ホンダ「VT250F」は「NR」の血統を継ぐ驚異の水冷4ストロークVツインクォーターだった
バイクのニュース / 2023年8月28日 19時40分
1980年代前半に激戦の250ccクラス市場に投入されたホンダ「VT250F」は、宿命のライバルである2ストローク勢に負けない注目のハイメカ満載の4ストロークエンジンを採用し、ホンダのスポーツマインドをみなぎらせて登場しました。
■排気量の枠を超えた「真のスーパースポーツ」として世代を超えたロングセラーに
水冷4ストローク90度V型2気筒DOHC8バルブというハイスペックなエンジンを搭載したホンダ「VT250F」は、1982年5月に発売されました。世界初の「250ccクラスで水冷90度V型エンジン採用」ですが、そもそも水冷4ストロークもV型エンジンも、まだ特別なバイクにしか採用されない時代に、それらがまとめて250ccクラスのバイクに搭載されたことはホンダファンのみならず日本中のバイクファンの注目を集めました。
バイクブームを代表する爆発的人気モデルとなったホンダ「VT250F」(1982年型)
「VT250F」デビューの時代を整理すると、「CB750Four」の発売によってホンダが世界のトップバイクメーカーとなり、その後、国内他メーカーとの開発競争が激しくなっていきます。
1970年代から80年代にかけて、バイクブームは盛り上がりを見せるものの大型二輪免許の取得が難しく、普通二輪(当時は中型二輪)に人気が集中し、とくに車検不要の250ccクラスは各社ともにオンロード、オフロードモデルが多数ライナップされました。
そんなホットな250ccクラスですが、1980年に入ると他メーカーは水冷2ストロークモデルを発売し、大ヒットとなります。その対抗馬としてホンダが送り込んだのが、クラスを超えた4ストローク、ハイメカ満載の「VT250F」です。
ホンダ独自のアルミプレートを組み合わせて構成されるコムスターホイール。この形状はブーメラン型と呼ばれた
車体は新設計のダブルクレードル型フレームを採用し、その後「VF400F」や「MVX250F」へと続く、当時のホンダスポーツ車を代表するデザインでした。
フロントホイールにはこのクラスの市販車では初採用となる16インチホイールと、デュアルピストンキャリパー付のインボードディスクブレーキを装備し、リアにはホンダ独自のプロリンクサスペンション、前後共にアルミ製ブーメランコムスターホイールとセミエアサスペンションを採用しています。
油圧式クラッチや電気式タコメーター、ウインカーを埋め込んだメーターバイザー(当時はカウリングは認可されないためメーターバイザーと呼んでいた)や、ハロゲンヘッドライト、リアコンビネーションランプなど、エンジンや車体以外も80年代前半のスーパースポーツとして充実した装備となっていました。
上級車種と近い構成のコックピット。セパレートルハンドルもこの時期のホンダの定番
ちなみに、「VT250F」が登場する2カ月前の1982年3月、ホンダの世界戦略車として水冷V4エンジン搭載の「VF750マグナ」や「セイバー」がデビューし、V4エンジンのスポーツモデル「VF750F」、「VF400F」は半年後の12月に発売というタイミングです。
この時期のホンダは、世界GPで注目を集めた4ストロークV4エンジン搭載の「NR500」の技術やイメージを市販車へ投影し、魅力的なスポーツモデルをラインナップしています。
「VT250F」は2ストロークモデルのライバル車と同じ最高出力35PSでデビューしましたが、エスカレートする開発合戦で2年後のモデルチェンジでは40PSに、さらに4年後には43PSとなります。しかし250ccクラスはその後レーサーレプリカブームに飲み込まれ、速さを追求するライダーの注目は「NSR250R」や「CBR250RR」等に移っていきました。
水冷4ストローク90度V型DOHC8バルブエンジンを搭載。スラント型キャブレター装備
「VT250F」は馬力を向上させつつも乗り易さを犠牲にせず、低回転域での吸排気効率も追求していました。結果的に、高性能でありながら初心者にも好まれるバイクとしてモデルチェンジを続け、後継モデルである「VTR」は2016年モデルまで生産され、35年間のロングセラーとなりました。
ホンダ「VT250F」(1982年型)の当時の販売価格は39万9000円です。
■ホンダ「VT250F」(1982年型)主要諸元
エンジン種類:水冷4ストロークV型2気筒DOHC8バルブ
総排気量:248cc
最高出力:35PS/11000rpm
最大トルク:2.2kg-m/10000rpm
全長×全幅×全高:2000×1175×750mm
車両重量:162kg
燃料タンク容量:12L
タイヤサイズ(F):100/90-16 54S
タイヤサイズ(R):110/80-18 58S
フレーム型式:ダブルクレードル
【取材協力】
ホンダコレクションホール(栃木県/モビリティリゾートもてぎ内)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
今こそ知りたい!! 耐久レースを席巻したホンダの無敵艦隊「RCB1000」の使命とは?
バイクのニュース / 2024年7月1日 19時40分
-
全面新設計のロイヤルエンフィールド「ヒマラヤ」 旧車的で牧歌的な資質は維持しているのか?
バイクのニュース / 2024年6月29日 11時10分
-
トライアルブーム再燃!? 世界タイトルを獲得したホンダが作り上げた往年の公道トライアル車とは
バイクのニュース / 2024年6月24日 19時40分
-
「250ccネイキッドバイク」おすすめ3選 注目の新モデルからネオクラシカルな機種まで【2024年6月版】
Fav-Log by ITmedia / 2024年6月18日 19時5分
-
「125cc(原付二種)スポーツバイク」おすすめ3選 ネオクラシックやレジャーバイク、電動モデルまで【2024年6月版】
Fav-Log by ITmedia / 2024年6月10日 18時15分
ランキング
-
1【ダイソー】人気爆発で品薄だけど…「スイカバー」が作れるシロップはコスパ最高! 作って食べてみた
オールアバウト / 2024年7月4日 21時15分
-
2なぜ免許証とマイナカード「24年度末」までに一体化? 紛失したら運転できない? 国民にメリットあるのか
くるまのニュース / 2024年7月4日 9時10分
-
3寝るときにエアコンが欠かせません。電気代が安いのは「冷房」と「ドライ」どちらでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月4日 2時0分
-
4スーパーでまとめ買いしたお肉→「そのまま冷凍庫」はNG!?理由に「知らんかった」ネット驚愕 ニチレイフーズオススメの方法は
まいどなニュース / 2024年7月3日 12時8分
-
5「手取りはほぼゼロに」定年後、再雇用を選んだ64歳の苦い思い出。現在は田舎に移住して「大満足」
日刊SPA! / 2024年7月4日 8時52分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください