どうするのが正解？ 専門家に聞いたバイクに乗っている際に地震に遭遇した時の対処法とは

バイクに乗っている際に地震に遭遇してしまうと、どうすればいいかパニックを起こしてしまう人もいるでしょう。そこで、合同会社ソナエルワークス代表で、備え・防災アドバイザーの高荷智也氏に、正しい対処法を聞いてみました。

■専門家が話す、バイクに乗っている際に地震に遭遇してしまった場合の対処法

日本は地震大国とも呼ばれるほど地震が多い国で、2011年から2020年の間で見てみても、全世界で起きたマグニチュード6.0以上の地震の17.9％が日本周辺で発生しています。

　気象庁の公表する情報によると、地震を予知することは地震の起こる時間や場所、大きさの三つの要素を精度よく限定して予測することに主眼が置かれており、マグニチュード4以下の地震予測はあたりやすいものの、東日本大震災や熊本地震のようなマグニチュード6以上の大きな地震を、震源地をピンポイントで予測するのは、現在の科学的知見では難しいとの事。

　つまり、いつ大地震が発生してもおかしくないため、バイクに乗っている際に大規模な地震に遭遇してしまう可能性もゼロではありません。

　一般的に、地震発生時にバイクに乗っていた場合はバイクを道路の端に寄せ、キーを挿したまま徒歩で避難することが推奨されています。

　しかし東日本大震災では、高さ9mを超える巨大な津波が発生し、大きな被害をもたらしました。津波が迫っている中、徒歩で避難していては高台への避難が間に合わない場合も考えられますが、こういった場合、機動性のあるバイクで高台に避難をするといった行動を取ってもよいのでしょうか。

バイクで走行中に大地震が起こり、津波が迫っている場合は現在いる場所によって正しい対応が変わる

　合同会社ソナエルワークスの代表で、備え・防災アドバイザーの高荷智也氏は、「ダメではありませんが、最善の結果とはならない可能性が高いです」と話します。

「津波からの避難は水平の距離よりも垂直の高さを稼ぐことが重要なので、周りに何もない平地にぽつんといるならば、バイクによる高台への移動は有効です。一方、市街地などにいる場合はバイクで水平に逃げるより、手近なビルやタワーなどへの避難が有効な可能性が高いので、状況により使い分けることがおススメです」

　このように、自分が置かれた状況に応じてどういった対応を取るべきか、冷静に判断することが求められるとのことでした。

　また高荷氏は、バイクで避難する場合、路面の状態にも注意すべきだと話します。

「バイクはクルマよりも機動性に優れますが、津波を伴う規模の大地震が起こった場合、道路コンディションが普段と同じとは限りません。そのため、バイクで避難をする場合も路面の状態には細心の注意を払って走行していただきたいと思います」

■災害時に備えてバイク乗りにできることはある？

　実際に地震に遭遇した場合の対処法については前述した通りですが、地震はいつどこで起きるかわかりません。

　では、「もしも」の事態に「備える」ことはできるのでしょうか。

バイクで大地震に遭遇した場合の為に事前にできる対策として普段からガソリンを多めに入れておくなどが有効

　高荷氏は、「非常時にも確実にバイクを動かせる準備をすることが大切です」と話します。

「まず、普段からガソリンを多めに入れておくという点が最も重要。また、災害時にはガレキや鋭利物が道路上に散乱する恐れがあるため、パンク防止剤を入れておいたり、パンク修理キットを入れておくなども有効です。総じて、バイクそのものに何かを積載することよりも、非常時に確実にバイクを動かせるようにしておくことが、有効な防災対策と言えるでしょう」

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　災害時はどうしてもパニックになってしまいがちですが、まずは周囲の状況を確認し、バイクを置いて徒歩で避難するか、そのままバイクに乗って高台へ避難するかを冷静に判断する事がおススメ。またバイクを置いて避難する際は、緊急車両通行の妨げにならないよう、キーを挿したままにすることを覚えておきましょう。