道路にある「オレンジの棒」は何? ポールは何故設置されているのか
バイクのニュース / 2023年10月3日 9時10分
道路にはさまざまな設置物がありますが、それらすべての役割や名称を知っている人は意外と多くはないかもしれません。では「オレンジ色のポール」には、いったいどのような役割があるのでしょうか。
■目を惹くオレンジ色のポール…これって何?
道路上に設置されているガードレールや縁石ブロックなどの構造物は、運転者の視線を誘導する効果があり、道路の交通整理のために不可欠なものです。またこれらに加え、近年ではオレンジ色のポールが設置されている道路が増えてきています。
目を惹くオレンジ色のポールは、一般的に「ラバーポール」と呼ばれている
このオレンジ色のポールを普段当たり前のように目にしてはいるものの、どういった意図を持って設置されているのか、ほとんどの人は普段はあまり気に留めることもないかもしれません。
このオレンジ色のポールは、一般的に「ラバーポール」と呼ばれているものです。正式名称は「車線分離標」といい、ポールコーンやポストコーンなど製造するメーカーによって商品名が異なります。
40cmから1mくらいまでの高さがラインナップされており、道路の状況に応じて使い分けられているようです。またどのサイズもポスト部に反射シートが巻き付けてあり、夜間でも目立つように工夫されています。
一般道ではオレンジ色のラバーポールがメインで使われています
ラバーポールを意識して街中を走れば、道路の至るところで利用されているのがわかるかもしれません。ちなみに主な設置場所は、センターライン上や歩道と車道の境界線のほか、ゼブラゾーンやコンビニやスーパーなどの施設の駐車場などさまざまです。
一般道ではオレンジ色のラバーポールがメインで使われます。暫定2車線などの対面通行となる片側1車線の高速道路では、圧迫感が少なく運転者へのストレスを軽減するグリーンが使われるのが一般的です。ただし、高速道路でも事故防止の観点から合流地点や逆走防止に、注意喚起に有効なオレンジ色が使用されています。
また、観光地や景勝地などの周辺の景観に配慮する必要がある場所では、ダークブラウンやダークグレーなど、景色になじみやすい色彩のラバーポールが使われるケースもあるようです。
このようにラバーポールを設置することで車線の区分をはっきりさせ、道路交通をスムーズにする役割があります。また反射シートが巻き付けてあることで、夜間の走行でも進路がわかりやすくなり、暗い道でも安全に走行することが可能です。
Uターンや右折の禁止場所に設置して交通違反の防止に役立てたり、カーブに設置してスピードの出しすぎによる車線のはみ出しを防いだりする効果もある
さらに、Uターンや右折の禁止場所に設置して交通違反の防止に役立てたり、カーブに設置してスピードの出しすぎによる車線のはみ出しを防いだりする効果もあります。
ほかにも歩道と車道を区分するだけでなく、普及が進んでいる自転車レーンと車道を区分して、車両の運転者に対して注意喚起を促す役割もあります。
ちなみに、ガードレールなどの防護柵とラバーポールの双方には似たような役割がありますが、使われている材質が異なります。
ガードレールなどの材質は主に鉄が使われていて、歩行者などの人的被害のほか道路沿いの物的損害を防ぎます。
一方のラバーポールは、合成ゴムの一種であるポリウレタンなどのやわらかい樹脂でできているのがポイントです。ポリウレタンは、軽くてクッション性や柔軟性に優れているためシューズのソールや衣料品、梱包の緩衝材など、日常の幅広い分野に使用されています。
またラバーポールの中は空洞になっており、車両がぶつかっても大丈夫なように折れ曲がり速やかに復元するようにできているのです。さらに、ポリウレタンは耐摩耗性も優れているので、その機能が長く持続するようにできています。
ラバーポールの中は空洞になっており、車両がぶつかっても大丈夫なように折れ曲がり速やかに復元するようにできている
そのためラバーポールは、車線境界などに設置して車線の逸脱を防止する役割がある反面、緊急車両などにとっては、倒しながら走行できたりUターンできたりするというメリットがあるというわけです。
もしも走行中にぶつかってもラバーポールが衝突のエネルギーを吸収するので、法定速度の範囲内であれば車両にキズがつくことはほぼないそうです。ただし、バイクの場合は衝突の際に、バランスを崩して転倒する可能性があるので十分に注意する必要があります。
ちなみに、ラバーポールは日本で生まれた製品であり、30年以上の歴史があるようです。現在ではその高い品質が認められ、欧米やアジア諸国などの道路でも使われるようになりました。
ラバーポールを製造するメーカーのたゆまない努力により、日々新しい製品が開発され進化しています。ポスト全体を反射シートで覆って視認性を向上させたものや、台座部にLEDを組み込み、太陽電池によって自発的に発光させて夜間の事故対策ができるものなど、その種類はさまざまです。
ポスト部と台座部を着脱できるようにして、ビスで留めるだけのものも開発されている
また、ポスト部と台座部を着脱できるようにして、ビスで留めるだけのものも開発されています。冬季の積雪期やメンテナンス時に簡単に取り外しができるので、従来の一体型に比べてランニングコストの大幅な低減につながっているようです。
なお、ラバーポール自体には道路交通法上で規制する効力はありません。そのため、禁止の標識がない道路では、ラバーポールの間をすり抜けてUターンや右折することは可能です。
ただし、高速道路や自動車専用道路では、中央分離帯にラバーポールが設置してあったとしても、Uターンは原則禁止されています。バイクで簡単にすり抜けられるからといって、高速道路上でUターンをするのは大変危険なので絶対にやめましょう。
※ ※ ※
ラバーポールは、優れた復元性能と視線誘導機能で昼夜を問わず道路の交通安全に貢献しています。ぶつかっても車両にキズがつかず省スペースで設置できるので、今後も普及が進んでいくことでしょう。製造メーカーによって形状や性能などに違いがあるので、見比べてみると新しい発見があるかもしれません。
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