スズキ「V-STROM 800DE」 海外でも日本でも、あらゆるツーリングシーンで楽しめることを確認
バイクのニュース / 2023年8月26日 11時10分
2022年11月に海外で発表され、日本では2023年3月より発売開始となったスズキの新型「V-STROM 800DE」は、排気量776ccの水冷並列2気筒DOHC4バルブエンジンを搭載する、ミドルクラスのアドベンチャーモデルです。その走りは海外でも日本でも、同じように走りを楽しめる出来栄えでした。
■車体全体の仕上げ方が絶妙、あらゆるツーリングシーンで楽しめる
スズキの新作アドベンチャーバイク「Vストローム800DE」に乗りました。海外のメディア試乗会ですでにその良さを実感、体験していましたが、いつもの道で乗ったらどうなのか、とても気になっていました。結論から言えば、その良さは海外の道でもいつもの道でも同じ、思わず嬉しくなる出来栄えだったのです。
スズキ「V-STROM 800DE」に試乗する筆者(松井勉)
まずは「Vストローム800DE」を復習しておきます。世界的に人気の高まりを見せているアドベンチャーバイクのアンダー1000ccクラスにスズキが投入した新機種です。
並列2気筒エンジンに270度位相のクランクシャフトを入れることで、90度Vツインモデル(Vストローム650/1050など)と同様に、不等間隔爆発をするエンジンです。
排気量775ccの新設計エンジンはストリートネイキッドモデル「GSX-8S」と共用で、フレームも主要部分を共用するいわば兄弟モデル。メインフレームから後ろ側、シートやテールランプなどを支えるサブフレームは、タンデム、積載性を考慮して「GSX-8S」より頑丈な造りになっています。オプションリストにはラゲッジケースも用意され、ライダーの好みに仕立てることも可能なバイクです。
舗装路、未舗装路のどちらもツーリングルートに入れて走れるよう、前輪は21インチ、後輪は17インチを採用。また、フロントは220mm、リアは212mmのサスペンションストロークを持っています。最低地上高を220mm確保して、荒れた道でも走破性を確保しているのです。
スズキ「V-STROM 800DE」(2023年3月発売)
試乗車の車体色はグラスマットメカニカルグレーで、広告のイメージカラーになっているチャンピオンイエローが持つ輝度の高さ、アピールの強さは抑えられ、むしろ東京都心にもスッと溶け込むような印象です。
市街地ではそのサイズやシート高とは裏腹に、扱いやすくトルクのある2気筒エンジンの良さ、アップライトなライディングフォームからの視界の良さがあり、道路や交通状況をチェックできるので想像以上。また伸びやかなサスペンションによって市街地のギャップをキレイに減衰してくれる基本性能が安心、快適な走りを見せます。
暑い季節は、エンジンまわりからの熱がライダーの足にまとわりつくのが玉に瑕ですが……。
高速道路での巡航性能もピカイチ。クルーズコントロールが欲しくなる
ツーリングで走る道ではどうなのかが気になる方にも朗報です。まず、足つき感を上手に引き出すために工夫されたシート形状ながら、2時間程度連続で走ってもフォームの厚みと幅でライダーの体重をしっかりと受け止めるそれは、疲れを感じさせません。
もちろん、フェアリングの風防効果もそれに加味されます。そしてステップ、ハンドルバー、シートで造られるライディングフォームがゆったりとしているため、膝、肘、首などに負担が掛かりにくいのも嬉しいところ。
「Vストローム800DE」のエンジン特性は、例えば高速道路を一定速で流すのにもぴったりで、80km/h、100km/h、120km/hと、様々な速度域でガソリンがある限り走り続けられそうなほど。ここまで巡航性能が良いと、やっぱりクルーズコントロールが欲しいところ。不満なのはそれぐらいでしょうか。
ワインディングでは、鋭くはないもののフロント21インチ+リア17インチというタイヤサイズから想像するよりも身のこなしは軽く、左右への切り返しに“もっさり感”がなく、この車体でワインディングを切り抜けるのに夢中になれます。
サスペンションストロークが長いものの、減衰圧の効かせ方と言いますか、ストローク速度を適性に設定されている点でどこにも“だぶつき感”なく長いストロークを活かした走りが楽しめます。
ブレーキ性能も充分。専用設計されたダンロップの「トレールマックス ミックスツアー」のグリップ力やコーナリング特性も納得。ロードバイクと一緒でも引けをとらないと思います。
ダート路でのスポーツ性能も抜かりなし。車体全体のまとまりの良さが感じられる
「Vストローム800DE」を買ったら林道にも行ってみたい、という人が気になるオフロードでの走行性能です。安心して下さい。メチャ、楽しめます。まずトラクションコントロールなどの電子制御の効かせ方がちゃんとダート路を走行すること、さらに言えばそこでスポーツ走行を楽しむのを前提に設定を煮詰めているのです。
これはマップの設定という単純なことではなく、シャーシの剛性バランス、サスペンションの受け止める減衰圧の設定、こだわって専用設計したタイヤ、さらにはエンジンの特性などで造るバイク全体のまとめ上げがあってのこと。
例えばヤマハ「テネレ700」や2023年デビューのホンダ「トランザルプ750」などと比較すれば、やや重たい230kgという車重ながら、それがまったく気にならないまとまり方に喜々として楽しめます。
アンダー1000ccクラスは価格やスポーツ性重視のモデルが多いなか、プレミアムクラスのような上質な乗り味も持ちつつ、スポーツ性も高い。日本の道でもその良いトコ取りな存在感を、たっぷりと味わったテストだったのです。
※ ※ ※
日本では2023年3月より発売開始となったスズキ新型「V-STROM 800DE」の価格(消費税10%込み)は132万円です。カラーバリエーションは取材車両のグラスマットメカニカルグレーのほか、チャンピオンイエロー、グラススパークルブラックの3色設定です。
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