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いったいなぜ?バイクが災害時に重宝される理由とは

バイクのニュース / 2023年10月25日 9時10分

阪神淡路大震災や熊本地震が発生した際、バイクが大きな活躍を見せたと言います。いったいなぜ、バイクは災害時に重宝されているのでしょうか。

■バイクが被災地で活躍?その理由とは

 ひとたび自然災害が発生すると、インフラが寸断され被災地の状況は一変します。日常生活に制限がかかり、ときには命の危機にさらされることも少なくありません。

 そうしたなか、災害に強い乗り物として注目されている「バイク」。現在ではその機動力を活かして、多くの組織で災害時にバイクが活躍しています。

日頃の訓練を欠かさない陸上自衛隊の隊員日頃の訓練を欠かさない陸上自衛隊の隊員

 1995年に発生した阪神・淡路大震災以降、バイクで災害支援活動をおこなう団体が増えました。クルマよりも軽量・コンパクトで取り回しがよく燃費に優れたバイクは、さまざまな局面で災害時に威力を発揮し、被災地でもっとも貢献する交通手段となっています。

 大規模災害が起こると瓦礫や倒木がいたるところに散乱し、道路が寸断されてしまいます。こうなるとクルマはほとんど役に立ちません。大地震や津波が発生した際は、交通やインターネットなどの通信も麻痺してしまうため、バイクはとくに被災地の情報収集や復旧対策などで活躍しているというわけです。

 また、災害時は主要道路が深刻な交通渋滞に見舞われます。クルマで移動となれば、目的地に到着するまでに膨大な時間を要することも珍しくありません。2011年に発生した東日本大震災では被災地だけでなく、震源地から離れた都内でも震度5強を観測し、首都高が通行止めになったことで一般道でも大渋滞が発生しました。

 しかしバイクであれば、クルマの車列の横を走り抜けることで、それほど渋滞の影響を受けずに素早い移動が可能です。例えば阪神・淡路大震災の際には、大阪市から神戸市までの渋滞した道のりを、クルマで16時間かかったところをバイクでは2時間で走破したという事例もあります。

 さらに道路が損壊していたり、倒れた電柱や瓦礫だらけだったりする道路であっても、バイクであればタイヤ1本分のスペースがあれば通ることができます。また車体が軽いので、ある程度の瓦礫であればバイクを押して通り抜けることも可能です。

 とくに悪路走破性に特化したオフロードバイクであれば、土砂崩れなどでクルマが進めないような状況でも走ることができるため災害時では強い味方となっているようです。

 災害時は食料や水などあらゆる物資が不足しますが、ガソリンも例外ではありません。実際、東日本大震災では地域の製油所がストップし、沿岸部の油層所が津波の被害を受けました。また、燃料を運搬するタンクローリーが流されたり、ガソリンスタンドそのものが倒壊したりなどして深刻な燃料不足の状態が続いたと言います。

 こうした状況でも燃費に優れたバイクであれば、少ない燃料で遠くまで移動ができるので持続的な活動が可能です。なかでも原付は抜群に燃費がよいため、ガソリン不足に悩まされることがほとんどなく災害時にはとくに重宝します。

自衛隊ではカワサキのオフロードバイク「KLX250」を偵察用オートバイとして導入している自衛隊ではカワサキのオフロードバイク「KLX250」を偵察用オートバイとして導入している

 こうしたバイクの機動力や走破性、燃費を活かして、自衛隊ではカワサキのオフロードバイク「KLX250」を偵察用オートバイとして導入しています。例えば2016年に発生した熊本地震では、第12偵察隊のある群馬県から1300キロ離れた熊本まで隊員が36時間かけて自走し、被災地の被害状況の情報収集などの任務を全うしました。

 また警視庁では、2011年に発生した東日本大震災を契機に、ヤマハ「セロー250」をベースにした災害対策用オフロード白バイを導入しています。

 震災当時、広域緊急援助隊として現地で白バイが活動をおこないました。しかし、被災地の道路では瓦礫や土砂などが散乱し、通常の白バイでは走行ができなかったと言います。

 その教訓を生かし、首都直下型地震の発生が懸念される都市部でも、障害物や亀裂などで道路の閉塞が予想されることからオフロードバイク白バイが配備されることになったそうです。

 現在、警視庁の管轄区域に各1台ずつ合計10台が配備されています。オフロード白バイは、大災害時だけ出動し、通常の取り締まり任務はおこなわないそうです。主な任務は、大規模災害が発生したときの情報収集と自動車専用路の確保など。その機動力を活かして迅速な人命救助活動や消火活動をサポートします。

東京消防庁は、ヤマハ「セロー250」をベースにした消防活動二輪車を導入している東京消防庁は、ヤマハ「セロー250」をベースにした消防活動二輪車を導入している

 また東京消防庁でも、ヤマハ・セロー250をベースにした消防活動二輪車を導入しています。通称「クイックアタッカー」と呼ばれる二輪車部隊で、阪神・淡路大震災を教訓に1997年に創設されました。

 現在は都内10ヵ所の消防署に各3台ずつ、合計30台を配備しているようです。こちらは、渋滞しやすい首都高速上の交通事故や車両火災などの現場に急行し、緊急車両が到着するまでの負傷者の救助や応急救護、消火などの活動が主な任務となっています。

 ちなみに東京消防庁以外でも、全国56の消防本部で緊急走行が可能な消防バイクが配備されており、自然災害や交通事故の現場で活躍しています。

 こうした走破性の高いオフロードバイクは、さまざまな組織で災害時に活用されています。しかし実際に被災地で活躍したのは、庶民の足である原付などのミニバイクだったと言われています。

 コンパクトな車体なうえ、取り回しのよさや軽さ、優れた燃費性能が災害時で活躍した理由といえるかもしれません。

ホンダ「スーパーカブ50」ホンダ「スーパーカブ50」

 とくに高い積載能力と圧倒的な耐久性に加え、超低燃費を誇るホンダの「スーパーカブ」は、被災地でその威力を発揮しました。17インチタイヤのおかげで荒れ果てた道も走ることができるので、被災地では水の入った18Lのポリタンクを4つ積んで運搬した人もいるそうです。

 このように災害時に重宝するのは、意外にもビジネスバイクやスクーターなどの身近なバイクなのかもしれません。

※ ※ ※

 災害が発生したときに被災地で役立つのは、クルマよりも小さく軽量で小排気量のバイクといえそうです。いつどこで自然災害が起きるのかは誰にもわかりません。いつの日にか、自分の愛車が被災地で活躍する日がくるかもしれません。

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