2024年型が狙い目!? ハスクバーナ「FE 250」はトラクション性能に優れグイグイ進む!! 4スト250ccはやっぱり本命と実感
バイクのニュース / 2023年9月27日 12時10分
2024年型で新しい車体となったハスクバーナのエンデューロモデル「FE 250」は、ヘッドライトにはLEDを初採用し、エンジン、フレーム、サスペンションほか、ほとんどすべてが新設計です。一体どのような乗り味なのでしょうか。「ワイルドクロスパークGAIA」での試乗レポートをお届けします。
■コンパクトな新型DOHCエンジンを搭載
エンデューロやクロスカントリーでは、ハードになるほど軽量で瞬発力のある2ストロークエンジンモデルが選ばれがちですが、2024年型のハスクバーナ・モーターサイクルズ「FE 250」に乗れば、4ストロークマシンもまた主役であることを改めて感じさせてくれます。
ハスクバーナ「FE 250」(2024年型)に試乗する筆者(青木タカオ)
エンジンはマイルドかつスムーズで、神経質なところがありません。パワフルなのに扱いやすい出力特性となっているから、アクセルを積極的に開けられ、良好なトラクション性能も伴って車体をグイグイ前へ進めて行けます。
車体の姿勢が乱れてもすぐに落ち着かせることができるのは、軽量かつコンパクトな車体と高性能な足まわりによるものだけではなく、過敏さがなく欲しいだけトルクを引き出すことのできるエンジンによるところも大きいのではないでしょうか。
フロントをコブの間に落としてしまったり、坂を下るときなど右手のスロットル操作だけで力強い駆動力をすぐに発揮し、たとえ前輪に荷重が乗り過ぎたとしても瞬時に回復させることができるのです。
また、コーナー立ち上がりにおいてアクセルを開けていく時のヒット感も痛快なもので、リアタイヤが路面を掴みつつ、エンジンが中高回転域まで伸びていく加速フィールが味わえます。
従来型よりコンパクトな新型エンジンは、排気量249.9ccの水冷4ストローク単気筒DOHC4バルブ。従来型で見られたシリンダヘッドガスケット部の「ハーフムーン」は無くなった
駆動輪に荷重がかかりやすく、トラクション性能が向上しているのは、エンジンの搭載位置が2度後方へ傾斜し、スプロケット位置が3mm下がったことも影響が少なくありません。
新設計された水冷単気筒DOHC4バルブエンジンは、従来型のボア×ストロークを78×52.3mmから81×48.5mmに変更。三軸配置を重心に近づけ、回転慣性の影響を受けにくいパワーユニットへ刷新され、マスの集中化に貢献します。
チタン製バルブは吸気側を32.5mmのままに、排気側を26.5から27.5mmに拡大。DLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)処理が施されたロッカーアームを備え、最大12800rpmまで回ります。
高さは8mm低くなり、単体重量を100g軽量化、総重量は27.8kgほどしかありません。13.8:1だった圧縮比は14.4:1に高められています。
■ショックマウントを刷新したNEWフレーム
シャシーも大幅に見直されました。クロムモリブデン鋼のフレームは、ステアリングヘッドやショックマウントなど高負荷のかかるパートの厚みを増したほか、左右同じ位置でエンジン懸架するパラレルフレームマウントへ刷新されています。
ハスクバーナ「FE 250」(2024年型)
見逃せないのは、燃料タンクの下で挟まれて隠れているメインチューブです。シリンダーヘッド上部で二股に分割させ、リアショックの上部がマウントする部分をブリッジとしていることです。
従来、ショックマウントはメインチューブ後端にあり、リアサスペンションからの衝撃がダイレクトにステアリングヘッドへ伝わっていましたが、メインチューブからブリッジ状に分割させた新たなマウント方式により、エネルギーの吸収性能を高めました。
実際、ジャンプの着地などで車体への衝撃が緩和されていることが分かり、乗り心地の良さや快適性を向上していることは明らかです。
そして、サブフレームが約1.8kgと非常に軽い。ポリアミド60%、アルミニウム40%のハイブリッド構造であることに加え、溶接などを必要としない3D成形としています。アッパーサブフレームはインジェクション成形のポリアミド製で、剛性とフレックス性をバランス良く持つことができました。
スイングアームも新しいダイキャスト製で、鋳造プロセスの改善により190gの軽量化を達成しています。25mmだったリアアクスルの直径を22mmにし、剛性とフレックス性を両立するシャシーに合わせていることも分かります。
■滑らかに動く前後サスペンション
リアサスペンションはWP製XACTショックと最新のリンケージを組み合わせています。全長を従来より15mm短縮し、100gの軽量化を実現。プリロード、コンプレッションの高速/低速、リバウンドの調整を可能としています。ハンドジャスター(回転つまみ)を持ち、コンプレッションおよびリバウンドのセッティングを工具を使わなくとも可能にしました。
ハスクバーナ「FE 250」(2024年型)に試乗する筆者(青木タカオ)。エンデューロマシンとしての進化を実感
フロントにもWP製XACTを採用し、従来のオープンカートリッジから、ダンピング性能により優れるクローズドカートリッジスプリングフォークとし、全長を940mmに伸ばしています。
従来のオープンカートリッジフォークでは、右にリバウンド、左にコンプレッションアジャスターを備えていましたが、新しいクローズドカートリッジスプリングフォークでは、左右共にトップブリッジ側でコンプレッション、ボトム側でリバウンドを調整するようになりました。
実際、走っていてゴツゴツしたり硬さを感じることはありません。細かいギャップに対しても追従性が良く、収束性に優れます。前後サスペンションのグレードアップは、安定感と快適性を向上し、ライダーの疲労を低減してくれます。
ブレーキはタッチと効きを向上しています。これは新型キャリパーの採用によるところで、ねじれ剛性を高め、入力に対してより正確な制動力を発揮します。ブレーキパッドもコンパウンドを刷新し、コントロール性を高めることに貢献しました。
ブレーキレバーはオフセット量を16mmに縮小(マイナス1mm)し、引き込み力を低減しています。
■大きなフットペグで、ホールド性向上!!
ハンドルバーは曲がりを抑え、フラット寄りになってフロントへのダイレクト感が増しました。フロントフォークが12mm延長されたため、ライディングポジションに変更はありません。
フットレストマウントは9mm内側へ移動され、ペグは高さ(幅)を6mm低減。ブーツの接地面が27%増加し、安定性を向上しています。
下半身のマシンホールドが自然にでき、とくに膝で車体を抑えやすくなりました。シートはよりフラットな形状で、グリップに優れる新しいシートカバーが用いられています。
■LEDライト採用で光量3倍!?
ヘッドライトにはLEDを新たに採用したことで、光量が従来より約3倍(320から900ルーメン)向上しました。
フロントマスク下部はトリプルクランプをガードする機能も持たせ、ライトまわりをトリプルクランプに直接装着することで、従来のラバーストラップを不要としています。
また、従来のヒューズとリレーに代わり、新たにオフロードコントロールユニット(OCU)を採用しています。これは過電流が生じた場合、出力を個別に停止でき、各出力のステータスをLEDのインジケーターで表示します。グリーンは正常、赤が点灯すれば異常あり、と知らせてくれるのです。
2024年型のハスクバーナ「FE 250」の車体価格は146万円(消費税10%込み)です。全方位に進化した2024年型は、狙い目の年式と言えるでしょう。
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