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KTM「RC 390 GP」なら、アンダー400ccでトップクラスの運動性能を満喫できる!?

バイクのニュース / 2023年9月21日 12時10分

普通自動2輪免許で運転可能なKTM「RC 390」は、排気量373ccの水冷単気筒DOHC4バルブエンジンを搭載し、MotoGPマシン「RC 16」からフィードバックを得たデザインと合わせて、排気量400cc以下のセグメントにおいて高性能なスーパースポーツモデルとなっています。試乗でそのパフォーマンスを確認しました。

■「125デューク」を起点に、勢力図を更新

 オフロードとスーパーモタードのコンペティション系を除く、排気量がアンダー400ccクラスは、日本車のほぼ独壇場……一昔前の2輪業界はそんな状況だったのですが、昨今ではヨーロッパ勢からグローバル市場を前提とした、アンダー400ccモデルが続々と登場しています。その先鞭を付けたのは2011年型「125 DUKE(デューク)」を起点とする、KTMの「水冷単気筒エンジン+トレリスフレーム」シリーズでしょう。

KTM「RC 390 GP」(2023年型)に試乗する筆者(中村友彦)KTM「RC 390 GP」(2023年型)に試乗する筆者(中村友彦)

 何と言っても「125デューク」発売後のKTMは、即座に排気量拡大仕様の「200」、「250」と「390」を生み出し、さらには多種多様なバリエーションモデル、フルカウルスポーツの「RC」シリーズ、悪路走破性と快適性を重視した「アドベンチャー」シリーズ、ハスクバーナ・モーターサイクルズの「PILEN(ピレン)」シリーズなどを展開して、大成功を収めているのですから。

 おそらく、そういった状況に刺激を受けて、近年のヨーロッパ勢は姿勢を変更したはずです。もっとも、ハスクバーナを含めたKTMグループの勢いは他社を圧倒していて、現在の日本では9台の非コンペティション系アンダー400ccモデルがラインナップに並んでいます。

■「READY TO RACE」……ではない?

 前述したように、「RC」シリーズはフルカウルスポーツですが、素性を端的に語るのは容易ではありません。と言うのも、まず2014年に登場した初代を振り返ると、サーキットや峠道をアグレッシブに走った際に改善したくなる項目は、コストダウンの気配が濃厚だった当時の日本製125~400ccより少なく、ノーマルで十分にスポーツライディングが楽しめる……と、私(筆者:中村友彦)は感じました。

KTM「RC 390 GP」(2023年型)。グラフィックはKTMのMotoGPマシン「RC 16」をイメージKTM「RC 390 GP」(2023年型)。グラフィックはKTMのMotoGPマシン「RC 16」をイメージ

 ただし、KTMの企業理念である「READY TO RACE」を前面に打ち出したキャラクターなのかと言うと、必ずしもそうではなく、市街地走行やツーリングを普通にこなせる万能性も備えていたのです。

 また、車重が150kg前後のスポーツシングルに対して、多くの人はヒラヒラ軽快というイメージを抱きそうですが、高荷重・高速域の安定性を重視した「RC」シリーズのハンドリングは、意外にシットリしていました。この特性にはアップハンドルの軽快なネイキッド、「デューク」シリーズとの住み分けという意図があったのでしょう。

 いずれにしても、初代「RC 390」、「RC 200(日本市場では250)」、「RC 125」は世界中で好セールスを記録し、KTMの支持層拡大に貢献することになりました。そして2022年型では、シリーズ初となる大幅刷新が行なわれたのです。

■車体まわりを中心とした大改革

 外観から判別できる新世代「RC」シリーズの特徴は、MotoGPレーサーの技術を転用して空力性能に磨きをかけたフルフェアリング、DRLと一体型のLEDヘッドライト、容量を9.5Lから13.5Lに拡大した燃料タンク、モノクロ液晶からTFTカラーディスプレイに変更されたメーターなどです。とはいえ、剛性バランスを最適化すると同時にシートレールを別体式としたフレームや、前後で3.4kgの軽量化を実現したホイールなども、新世代の「RC」シリーズを語るうえでは欠かせない要素でしょう。

コックピットに配置されたTFTカラーディスプレイには各種電子制御を表示し、ハンドル左のスイッチより操作・設定変更が可能コックピットに配置されたTFTカラーディスプレイには各種電子制御を表示し、ハンドル左のスイッチより操作・設定変更が可能

 なお、水冷単気筒エンジンは既存の構成を踏襲しているのですが、エアクリーナーやインジェクションマップ、排気系などは新規開発です。また、シリーズの長兄となる390は、アンダー400ccでは貴重な装備として、ボッシュ製3軸IMUと連動して制御を行なう、コーナリングABSとトラクションコントロールを導入しています。

 今回試乗した「RC 390 GP」は、MotoGPで活躍するファクトリーレーサー「RC 16」のカラーを再現したモデルで、価格はスタンダード+9000円の85万9000円です(消費税10%込み)。

■スポーツライディングに没頭できる

 大幅なレベルアップを実現しつつも、キープコンセプト。それが、新世代の「RC 390」に対する私の印象です。エンジンとフレームの基本設計を共有するアップハンドル車として、「390デューク」や「390アドベンチャー」、「スヴァルトピレン401」が存在するのですから、個人的にはもっと速さに特化しても良い気がするのですが、そこまで割り切ったキャラクターではありませんでした。

アンダー400ccでトップクラスの運動性能が満喫できるアンダー400ccでトップクラスの運動性能が満喫できる

 ただし従来型を比較対象とするなら、新世代の運動性は格段に向上しています。コーナー進入時にフロントから伝わる接地感は初代より濃厚になっていますし、コーナーの立ち上がりでは頭のいいトラクションコントロールを信用して、早い段階からアクセルを開けられます。ストレートで上半身を伏せた際の走行風のスムーズな流れも、外装類を一新した新世代の特徴でしょう。

 ちなみにエンジンに関しては、従来型より低回転域の力がやや弱く(主な原因は、吸排気系の設定変更とリアスプロケットが1T小さくなったこと)、一方で中高回転域の吹け上がりは鋭くなっていて、この変化をどう感じるかは各人各様です。

 具体的な話をするなら、スタート時のダッシュ力に物足りなさを感じる人がいれば、従来型よりパワーバンドが明確になった特性を、それでこそスーパースポーツ!! と評価する人もいるようです。

 そういった資質を認識しながら新世代の「RC 390」を走らせている最中、私が残念だったのは排気音です。MotoGPレーサーを思わせるサインレンサーの造形はなかなかカッコイイのですが、膨張室が良い仕事をし過ぎているのでしょうか、中高回転域を使った際はいまひとつ気分が高揚しません。現代の規制を考えれば、排気音量の抑制は止むを得ないことですが、個人的にはもう少しスポーティで刺激的な音を聞かせて欲しいところです。

 まあでも、今回の試乗で気になったのは排気音くらいで、私の中での「RC 390」の立ち位置は相変わらず、ノーマルでサーキットと峠道が楽しめるバイクでした。

 初代が登場した頃とは異なり、近年は日本勢も運動性へのこだわりを感じるアンダー400ccモデルを販売していますが、数多くの改善項目を思い浮かべることなく、スポーツライディングに没頭しやすいという意味で、このモデルは依然としてクラストップの性能を維持しているのです。

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