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スポーツバイクの「ブレーキ型式」 油圧式ディスクが主流のワケとは

バイクのニュース / 2023年9月21日 11時10分

バイクのカタログや、メーカーHPに掲載されている「スペック」や「仕様」、「諸元」の表には、購入時の参考やライバル車との性能比較など、役立つ情報が含まれています。排気量125cc超えのバイクの「ブレーキ型式」が油圧ディスクばかりなのにはワケがある?

■スポーツバイクは、ほぼ油圧式ディスク一択

 スペック表の「ブレーキ型式」の欄には、前輪側と後輪側に装着されるブレーキの型式が個別に記載されています。そして現在国内で販売している排気量125ccを超える軽二輪および小型二輪は、前後ともに「油圧式ディスク」となっています。

油圧式ディスクブレーキの概念図油圧式ディスクブレーキの概念図

 油圧式ディスクは、ブレーキレバー(またはブレーキペダル)の操作によってマスターシリンダーで発生した油圧が、ブレーキホースを経てブレーキキャリパーに伝わり、ブレーキピストンがブレーキパッドをディスクローターに押し付け、その摩擦力で制動力を生み出す仕組みです。

 ちなみに、油圧式ディスクブレーキを初めて装備した日本メーカーの量産市販車は、1969年登場のホンダ「CB750FOUR」で、その後に発売されたロードスポーツ車は油圧式ディスクが主流になりました(当初は前輪ブレーキのみに採用)。

ホンダ「CB1300 SUPER BOL D’OR SP」のブレーキ型式は、前:油圧式ダブルディスク、後:油圧式ディスクホンダ「CB1300 SUPER BOL D’OR SP」のブレーキ型式は、前:油圧式ダブルディスク、後:油圧式ディスク

 パワーや重量があるバイクが減速や停止をするには、強力なブレーキが必要になります。そこで多くのビッグバイクや、中型クラスでもスポーツ性の高いバイクは、前輪に油圧式ディスクを2セット装備する「ダブルディスク」が主流になっています(カワサキは「デュアルディスク」と表記)。

 反対に250ccクラス以下の車両重量が軽いバイクは、前輪が油圧式でディスク1セットの「シングルディスク」がメジャーです(シングルの表記が無い場合もアリ)。

 たとえばカワサキ「Ninja ZX-4R」と「Ninja ZX-25R」の2機種は、ほとんど共通の車体構成ですが、最高出力が79馬力で車両重量が190kgのZX-4Rはデュアルディスク装備で、最高出力が48馬力で車両重量が184kgのZX-25Rはシングルディスク装備になっています。

 とはいえ近年の油圧式ディスクブレーキは非常に強力なので、サーキット走行などを想定しないクルーザータイプは、大排気量でも前輪がシングルディスクのホンダ「レブル1100」シリーズのような車両もあります。

■小型車は後輪にドラム式ブレーキを採用

 排気量125cc以下の原付第二種を見ると、スポーティなモデルは前後ともに油圧式ディスクを装備している場合が多いですが、スクーターやビジネスなどコミューター系だと前輪は油圧式ディスク、後輪が「機械式リーディング・トレーリング」の車種が少なくありません。また現在の50ccクラス(原付第一種)は、前後ブレーキともに機械式リーディング・トレーリングが主流です。

ドラム式ブレーキの「機械式リーディング・トレーリング」の概念図ドラム式ブレーキの「機械式リーディング・トレーリング」の概念図

 機械式リーディング・トレーリングとは「ドラム式ブレーキ」のことです。前輪の場合はブレーキレバーから伸びる金属ケーブルが、後輪はブレーキペダルに繋がる金属棒やプレートがブレーキアームを引き、カムを回すことでブレーキシューを開いてホイールのハブ(=ドラム)に押し当てて摩擦力を生む構造です。

 ちなみにバイクのドラム式ブレーキは基本的に機械式のみですが、現行のクルマ(四輪車)のドラム式ブレーキは油圧式が主流です。

■ABSの義務化が油圧式ディスクを促進

 現在では油圧式ディスクブレーキの方が制動力もコントロール性もドラム式ブレーキより勝っているので、軽二輪や小型二輪車が前後ブレーキともに油圧式ディスクを装備するのは当然といえますが、それ以外にも油圧式ディスクを選択する理由があります。

ホンダ「スーパーカブ110」のブレーキ型式は、前:油圧式ディスク(ABS)、後:機械式リーディング・トレーリングホンダ「スーパーカブ110」のブレーキ型式は、前:油圧式ディスク(ABS)、後:機械式リーディング・トレーリング

 それは現在、125ccを超える二輪車にはABS(アンチロックブレーキシステム)を、また原付第二種にはABSもしくはCBS(コンバインドブレーキシステム=前後連動ブレーキ)の装備が義務付けられているからです。そしてABSは、構造的に油圧式ディスクでないと装備が困難なためです。

 そのため原付第二種では、前輪の油圧式ディスクのみにABS機構を装備したモデルも少なくありません。

 ちなみに原付第一種(50cc)はABSやCBSの装備義務はありませんが、ホンダとヤマハ(ホンダのOEM生産)の50ccスクーターは、ハンドルの左レバー(後輪ブレーキ)を握ると前輪ブレーキにもほどよく制動力を配分する連動ブレーキを装備しています。

■前輪ドラムブレーキの人気車も!

 現行の国産車は125ccを超えるモデルの全車が前輪に油圧式ディスクを装備していますが、昔はABSやCBSの装備義務が無く、重量やコスト面で有利だったため、1980年代半ば頃までのオフロードモデルは前輪にドラムブレーキを装備していました。

ヤマハ「SR400」の前輪に装備される「ツーリーディング」のドラム式ブレーキの概念図ヤマハ「SR400」の前輪に装備される「ツーリーディング」のドラム式ブレーキの概念図

 また旧車のイメージを演出するために、油圧式ディスクを敢えてドラム式ブレーキに変更したのが、ヤマハ「SR400/500」です。1978年の登場時は油圧式ディスクでしたが、1985年のモデルチェンジから2000年までドラム式ブレーキを装備していました。

 そして確実な制動力を得るため、フロントブレーキにはリーディング・トレーリングより強力な「ツーリーディング」のドラム式ブレーキが採用されました。レトロなルックスもあり、現在も多くのファンがいるようです。

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