スペック表から読み解く! 「変速比」と「減速比」はナニが違う?
バイクのニュース / 2023年8月24日 11時10分
バイクのカタログや、メーカーHPに掲載されている「スペック」や「仕様」、「諸元」の表には、購入時の参考やライバル車との性能比較など、役立つ情報が含まれています。「変速比」や「減速比」でバイクの性格が分かる……かも!?
■回転数を「減速・変速」して走りやすくする
スポーツバイクのスペック表の「変速比」の欄を見ると、そのバイクのギア段数ごとに数値が記載されています。また「一次減速比/二次減速比」の欄にも、似たような細かな数値値が書かれていますが、いったいにナニを変速したり減速したりしているのでしょうか?
【図解】エンジンのクランクシャフトから後輪に回転が伝わる仕組みの概念図
じつはバイクのエンジン(クランクシャフト)が生み出す力(トルク)は意外と小さく、そのままではバイクの重量やライダーの体重、荷物などを動かすには十分ではありません。エンジンはかなりの高回転で、歯車などを使って回転数を下げる、すなわち「減速」することで、回す力(トルク)を大きくしています。これは理科や化学で習うテコや滑車の原理に似ています。
そこでまず、クランクシャフトからトランスミッション(変速機)に回転を伝える際に減速しますが、これを「一次減速」と呼びます。伝達されるトランスミッション側のギアの歯数を、伝達するクランクシャフト側のギアの歯数で割った数値が「一次減速比」になります。
ホンダ「CBR250RR」の常時噛合式のトランスミッション。6段変速なので6セットのギアによって変速している
次にトランスミッションによって、一次減速で伝わってきたエンジンの回転を坂道や平たん路など走るシーンや、高速道路など速度域の違いに合わせて、扱いやすく効率の良い回転数に切り替えて、後輪に伝えます。
6速のバイク場合は6セットの変速ギアがあり、ここでも主に「減速」していますが、車種によっては6速など高いギアでは増速している場合もあるため「変速」と呼んでいます。
後輪に伝える側(アウトプット)のギアの歯数を、クランクシャフトからクラッチを介して回転が伝わる側(インプット)のギアの歯数で割った数値が「変速比(ギヤレシオ)」になります。
そしてトランスミッションのアウトプット側の軸に設けたドライブスプロケットと、チェーンを介して後輪のドリブンスプロケットを回すところが「二次減速」です。ドリブンスプロケットの歯数をドライブスプロケットの歯数で割った数値が「二次減速比」になります
■カワサキのスペック表が分かりやすい!
カワサキのスペック表は、減速比や変速比の数値の後に、ギアやスプロケットの歯数が記載されています。いずれも左側が伝達される側の歯数なので、これを右側の伝達する側の歯数で割ると、減速比や変速比になります。
カワサキ「Z900RS」の一次減速比/二次減速比と、トランスミッションの変速比。カッコ内にギアやスプロケットの歯数が記載されている
たとえばカワサキ「Z900RS」の変速比を見ると、1速~5速は「1より多く」、カッコ内のギアの歯数も左の伝達される側が多いので「減速」していますが、6速だけは「1より少なく」なっており、歯数も伝達する側の方が多いので「増速」していることが分かります。
このような変速比を持つバイクは、6速に入れることでエンジンの回転数がグッと低くなり、燃費が向上したり排気音や振動を低減することができます。かつてはこのように変速比が1より少ないギアを「オーバートップ」と呼んでいました。
■スポーツ性に影響するギヤレシオや二次減速比
また、各ギアの変速比の数値の差が少ない(変速比の間隔が狭い)トランスミッションを、「クロスミッション」と呼んだ時代もありました。これはシフトアップした時にエンジン回転が落ち込まずに鋭く加速でき、シフトダウンする際もエンジンブレーキが強く効かないので、レースやスポーツ走行向きでした。
しかし近年のスポーツバイクの多くは、昔のクロスミッションと同等か、それ以上に接近した変速比のトランスミッションを装備するようにななったため、クロスミッションという表現をしなくなりました。
ホンダ「CBR250RR」の二次減速
あくまで一般論としての傾向ですが、二次減速比が小さい方が高速重視で、大きい方が加速重視になります。これは排気量やエンジン型式が異なるバイクでは比較できませんが、同じ機種でもマイナーチェンジした時などに変更されることがあるので、そんな場合は参考になります。
このように、かなりマニアックではありますが、変速比や減速比はそのバイクの特性を知る上でヒントになることも多いのです。
ちなみに、二次減速比に関係するドライブスプロケットやドリブンスプロケットは、歯数の異なるアフターパーツが相応に用意されているので、カスタムやサーキット走行などを楽しむ際に、セッティングとして変更する場合も少なくありません。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
ホンダのスクーター第2弾「ジュノオM型」は「E-クラッチ」の元祖? 世界GP初優勝の年に市販した変速機の革命
バイクのニュース / 2024年5月20日 19時40分
-
「Honda E-Clutch」の対抗馬登場!? BMW Motorradがオートメイテッド・シフト・アシスタントを発表! 自動化されたクラッチとギアシフトにより新しいライディング体験を実現
バイクのニュース / 2024年5月8日 8時10分
-
新型「CBR650R」ホンダE-クラッチが革新的な訳 クラッチ操作不要、世界初のMT機構のメリット
東洋経済オンライン / 2024年5月6日 12時0分
-
進化型「GRヤリス」からGRカローラの今後を予測 8速化された新型の走りをサーキットでテスト
東洋経済オンライン / 2024年5月3日 11時40分
-
駐車時はギアを1速に入れておこう!
バイクのニュース / 2024年5月3日 11時10分
ランキング
-
1「天才かな…」警視庁が紹介した“ズボンのたたみ方”が話題に! 避難所やレジャーでも使える便利テク
オールアバウト / 2024年5月28日 21時50分
-
2【ミスド】幻のドーナツ「ホイップ&カスタードファッション」とは? どこで買える?
イエモネ / 2024年5月27日 12時0分
-
3ラブホ清掃員が明かす「40分ほど部屋が使用できなくなる」お風呂での迷惑な行為とは?
日刊SPA! / 2024年5月28日 15時54分
-
4【肉の日】2024年5月の飲食店キャンペーン・割引情報まとめ
イエモネ / 2024年5月27日 17時0分
-
5【まとめ】東京|100年近い歴史を宿すホテルも。いつか訪れたい、品格ある都内の老舗ホテル5選
IGNITE / 2024年5月28日 13時32分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください