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奈良県「助人トンネル」 ケーブル衝突死傷事故 トラック運転手も不起訴 誰も責任問われず

バイクのニュース / 2023年8月8日 13時8分

奈良県が管理する国道の暗いトンネルで、工事期間中に起きた走行中のバイクと垂れ下がった照明ケーブルの衝突事故。警察も検察も、誰の責任も認めず、ただ照明ケーブルに衝突したライダーが転倒し、死傷した事実だけが残りました。

■車体がひっかかるような場所にケーブルを敷設しても、誰も責任なし

 奈良県が管理する国道のトンネルで発生した、バイク2台の死傷事故。奈良検察庁が、ケーブルを車体で引っかけて原因を作ったとされるトラック運転手を不起訴にしたことが、関係者の話でわかりました。

 当時、現場ではトンネルの補強工事期間中で、通常の天井部分とは違う側壁に、照明用のケーブルが移設されていました。先に奈良県警五條署は工事発注者である奈良県の過失を認めず、対向車とのすれ違いで設置されたケーブルが垂れ下がった実行者としてのトラック運転手を送致しましたが、奈良検察庁は、これを不起訴としました。

国道168号「助人トンネル」付近に設置された注意看板。バイクの路肩走行注意とは、どんな意味があるのか。対向注意がかすむ(撮影/中島みなみ)国道168号「助人トンネル」付近に設置された注意看板。バイクの路肩走行注意とは、どんな意味があるのか。対向注意がかすむ(撮影/中島みなみ)

「ただ、そこの居合わせたことが悪いのか……」

 事件の当事者は、検察の判断をこう悔やみました。

 国道168号「助人トンネル」(奈良県十津川村川津)で、2022年5月2日に発生したトンネル内の照明用ケーブルとの衝突事故。先行したトラックが、大型車とのすれ違いで側壁に寄り過ぎたことが原因で、工事のために移設されていた照明用ケーブルに接触。車体後部でケーブルを引きずったために、固定が外れて上から垂れ下がるような状態になりました。

 その直後に通行したバイク3台のうち、2台がケーブルに衝突して転倒。先行した1台のライダーが死亡し、転倒を見ていた後続のライダーも、止まり切れずにケーブルに衝突、軽傷を負いました。

 現場は、現在の基準では既存不適格となる道幅が狭いトンネルです。路肩がなく、車両が左に寄り過ぎると側壁に接触することが予想されていました。

国道168号「助人トンネル」 写真では明るく見えるが、事故当時のトンネルは照明が変更されているため、暗く見通しが悪かったという(撮影/中島みなみ)国道168号「助人トンネル」 写真では明るく見えるが、事故当時のトンネルは照明が変更されているため、暗く見通しが悪かったという(撮影/中島みなみ)

 通常ではアーチ型になった天井部分にケーブルが敷設されているため、こうした事故は起きませんでしたが、トンネル内部の補強工事のため、側壁に移設されていました。

 捜査した奈良県警五條署は、標準工事仕様に基づいた工事のため、工事施工者や発注者である奈良県には責任はないと判断。直接の行為者であるトラック運転手を特定し、送致しました。

 しかし、奈良県検察庁は、2023年8月7日までに、このトラック運転手についても不起訴処分としました。

 この事故について、山下真奈良県知事は、こう話していました。

「そもそも事故が起きた理由ですけれども、被害に遭われた方の前に走っていたトラックがトンネル内のケーブルを引っかけて、そのケーブルが垂れ下がって、それに接触して転倒されて死傷されたというように聞いていますので、その事故の原因者というのは、先行したトラックのドライバーであるというように考えておりますので、基本的に、奈良県に特段、刑事上、民事上の法的責任はないと思っております」(2023年5月26日)

 そのトラックドライバーにも責任がないことに……。

 道路の安全は誰が責任を持つのかが、改めて問われる判断です。

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