど、4ストロークとは構造が大きく異なるため、2ストロークにしかないパーツが多くあります。そのなかで、パワーと関係が大きいチャンバーについて解説しましょう。
■一見するとマフラーに見えるチャンバー
海外で復活の動きはあるものの、国内バイクではほぼ絶滅してしまった2ストロークエンジンは、小排気量でも大パワーが出るなど、4ストロークとは構造が大きく異なるため、2ストロークにしかないパーツが多くあります。
その代表とも言えるのが、パワーと関係が大きいチャンバー。一見、マフラーとの区別が難しい、チャンバーについて解説します。
チャンバーはパワーとの関係が大きなパーツ
2ストロークバイク、とくにスポーツモデルに乗っていた方には、懐かしい存在ともいえるチャンバー。交換するとパワーが出たり、トルクが太くなったりするので、社外品ではチューニングパーツが多く売られていました。また、独自のノウハウを持ったショップもあり、オリジナルチャンバーを作っていたのも懐かしい思い出です。
そんなチャンバーは、4ストロークバイクのマフラーのような形をしていましたが、チャンバーの機能はマフラーとはまったく違います。
4ストのマフラーは、排気管部分は排気効率に関係しており、サイレンサー部分で消音をしています。一方の2ストのチャンバーも消音はサイレンサーで行なっていますが、サイズは小さく、テール部分におまけのように付いているのみ。
実際、取り外しは簡単で、定期的に中に詰められているグラスウールを交換したり、破損した場合はこの部分だけ取り替えることもできました。
そして、排気管に見える本体がチャンバー。エンジンから出ている部分は基本的に、排気効率には関係ありません。
■チャンバーの役割とは?
では、チャンバーはどういった目的で付いているのでしょうか。
2ストロークは吸気バルブと排気バルブがなく、ピストンが代わりの役割をしていますが、それでも完全にはバルブの代わりにはなりません。そのためタイミングによっては、せっかくシリンダーに入ってきた混合気が燃焼せずに抜けてしまいます。そうなるとアクセルを煽ってもエンジン回転が付いてこない、いわゆるスカスカの状態になってしまいます。
チャンバーには排気ガスの排出を助けるという効果もある
これを防ぐために排気ディバイスなどの装置が開発されていますが、王道的な方法がチャンバーでの調整。チャンバーの形をよく見ると、真ん中の部分が大きく膨らんでいて、細い排気管を流れてきた排ガスはいきなり膨張します。イメージとしては爆発といった感じです。
その広がりは後方、つまり出口となるサイレンサー方向だけでなく、エンジン方向にも吹き返し的に向かいます。この逆方向の流れがバルブのような効果を発揮し、未燃焼の混合気が抜けすぎるのを防止するのです。
もうひとつ、排気ガスの排出を助けるという効果もあります。チャンバー内で排気ガスが突然大きく膨張することで内部の圧力が減り、負圧が発生することでシリンダーからの排気ガスの排出が促進される仕組みです。
■チューニングとメンテナンス
チャンバーは膨らみの部分が重要になるため、形や大きさによって、高回転型やトルク重視などの特性を変えることが可能。
純正のチャンバーは扱いやすさとパワーなどがうまくバランスされていますが、一部の性能を際立たせた社外チャンバーが、2スト全盛時代にはスポーツモデル向けを中心に多くラインナップされていました。
また、鉄板を湾曲させて溶接でつなぎ合わせ、サイレンサーは汎用品を使用すれば比較的簡単にできるのもチャンバーのメリットでした。
チャンバーは使用していると2ストオイルが溜まるという問題が度々発生する
ただ、使用していると2ストオイルが溜まることが度々、問題になりました。
2ストはガソリンにオイルを混ぜて燃焼させているため、排気ガスにもオイルが含まれます。そのオイルはサーキットなら高回転を維持して発生を減らしたり、飛ばしてしまえばいいのですが、街乗りでは不可能な為、チャンバーの中にオイルが溜まってしまうのです。
そこでチャンバーのメンテナンスとして行なわれていたのが、内部のクリーニング。
場合によっては1kg以上のオイルがコッテリと溜まっているため、簡単には落とせないのが問題で、灯油を入れて両端に封をして放置したり、家庭用洗剤で溶かし出したり、またショップではバーナーで焼き切って取り除くサービスを行っているところもありました。もちろん取り除けば走りは軽くなるので、定期的に行ないつつ、できるだけ溜めないのが2スト乗りの流儀。
走り方がメンテナンスにも大きく関係するという2ストの特徴を、懐かしく感じる人もいるのではないでしょうか。
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