どうなる免許制度!125cc以下が原付扱いになるってホント?
バイクのニュース / 2023年9月27日 9時10分
排気量125cc以下のバイクがすべて「原付」扱いになるのではといった噂が、SNS上などで大きな話題となっています。いったいどういうことなのでしょうか。
■125cc以下が原付一種扱いに?いったいどういうこと?
排気量50cc以下の原動機付自転車は、約2年後に迫る排ガス規制をクリアできず絶滅すると以前から噂されてきました。そんななか警察庁は9月7日、出力制限を条件として、原動機付自転車の定義を排気量125cc以下に見直す方向で検討することを明らかにしています。
原付免許で運転できるのは排気量50cc以下の二輪車となっている
2023年9月現在、道路交通法の現行の規定では、原付免許で運転できるのは排気量50cc以下の二輪車となっています。これを超える排気量の二輪車を運転する場合は、排気量に応じた二輪免許が必要です。
しかし今回検討されているのが、エンジンの最高出力を4キロワット以下に制限した125cc以下の二輪車であれば原付一種扱いになるというもの。つまり、これまでの排気量で区分するのではなく、「最高出力」で区分するという新しい取り組みで議論が進められていく見込みです。
では、なぜ排気量を上げてまで原付の基準を変更しなければならないのでしょうか。その背景には、約2年後に原付に適用される「令和2年排ガス規制」の基準をクリアする必要があるからです。
50cc以下の継続生産車に限り、技術的な開発が間に合わないことを理由に規制の適用に3年の猶予を持たせていた
全排気量の新型車と50cc以下を除いた継続生産車は、2022年11月までに、この排ガス規制に対応済みとなっています。こうしたなか、50cc以下の継続生産車に限り、技術的な開発が間に合わないことを理由に規制の適用に3年の猶予を持たせています。
国際的に厳しさが増していく排ガス規制をクリアするためには、新たな技術開発が必要です。しかし、原付一種は販売台数が右肩下がりのジャンルであるため、コストが見合わずメーカーが50ccから撤退するおそれがあるのです。そうなれば、ユーザーに多大な影響がでることが想定されます。
この状況を打破するために、日本自動車工業会や全国オートバイ協同組合連合会などの業界団体が、50ccの排気量の引き上げと最高出力で原付一種を区分するという新たな提案を打ち出し、このたび検討されたというわけです。
そもそも、小排気量のバイクほど技術的な対応が困難になり、排ガス規制への対応が厳しくなります。排ガスを浄化するための触媒はある程度の温度に達しないと機能しないため、小排気量の50ccでは条件がより厳しくなり、規制がクリアできなくなるのです。
ホンダ製のエンジンを搭載したヤマハの原付一種スクーター「ビーノ」
ちなみに、2018年にヤマハが50ccの原付バイクの自主生産から撤退したのも、厳しい排ガス規制が原因です。このような問題があることから、原付の区分を125ccにシフトすることで排ガス規制をクリアしやすくなります。そして、排気量が大きくなることで技術開発が進めやすくなり、コストを低く抑えることが可能になるのです。
ちなみに検察庁は、業界関係者のほか、大学教授や交通心理学の専門家などでつくる有識者検討会を年内に数回開催して、提言をまとめていく方針です。
原付区分の変更ともない、これまでのルールが変更されるのか気になるところかもしれません。
原付には「時速30km/h制限」や「2段階右折」といった、本当に必要なのか?と思わずにはいられない交通ルールがあります。これらのルールがなくなり、原付二種と同じようなルールに変更されることを待ち望んでいる人も多いのではないでしょうか。
しかし現時点では、原付のルールが変更される予定はありません。排気量は125ccになりますが、最高出力が4キロワット以下に制限されるため50ccと同等の走行性能になると見込まれています。そのため、法定速度も30km/hのままというわけです。
「時速30km/h制限」や「2段階右折」はそのまま適応されるのか
また交差点によって必要であれば、これまでどおり2段階右折が必要な上、従来どおり2人乗りをすることも禁止です。
つまり排気量が大きくなって車体もひとまわりサイズアップする可能性があるものの、原付のルールがそのまま引き継がれることになるのです。
※ ※ ※
原動機付自転車の排気量がアップされることにより、125ccのカテゴリーが2つに区分されることになります。しかし、排気量が増えても最高出力が50cc程度に制御され、ルールや免許取得の方法も変わらないようです。
新しい基準が適用されても「原付」は、これまでどおり気軽に乗れる庶民の足として活躍していくことでしょう。
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