説明できる？バイクで多い「右直事故」の原因と回避法とは

バイクにおける「右直事故」は発生件数が多く、危険度も高い事故として知られていますが、どのように起こるのでしょうか。また、どのように予防すれば良いのでしょうか。警察庁に話を聞いてみました。

■バイクは直進時、特に注意！「右直事故」の発生原因は？

「右直事故」という言葉は、文字通り右折車と直進車の間で起こる事故のことで、バイクに乗っている際に多い事故のひとつで、いまだ多くの人が亡くなる原因となっています。

　警察庁の公開する、過去5年間の二輪車乗車中車両相互事故の事故類型別死者数をまとめたグラフによると、右折対直進による死亡は全体の27.7％と、出会い頭の事故の31.9％に次ぐ多さです。なお、この右折対直進による死亡のうち、8割以上はバイクが直進中に起きた事故となっています。

　では、バイクが直進中の右直事故は、どのような理由で発生してしまうのでしょうか。

すり抜けは右直事故の原因となるので極力控えた方が良い

　警察庁の担当者は一般的にはふたつのケースが考えられるとした上で、ひとつめの理由について次のように話します。

「ひとつは、直進する二輪車が並進する車両（特に四輪車）の死角に入り、対向右折車から認識できていないケースです。二輪車は、四輪車に比べて車体が小さいことから、四輪車の死角に入ってしまい存在を見落とされることがあります。そのため対向右折車が、対向する四輪車が譲ってくれたり、対向する四輪車が通過したりした直後に右折した際に、死角に入っていた二輪車を発見するのが遅れるという人的要因により、事故が発生すると考えられます」

　例えば渋滞中の交差点で、右折車に進路を譲った直進車の左側をすり抜けてきたバイクと右折車が衝突してしまう事故などは、典型的な「対向右折車からバイクが認識できていないケース」といえるでしょう。

　こうした事故は譲ってくれた直進車に右折車が感謝しながら進むため、右直事故の中でも特にサンキュー事故という通称がついています。

　そして、ふたつ目の理由としては、「もうひとつは、対向右折車から直進する二輪車が認識できていたケースです。対向右折車の運転者は、進行してくる二輪車の存在を認識していても、 四輪車に比べて車体の小さい二輪車は実際より遠くにいるように見え、その速度も遅く感じることがあります。そのため対向右折車が、直進する二輪車の速度、二輪車との距離といった運転感覚を誤るという人的要因により事故が発生するものと考えられます」

　実際に、土木計画学研究・論文集に掲載された論文「直進二輪車に対向する右折車運転者 の認知判断及びギャップ利用特性」によると、直進車が原付や自動二輪の場合は普通車や大型車よりも、右折車は短いギャップで(＝直進車がより近くにいるときに)右折する傾向にあったという結果が出ており、二輪車が遠くに見えるという性質は決して無視できない重要な問題であることが分かります。

バイクのスピード超過も右直事故に巻き込まれる原因

　では、右直事故に巻き込まれないためには、どのような点に気をつければ良いのでしょうか。

　まず、ひとつ目の要因である「対向右折車からバイクが認識できていないケース」については、すり抜けをしないこと、昼間点灯を徹底することが重要です。交差点でのすりぬけは右直事故の原因になりやすいほか、バイクと同一車線上にいる左折車に巻き込まれてしまう危険もあるので避けるべき。

　また、1998年以前に製造されたバイクは昼間点灯の義務はないものの、バイクの存在をアピールするために、昼間もライトは点灯しておいた方が賢明です。

　ふたつ目の「対向右折車から直進する二輪車が認識できていたケース」については、バイク側は交差点に進入する速度に気をつける必要があります。

　警察庁の情報によると、バイクが直進の右直事故で死亡したケースのうち、44.9％のバイクは61㎞／h以上で走行していたとのこと。それ以外の死亡事故では、61㎞／h以上で走行していたバイクは20.1％のみでした。

　バイクの右直事故の死亡率が高いことには、バイク側のスピード超過が大きく関係しています。一見遅く見えるバイクが違反レベルの速度で交差点に進入してきた場合、事故が起きやすくなってしまうというのは明らか。

　バイクで交差点に進入する際は、対向右折車からのバイクの見え方をしっかり自覚し、速度を落として進入する必要するようにしましょう。