1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ

イタリアで3年連続トップの販売台数を記録!? ベネリのアドベンチャーモデル「TRK502X」とは

バイクのニュース / 2023年9月9日 11時10分

イタリア発祥の名門バイクブランド「Benelli(ベネリ)」がラインナップする「TRK502X」は、排気量500ccの水冷並列2気筒エンジンを搭載するミドルサイズのアドベンチャーツアラーです。イタリアでベストセールスを続ける人気モデルに試乗しました。

■並みいる強豪を抑えて、トップを独走

 近年のヨーロッパ各国では、モーターサイクルの年間販売台数トップ10で半数以上がアドベンチャーツアラー、という状況が普通になっています。もっともイタリアだけはちょっと事情が異なっていて、他国で抜群の人気を獲得しているBMW Motorrad「R 1250 GS」やホンダ「CRF1100Lアフリカツイン」、「NC750X」、ヤマハ「トレーサー9」、「テネレ700」などを抑えて、2020~2022年には3年連続で、「Benelli(ベネリ)」の「TRK502」、「TRK502X」が1位を獲得しています。

ベネリ「TRK502X」(2023年10月国内導入予定)に試乗する筆者(中村友彦)ベネリ「TRK502X」(2023年10月国内導入予定)に試乗する筆者(中村友彦)

 当記事ではその理由を探るべく、近日(2023年10月頃)に日本での販売が始まる「TRK502X」を試乗してみました。

 ちなみに、このバイクのライディング中に私(筆者:中村友彦)が脳内比較を行なったのは、ホンダ「CB500X」の日本仕様となる「400X」と、スズキ「Vストローム650/XT」ですが、価格や車格を考えると、カワサキ「ベルシス650」や、トライアンフ「タイガースポーツ660」、ロイヤルエンフィールド「ヒマラヤ」、KTM「390アドベンチャー」なども、ライバルになるのかもしれません。

■500ccパラレルツインにかける意気込み

 イタリアを含めたヨーロッパ各国のベネリのウェブサイトには、「TRK502」と「TRK502X」に加えて、「レオンチーノ500」、「レオンチーノ500トレイル」、「502C」と、排気量500ccのパラレルツインエンジン搭載車が5台並んでいます。こういった車種展開を行う際は、パワーユニットだけではなく、シャシーの主要部品を共通化することが珍しくないのですが、同社はジャンルごとにフレームを専用設計しています。その事実から推察すると、おそらく現在のベネリは、500ccパラレルツイン車に相当な力を入れているのでしょう。

搭載される排気量500ccの水冷並列2気筒DOHC8バルブエンジンは、最高出力35kw/8500rpm、最大トルク46Nm/6000rpmを発揮する搭載される排気量500ccの水冷並列2気筒DOHC8バルブエンジンは、最高出力35kw/8500rpm、最大トルク46Nm/6000rpmを発揮する

 そして5台の500ccパラレルツイン車の中から、前述したように今年度の日本では「TRK502X」の導入が始まるのですが、このモデルの海外デビューは2018年で、前年の2017年にはスタンダードの「TRK502」が登場しています。

 2台のどちらがメインなのかは、ネットで情報を調べてもなかなか判別がつきませんが、近年のヨーロッパ市場の傾向を考えると、前後17インチのキャストホイール+ショートマフラーのスタンダードよりも、フロント19/リア17インチのスポークホイール+アップマフラーを採用する「X」のほうが、人気があるのではないかと思います。

■1クラス上のフィーリングと実直な特性

 イタリア車と言ったら、何はなくとも官能性。世の中にには、そんな印象を抱いている人が多いようです。事実、ドゥカティやモトグッツィ、MVアグスタ、アプリリアなどの試乗では、私自身もそう感じることが少なくないのですが、「TRK502X」は重厚にして実直な特性でした。

ベネリ「TRK502X」の乗り味は重厚にして実直な特性。官能性や刺激を感じるものではなく、1クラス上のフィーリング、長距離移動での疲労軽減に貢献するアドベンチャーツアラーだったベネリ「TRK502X」の乗り味は重厚にして実直な特性。官能性や刺激を感じるものではなく、1クラス上のフィーリング、長距離移動での疲労軽減に貢献するアドベンチャーツアラーだった

 まずは“重厚”の説明をすると、マシンに対面した時点でフロントまわりにかなりのボリュームを感じますし、車重は前述したライバル勢+20~30kgの235kgですから、乗り味はヒラヒラ&スイスイという感じではありません。

 続いて“実直”と感じた理由ですが、ハンドリングは至って素直で、乗り心地はなかなか良好なのですが、旋回性やトラクションなどという面で、予想を上回る反応は発見できませんでした。また、クランクシャフトの位相角が360度の並列2気筒エンジンは、低中回転域での扱いやすさを重視したキャラクターのようで、高回転域まで回しても刺激や爽快感は味わえません。

 あら、ここまでの文章を読み返してみると、何だか後ろ向きな展開になってしまいましたが、“イタリア車”、“官能性”という色眼鏡を外して見れば、「TRK502X」はライバル勢とは路線が異なる、なかなか興味深いアドベンチャーツアラーだったのです。

 重厚さは1クラス上のフィーリングが味わえる……という解釈ができますし、実直な特性はロングランでの疲労軽減に貢献するのですから。

■100年以上の歴史を誇る老舗

 もっとも、「TRK502」「TRK502X」がイタリアで3年連続トップの販売台数を記録した理由は、1クラス上のフィーリングと実直な特性だけではないはずです。フロントマスクの主張が強烈なこと(兄貴分に気を使っているのか、ライバル勢は主張が控えめな印象)、ナックルガードやエンジンガード、ステーがアクセサリーバーとして使える大型スクリーンを標準装備していること、それでいて価格が安いことなども(イタリアでの価格は6886ユーロ。ちなみにホンダ「CB500X」は7290ユーロで、スズキ「Vストローム650」は8940ユーロ)、このマシンの人気を語るうえで欠かせない要素だと私は感じています。

つり目に尖ったクチバシなどアグレッシブな印象のフロントマスク。ヘッドライトにはハロゲンバルブを採用。大型スクリーンやハンドガード、エンジンガードなど標準装備はなかなかの充実ぶり。20Lと大容量の燃料タンクまわりにボリュームを集中させたかのような印象つり目に尖ったクチバシなどアグレッシブな印象のフロントマスク。ヘッドライトにはハロゲンバルブを採用。大型スクリーンやハンドガード、エンジンガードなど標準装備はなかなかの充実ぶり。20Lと大容量の燃料タンクまわりにボリュームを集中させたかのような印象

 それらに加えてイタリア人にとっては、「ベネリであること」も重要な要素でしょう。日本での知名度は高いとは言えませんが、ボルボやロータスを傘下に収める巨大企業のGEELYから資本参加を受けることで、近年になって急激な復興を遂げているベネリは、100年以上の歴史を誇る老舗ブランドなのですから。

 もちろん、昨今では同社の全盛期を知るライダーは少なくなりましたが、他メーカーのアドベンチャーツアラーを抑えて、「TRK502」と「TRK502X」がイタリアで絶大な人気を獲得している背景には、自国の誇りである老舗ブランドを応援したい!! という気持ちが、根底にあるのではないかと思います。

※ ※ ※

 ベネリ「TRK502X」の価格(消費税10%込み)は96万8000円です。日本導入は2023年10月頃の予定で、PLOT(プロト)が正規輸入販売元となっています。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください