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走行しても良い? 路面電車が走っている道路での交通ルールとは

バイクのニュース / 2023年10月8日 9時10分

路面電車が走行している道路では、バイクはどのような交通ルールに則ればよいのでしょうか。

■路面電車が走ってる道路…バイクはどのように走行すればいい?

 路面電車はその名のとおり、道路に敷かれたレールの上を走ります。クルマやバイクと一緒に同じ道路を走るので、初めて見る人や慣れていない人は驚くかもしれません。

 ツーリングなどで地方に出かけた際に、路面電車に遭遇する可能性は十分にありえます。そんなとき、慌ててしまわないためにも、路面電車が走る道路の交通ルールを理解しておくことが大切です。

近未来的なデザインに加え、騒音や振動が少なく快適な乗り心地の「宇都宮LRT」近未来的なデザインに加え、騒音や振動が少なく快適な乗り心地の「宇都宮LRT」

 例えば最近では「宇都宮LRT」が開業しメディアで注目を集めました。LRTとは、「Light Rail Transit」の略称で、次世代型路面電車システムのことです。

 近未来的なデザインに加え、騒音や振動が少なく快適な乗り心地が特徴です。外観からもかわるように、路面すれすれを走るので停留所と車両に段差がなく、車いすやベビーカーを利用する人や、高齢者でも乗り降りしやすくなっています。また電動モーターで駆動するので、二酸化炭素などの温暖化の原因となる温室効果ガスを排出しません。

 路面電車についての交通ルールは教習所で必ず習っているはずですが、路面電車のない地域に住んでいて馴染みがない人は、忘れてしまっていることもあるのではないでしょうか。

 では、路面電車が走行している道路では、バイクはどのような交通ルールに則って走行すればよいのでしょうか。

路面電車が通行するために設けられたレールが敷かれた部分のことを「軌道敷」と言う路面電車が通行するために設けられたレールが敷かれた部分のことを「軌道敷」と言う

 まず道路上の路面電車が通行するために設けられたレールが敷かれた部分のことを「軌道敷」といいます。この軌道敷と車道の間は、フェンスなどで仕切られていません。しかし、軌道敷は原則として路面電車しか通行が認められていないので一般車両は通行禁止です。

 ただし例外として、右左折や横断、転回をするときに横切るときや、軌道敷の左側部分の幅が狭い場合や、道路工事や危険回避のためやむを得ない場合は通行できます。

 そのほか「軌道敷内通行可」の標識があるところでは、一般車両も軌道敷内に入って走行が可能です。

 どちらのケースでも、軌道敷内を走行中に路面電車が後方から接近してきた場合は、すみやかにエリア外に出るか十分な距離を保つ必要があります。あくまでも軌道敷内は路面電車が優先であり、正常な運行を妨げてはなりません。

 また、「軌道敷内通行可」の標識のある場所はバイクも通行できるものの、原付および自転車などの軽車両の通行は禁止されています。

 路面電車に関する交通ルールは、道路交通法第21条(軌道敷内の通行)で定められています。「忘れてしまった」という人は、もう一度ルールを見直しておくとよいでしょう。

軌道敷内に侵入して路面電車の通行を妨害すると「軌道敷内違反」に問われることがある軌道敷内に侵入して路面電車の通行を妨害すると「軌道敷内違反」に問われることがある

 なお、軌道敷内に侵入して路面電車の通行を妨害すると「軌道敷内違反」に問われることがあります。その場合、違反点数1点と二輪車には4000円、原付の場合は3000円の反則金が科せられます。

 道路上を走る路面電車は、バイクやクルマと同じように自動車用の信号機に従って運行しています。しかし場所によっては、路面電車専用の信号が設けられていることがあるので注意が必要です。

 また信号機にある黄色の矢印の表示は、路面電車のみ矢印の方向に進むことができます。自動車用の青色の矢印とよく似ているので、見間違わないよう注意が必要です。

 また、赤い×印の表示もあります。これは路面電車のみ停止を指示するもので、信号機が青でも路面電車は進むことができません。黄色の矢印信号と比べると設置数は少ないので、路線によってはまったくないケースもあります。

路面電車の停留所には、青地に白のV字が描かれた四角い標識が掲げられている路面電車の停留所には、青地に白のV字が描かれた四角い標識が掲げられている

 なお路面電車の停留所は、道路上に設けられている場合がほとんど。この停留所のことを法律上では「安全地帯」といいます。青地に白のV字が描かれた四角い標識が掲げられていますが、道路が狭くスペースがとれない場所では標識がなく、黄色い太線で囲われているだけの場合もあります。

 安全地帯は、危険を避けるなどやむを得ない理由も含め、車両は進入することができません。

 乗り降りする人がいる安全地帯の横を通るときは、徐行して通過する必要があります。また、安全地帯がない停留所もあります。その場合、乗り降りする人がいるときは、後続車は乗客が乗降を終えて横断が完了するまで停止して待たなければなりません。

路面電車との間に1.5m以上の間隔がとれる場合は徐行して進むことができる路面電車との間に1.5m以上の間隔がとれる場合は徐行して進むことができる

 なお、乗り降りする人がおらず、路面電車との間に1.5m以上の間隔がとれる場合は徐行して進むことができます。ただし、安全地帯の左側とその前後10m以内のエリアは駐停車禁止です。「少しだけだから」といってバイクを停めてしまい、路面電車の運行の邪魔をしないようにしましょう。

 ちなみに、バイクで軌道敷内を走行する際はタイヤがスリップする可能性があるので注意が必要です。雨で濡れたマンホールが滑りやすいのと同様で、レールも鉄でできているため、とくに雨天時に乗り上げるとスリップして転倒する危険性があります。

 雨の日の走行では速度を控えめにして、レールをまたぐ際はタイヤとの接地面を減らすため、レールに対してなるべく直角に乗り越えるようにすると安全です。

 また、「軌道敷内通行可」の標識があっても、補助標識で「二輪車は除く」と表示されている場合があります。これは、バイクのスリップ事故の可能性を見越して規制されている場所です。うっかり標識を見落として走行してしまわないよう、十分に注意して運転するようにしましょう。

※ ※ ※ 

 数は少なくなりましたが北海道から鹿児島県まで、さまざまな都市で今でも路面電車が走っています。そのため日本でバイクを走らせている以上は、路面電車に遭遇する確率はゼロではありません。

 ツーリングで路面電車の走る土地を訪れたとき、落ち着いて行動できるように改めて交通ルールを確認しておくと安心です。

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