数字はなにを表している!? ブレーキフルードの規格を徹底解説
バイクのニュース / 2023年10月12日 9時10分
現在、バイクのブレーキは油圧が主流になっています。そこで使われているのがブレーキフルードで、ブレーキフルードには規格があって、DOT3やDOT4などと表示されます。この数字には、どんな意味があるのでしょうか。
■ブレーキフルードの役割とは?
バイクのブレーキは現在、油圧が主流となっており、そこで使われているのがブレーキフルードです。ブレーキフルードには規格があって、DOT3やDOT4などと表示されますが、この数字にはどのような意味があるのでしょうか。
油圧ブレーキに必須のブレーキフルードにはグレードがある
現在、ほとんどのバイクに採用されている油圧ブレーキは、とくにディスクブレーキではほぼ100%の採用率。リンクによってブレーキをかけるのではなく、シリンダーとキャリパーを配管で結んで、なかにフルードを入れることで、力を伝える仕組みです。
例えばブレーキレバーを引くと、フルードによって力が伝わってキャリパーの中にあるピストンが同時に押し出され、ブレーキが効くのですが、このようにブレーキフルードは重要な役割を持っており、同時にメンテナンスも重要となります。
ちなみにフルードとオイルの違いはどこにあるのかというと、フルードは力を伝える事をメインとしていて、オイルは潤滑をメインとしたものです。
■ブレーキフルードに求められる性能とは?
ブレーキフルードに求められる一番の性能は、耐熱性。フルブレーキをかけるとキャリパーは高熱になりますが、その影響のなかでも沸騰しないで正確に圧力を伝えることが求められています。
そんなブレーキフルードの規格には、DOT3のようにDOTと数字の組み合わせで表示されていて、一般的にはDOT3、DOT4、DOT5.1が使われることがほとんど。DOT5は成分が異なり、特殊車両用となっています。
ちなみに、数字の大きいほうが沸点も高くなり、つまり熱に強く、スポーツ走行などのハードな走りに対応していますが、公道ではDOT4がメーカー指定となっていることがほとんどです。
純正指定についてはメンテナンスノートや取扱説明書に記載されていることに加え、フロントブレーキのレバーに付いているリザーバータンクのフタにも表示されています。
交換時は指定に合ったものを選ぶように心がけ、ブレーキを多用する走りをする際にはグレードを上げると良いでしょう。
ブレーキフルードの純正指定についてはメンテナンスノートや取扱説明書に記載されている
なお、フルードの選び方としては、大は小を兼ねるではないですが、最初から沸点の高いフルードを選んでおけばいいように思う人もいるでしょう。
もちろん、それでも構いませんが、単純に推奨できないのもまた事実。その理由はブレーキフルードのもうひとつの特性として、吸湿性があるからです。
実は沸点が高いと吸湿性も高くなってしまうため、扱いやすさを優先する市販車では闇雲にDOT5.1を指定するのではなく、DOT4が指定されていることがほとんど。
ブレーキフルードのグレートに関する基準には新品時でのドライ沸点だけでなく、1年程度の使用後を想定したウエット沸点(吸湿率3.7%)もあり、この数字を見ると、DOT5.1は落ち込み幅が大きく、DOT4がバランスに優れていることがわかります。
この点が、バイクメーカーがDOT4を純正指定する理由にもなっています。
■ブレーキフルードは定期交換が必須
規格によって程度はあるにしても、ブレーキフルードは湿気を吸って次第に劣化していきます。湿気が原因なので、使っていなくても劣化するのがポイントで、1年から2年毎に交換するようにしましょう。
湿気を吸うとタッチがソフトになって力が伝わらなくなるだけでなく、水分によってブレーキの内部が腐食することも。さらに、沸騰しやすくなるので過熱によって効かなくなる可能性も考えられます。教習所で習ったペーパーロック現象は、ブレーキフルードが沸騰するのも症状のひとつです。
また使い方などによっても劣化の速度は異なるので、レバーのタッチが変わってきたり、タンクに付いている点検窓を見て、茶色くなっていたら交換すると良いでしょう。
ブレーキフルードを使う量は前後合わせても1L未満。費用的にそれほど負担になるものでもなく、安全にも直結する部分だけに、無理して使い続ける事は止めましょう。
ちなみにDOTの数字が違うものを混ぜると性能は平均化されるのではなく、小さいほうの性能になってしまうので注意が必要です。
ブレーキフルードが沸騰する症状もペーパーロック現象のひとつ
なお、最近はクラス6やDOT4LVと呼ばれる規格が登場しています。どちらも内容は同じで、LVはロー・ビスコシティの略。低粘度を意味しています。
このことからもわかるように、従来よりもサラサラしているのが特徴で、最近増えている自動ブレーキの作動を確実にしたり、粘度の高くなる寒い時期でもスムースに動くようにするために登場した規格です。
現在はまだクルマが中心ですが、バイクにも普及する可能性は高く、現状のブレーキにクラス6を入れても問題はないので、気になる人は使ってみてはいかがでしょうか。
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