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スペック表から読み解く! 「キャスター」と「トレール」でハンドリングが決まる!?

バイクのニュース / 2023年8月31日 11時10分

バイクのカタログや、メーカーHPに掲載されている「スペック」や「仕様」、「諸元」の表には、購入時の参考やライバル車との性能比較など、役立つ情報が含まれています。「キャスター」と「トレール」は軽快性と安定性に大きく影響すると言うけれど……。

■フロントまわりの設定数値

 バイクのスペック表に記載される「キャスター」と「トレール」ですが、なかでも「キャスター」はインプレッション記事などにもたびたび登場する用語なので、まずはそれぞれがドコの部分を表すのか知っておきたいところです。

「キャスター(角)」は路面の垂線に対する「ステア中心軸」の角度。「トレール(量)」はフロントタイヤの接地点と、「ステア中心軸」が路面と交わる点の距離を表している。ホンダ「CL250」ではキャスターが27°00′でトレールが108mm「キャスター(角)」は路面の垂線に対する「ステア中心軸」の角度。「トレール(量)」はフロントタイヤの接地点と、「ステア中心軸」が路面と交わる点の距離を表している。ホンダ「CL250」ではキャスターが27°00′でトレールが108mm

 まず「キャスター」は、路面に対するステア中心軸の角度を表しています。カン違いしやすいのがフロントフォークの角度ですが、車両によってはステア中心軸(ハンドルやフロントタイヤが左右に首を振るフレームのステアリング軸)とフロントフォークの角度が異なる場合があるので注意が必要です。

 現在は路面から垂直に立ち上がった線とステア中心軸の角度を表記するのが主流ですが、昔は路面(水平)とステア中心軸の角度を表記したこともあります。たとえばホンダ「CB750FOUR」のキャスターは63°となっていますが、現代的に表現すると27°になります。

 ちなみにハーレー・ダビッドソンなど米国では、キャスターのことを「レイク(レイク角)」と表記しており、BMW Motorradでは「ステアリングヘッド角度」になっています。

 またメーカーによって、たとえば26°30′(26度30分)と60進法で表している場合と(国内メーカーではホンダ、ヤマハ、スズキ)、26.5°(1°より小さな角度を10進法)と表記する場合(国内メーカーはカワサキ。国際標準化機構ISOやJISなどではこちらを推奨)があるので少々難解です。

BMW Motorrad「R 1250 R」(2023年型)は、ステアリングヘッド角度が61.7°でキャスターが129.6mmと表記される。国内メーカー(ホンダ、ヤマハ、スズキ)風に表現すると、キャスターは28°18′でトレールは129.6mmになるBMW Motorrad「R 1250 R」(2023年型)は、ステアリングヘッド角度が61.7°でキャスターが129.6mmと表記される。国内メーカー(ホンダ、ヤマハ、スズキ)風に表現すると、キャスターは28°18′でトレールは129.6mmになる

 次に「トレール」ですが、こちらはフロントタイヤの接地点とステア中心軸が地面と交わる点の距離を示していて、単位はmm(ミリメートル)が主流です。

 ちなみにBMW Motorradの場合は、「トレールのことをキャスターと表記」しているので注意が必要です。そしてステアリングヘッド角度(一般的にキャスターと呼ぶ方)は、路面(水平)とステア中心軸の角度で、1°より小さな角度を10進法で表記しています。

■「キャスター」と「トレール」で、バイクのキャラクターがイメージできる

 じつはキャスターやトレールの数値を見ると、そのバイクのキャラクター(乗り味、ハンドリング)をザックリとイメージすることができます。

ヤマハ「YZF-R1M」はキャスターが24°00′でトレールが102mmとなっている。キャスター角は立っているが、トレール量は相応に長いヤマハ「YZF-R1M」はキャスターが24°00′でトレールが102mmとなっている。キャスター角は立っているが、トレール量は相応に長い

 まずキャスターですが、角度が小さい(見た目にはフロントフォークが立っている)ほど、スピードが高い状態で車体を傾けた際に、フロントタイヤが軽快に素早く切れます。反対にキャスターの角度が大きい(見た目にはフロントフォークが寝ている)と、高速時は直進安定性が強くなります。

 そのため、スーパースポーツ系のバイクはキャスターの角度が小さく、いわゆるアメリカンタイプはキャスターの角度が大きくなる傾向があり、ルックス的にも差の違いを感じます。

 そしてトレールも数値が大きい(距離が長い)方が、速度が出た時に安定する傾向があります。

 かつてのレプリカブーム(1980年代後半頃)には、とにかくハンドリングの鋭さを狙って、キャスターの角度が極端に小さく、トレールも短いバイクが多くありました。

カワサキ「Z900」はキャスターが24.9°でトレールが110mmとなっている。フレームやエンジン、タイヤサイズなどが共通する兄弟モデルの「Z900RS」は、キャスターが25°でトレールが98mmとなっているカワサキ「Z900」はキャスターが24.9°でトレールが110mmとなっている。フレームやエンジン、タイヤサイズなどが共通する兄弟モデルの「Z900RS」は、キャスターが25°でトレールが98mmとなっている

 しかし時代が流れ、エンジンのハイパワー化(高速化)と車体のコンパクト化が進むと、ハンドリングの鋭さだけでなく安定性も重視されるようになってきました。

 そのため、近年はスーパースポーツ系も以前よりキャスターを寝かせ、トレール量を相応に大きく取るようになってきました。

 もちろんキャスターとトレールだけで乗り味やハンドリングが決まるワケではなく、ホイールベースの長さやタイヤのサイズ、ライダーのライディングポジションなど様々な要素が影響します。

 しかしバイクのキャラクターに合わせた乗り味を作るために、キャスターやトレールを設定することもあります。

 たとえばカワサキの「Z900」と「Z900RS」は兄弟車と言える関係で、フレームやエンジンの構成、タイヤサイズも共通ですがキャスターは僅かに異なり、トレールはけっこう差があります。

 というワケで、キャスターやトレールはバイクのジャンルによる違いを見たり、同ジャンルのライバル車同士で比較するのも面白いかもしれません。

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