高速道路で目にする黄色いクルマはパトカーじゃないの?その役割とは
バイクのニュース / 2023年11月6日 9時10分
高速道路を走行していると、黄色いクルマを目にすることがあります。回転灯が備わっていることから、警察車両なのではないか?と思ったことのある人も多いかもしれません。このクルマは、パトカーとは違うのでしょうか。
■高速道路で見かける黄色いパトカー?その正体とは
ツーリングの際に高速道路をよく利用するライダーであれば、ひと回り大きいボディの黄色いクルマが走行しているのを見かけたことがあるかもしれません。クルマの屋根部分には回転灯を装備しており、色は違いますが警察車両のようにも見えますが、パトカーとは違うのでしょうか。
ボディが黄色でゼブラ柄の赤白のバンパーがとくに目を引く「道路巡回車」
ボディが黄色でゼブラ柄の赤白のバンパーがとくに目を引く、この派手なクルマの正体は「高速道路パトロールカー」です。正式名称は「道路巡回車」と言い、全国の高速道路をすみずみまでパトロールし、道路上でおこるさまざまなトラブルにいち早く駆けつけます。
じつは、この黄色いパトロールカーは警察車両ではありません。全国の高速道路を管理しているNEXCO(ネクスコ)の所属で、パトロールカーを運転しているのは警察官ではなく、交通管理隊(通称・高速パトロール隊)の隊員です。
高速道路パトロールカーは、24時間365日体制で高速道路を巡回し、休むことなく道路のパトロールを続けています。隊員の基本的な業務で最も重要な任務のひとつが定期巡回です。高速道路上の異変や異常をいち早く察知し、交通事故の発生を未然に防ぐために日夜問わず道路の安全を見守っています。
また一般のクルマと異なり、パトロールカーは特別仕様になっています。装備をはじめ、あらゆる事態に対応するため、車内には数多くの搭載品が積まれているのが特徴です。
ひときわ目立つ装備が、ルーフに取り付けられた回転灯と昇降式のLED表示板です。この表示板に「落下物」や「事故」などの文字を表示し、高速道路を走行する周囲のクルマに危険を伝えます。
主な搭載品は、矢印板やパイロンをはじめ、各種ライト類や流出した燃料やオイルの処理に使用する油処理剤などです。そのほかにも消火器や発炎筒、救急箱、けん引ロープのほか、落下物を除去するスコップや竹ぼうきなども積まれています。高速道路上のあらゆる事態にも対応できるように、さまざまな器材が搭載されています。
高速道路パトロールカーは2人1組で乗務し、定期巡回のほかにもさまざまな仕事に従事している
これらパトロールカーに搭載されている装備や器材をフル活用して、高速道路の安全を守っているのが交通管理隊です。パトロールカーには2人1組で乗務し、定期巡回のほかにもさまざまな仕事に従事しています。
基本の業務である定期巡回はその日の交通量に応じて異なりますが、エリアによっては所定のルートを1日20回も巡回することがあるようです。そうした日々の巡回を積み重ねることで、平時と異なる道路状況を素早く察知し、高速道路を利用するすべてのクルマが安全に通行できるように迅速に対応しています。
また、一般道よりも速い速度でクルマが走行する高速道路では、落下物に接触すればその影響は計り知れません。たとえ小さな落下物でも、それが重大な事故につながるおそれがあります。
そのため、隊員の目視のほか落下物の通報があった際は、ただちに落下物の処理をおこなうことも重要な任務です。高速でクルマが行き交うなかでの作業であるため、まさに危険ととなり合わせの命がけの仕事と言えます。
そのほか道路の情報収集も隊員の重要な仕事のひとつです。道路の損傷具合の確認や、雪などによる路面の凍結や、霧による視界不良などの気象状況や渋滞状況などをチェックします。そうした道路上の危険となる情報をいち早く見つけて、道路管制センターに無線で伝えているのです。
交通管理隊は高速道路上で交通事故が発生すると現場に急行し、事故処理もおこなう
また交通管理隊は事故処理もおこないます。高速道路上で交通事故が発生すると現場に急行し、二次被害が起きないように車線規制をおこなったり、状況に応じてけが人の救出をおこなうこともあるそうです。そのような緊急事態でのトラブルや事故の対応も、交通管理隊の重要な任務となっています。
では、高速道路パトロールカーは警察のパトカーと同じように、交通違反の取り締まりをおこなうことはあるのでしょうか。
パトロールカーは、トラックやトレーラーなどの大型車両の重量超過に関する「車両制限令」に違反する車両の取り締まりや指導をおこないます。一方で、スピード違反などの交通違反をした違反車両を取り締まる権限はありません。
道路の劣化の原因となる重量超過をする違反車両が後を絶たないことから、交通管理隊の隊員がインターチェンジの入口や料金所などで車両制限令の取り締まりを実施しています。
なお、高速道路の交通違反の取り締まりをおこなうのは、警視庁および全国の道府県警察に設置されている「高速道路交通警察隊」です。交通管理隊が、交通違反の取り締まりを直接おこなうことはありませんが、必要に応じて警察へ出動要請を出すなど連携して、間接的に取り締まりをすることもあります。
パトロールカーが警察車両でないからといって油断してスピード違反などをすると、思わぬ形で違反キップを切られることになるので注意が必要です。
首都高のみで活動する黄色いバイクのパトロール部隊
ちなみに、首都高のみで活動する黄色いバイクのパトロール部隊もあります。主な活動拠点は、日本最長の道路トンネルとなる全長18.2kmの山手トンネルで、事故や火災がトンネル内で発生した際に、バイクの機動力を駆使して現場に急行します。
そのカラーリングから、通称「黄バイ」と呼ばれ、主な任務は通行規制や現場での避難誘導などです。なおサイドボックスには、発炎筒などの車両誘導などに使う器材がまとめて収納されています。民間企業として日本初となる緊急指定を受けた二輪車であり、警察の白バイと同様にサイレンを鳴らして緊急走行が可能です。
色が違うだけで外観は白バイと似ていますが、黄バイは大型ではなく400ccの普通二輪が使われています。トンネル内の緊急事態に備えているため、黄色いパトロールカーのような定期巡回はおこなわないそうです。
首都高のトンネル内でしか活動しない黄色のバイクは、なかなか見ることのできない非常にレアなバイクといえるかもしれません。
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