一体なぜできた? 首都高のバイク2人乗り禁止区間が存在する理由
バイクのニュース / 2023年9月25日 9時10分
一体なぜ、首都高のバイク2人乗り禁止区間は存在するのでしょうか。
■いったいなぜ?首都高にバイクの2人乗り禁止区間があるワケとは
現在の日本の高速道路では、バイクの2人乗り(タンデム走行)が認められていますが、首都高の一部の区間では今でも禁止されています。
ではなぜ、首都高にはバイクの2人乗り禁止区間が存在するのでしょうか。
首都高には2人乗り禁止区間が存在する
高速道路でのバイクの2人乗りが禁止されたのは、今から58年前の1965年。当時、タンデム走行による人身事故が多発したことにより、高速道路の2人乗りが全面的に禁止になりました。そして、長らく高速道路での2人乗りができない状況が続くことになったのです。
しかし、欧米を中心として高速道路の2人乗りを認めている国が多いこともあり、日本でもバイク業界が解禁を求め、2005年に法改正。ようやく高速道路での2人乗りが、条件付きで解禁されました。
一方で2005年以降も都内の首都高の一部区間にかぎって2人乗りの禁止が継続されることになり、現在に至ります。
首都高の2人乗り禁止区間は路肩が狭く急カーブとなっている箇所がたくさん存在するレイアウトが要因
主に2人乗りが禁止されているのは、中央環状線の内側。具体的には、都心環状線をはじめ八重洲線、上野線、目黒線、深川線、台場線の全線に加え、羽田線、渋谷線、新宿線、池袋線、向島線、小松川線の一部の区間で禁止されています。
これは、都内の首都高全体の約3分の1にあたり、61.6kmの距離が2人乗り禁止エリア。禁止されている理由は、首都高が一般的な高速道路に比べてカーブが多く、2人乗り走行では事故の危険性が高いためです。
これには都市部ならではの道路事情が関わっており、もともと首都高は密集した市街地のなかで、公共用地を活用しながら建設されました。そのため、路肩が狭く急カーブとなっている箇所がたくさん存在するレイアウト。
また、カーブの数だけ道路の連結部分が増えてしまうので、こうした箇所では挙動が不安定になりやすく、とくにバランスを崩しやすいタンデム走行は転倒のリスクが高くなることが懸念されました。実際にバイクによるスピードの出しすぎやカーブでの不安定な挙動が原因で、道路の壁面に衝突するといった事故も発生しています。
こうした都市部ならではの特殊な道路構造が要因で、現在でも首都高の一部の区間だけ2人乗りが禁止されているのです。
■うっかり禁止区間に2人乗りで進入してしまったら?
タンデム走行で首都高を利用する際は、うっかり禁止エリアに侵入してしまわないよう注意して走行しなければなりません。こうした禁止エリアの手前には、2人乗り禁止の標識が掲げられています。
この標識の正式名称は「大型自動二輪車及び普通自動二輪車二人乗り通行禁止」というもので、タンデムしたバイクのイラストに赤色の斜線が引いてあるのが特徴。二輪車通行禁止の標識とよく似ているので、見間違わないように十分に注意しましょう。
高速道路でのタンデムには条件がある
なお、高速道路でのタンデム走行は、バイクの免許を取得していれば誰でもOKというわけではありません。いくつかの条件をクリアして、はじめて高速道路の2人乗りが許されます。
まず運転者の年齢が20歳以上であり、かつ自動二輪の運転免許を受けた期間が通算で3年以上でなければなりません。また、排気量が126cc以上で、乗車定員が2名のバイクが条件となっています。また、同乗者に年齢制限はありませんが、ステップに足が届かないなど同乗者用の装備を適切に使うことができない場合は認められません。
一方、一般道でのタンデム走行の条件は高速道路よりも緩め。51cc以上のバイクで自動二輪の運転免許を受けた期間が通算で1年以上であればOK。年齢制限もありません。
なぜなら、タンデム走行はひとりで運転するときよりも、車体が重くなりバランスも取りづらくなります。スピードが出やすい高速道路ではさらに走行難易度が高くなるため、一般道よりも条件が厳しくなっているというわけです。
一般道でのタンデム走行の条件は高速道路よりも緩め
禁止エリアにタンデム走行で進入したり、条件を満たさないで2人乗りをした場合は、違反点数2点と反則金1万2000円の罰則が科せられます。こうした違反は運転しているライダーだけでなく、同乗者や周囲を走る車両にも危険を及ぼす可能性があるため、絶対にしないようにしましょう。
では、首都高をバイクで走行するときはどういった点に注意すればよいのでしょうか。首都高ドライバーズサイトによると、二輪車の事故発生パターンは大きく分けて3つあるそう。
まず、スピードの出しすぎによるカーブなどでの自損事故と、急ブレーキをかけたときに後続車に追突されるパターン。そして合流部などで流入してくる車両を避けようと、左に車線変更をしてくるクルマとの接触です。
こうしたケースをふまえ、カーブの手前では十分に減速してから曲がることが大切。また追突を避けるために、車間距離を十分に空け、余裕をもってブレーキをかけるようにしましょう。
また車体の小さいバイクはクルマの死角に入りやすいため、周囲の車両の動きに注意しながら走行することを心がけましょう。
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